維持費だけで年間1000万円? 優雅なヨットの知られざる裏側&マナーを解説します!

公開: 更新: テレ東プラス

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2020年の五輪に向けた交通ラッシュの緩和を目指して、東京都は今年7月に「船通勤」の社会実験を行いました。これから五輪期間中やその後の運航が検討されるようですが、実際に乗った人の声を聞くと、思いがけない船の楽しさに夢中になった人も少なくなかったようです。

さて、船といえば昔から多くのファンに愛され、タモリさんや"若大将"こと加山雄三さんなども愛好家として知られるのが「ヨット」。陸に住まい、電車や車ばかりを使う身には縁遠いものですが、この秋、ヨットライフがグッと身近になるイベントが開催されました。

yacht_20191128_01.jpg▲画像提供/2019ヨコハマフローティングヨットショー事務局(以下、YFYS事務局)

それが第24回目となる「2019ヨコハマフローティングヨットショー」。船のある暮らしとその楽しみをはじめ、ヨットに"お呼ばれ"した際のマナー、どんな船に乗ったときでも使える船酔い回復法までをまとめました。

もしも2億円のヨットを購入したら、どんな生活が待っているの?

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水上をゆく乗り物のうち、最もエレガントなものは? そうたずねると、多くのセレブが「ヨット」と答えるのだそうです。その理由は、青い海に浮かび、白い帆で風をつかまえる姿は美しく、静かに、飛ぶように走るから。古くは王族などに愛され、現在でも熱狂的なファンに支えられているマリンスポーツです。

ちなみに、ひとくちにヨットといっても種類はさまざま。一人乗りのディンギータイプから大きなクルーザータイプのものまで多岐に渡ります。これから紹介する「ヨット」は、いずれもクルーザータイプを指すものとしましょう。

yacht_20191128_03.jpg▲画像提供/YFYS事務局

さて、フローティングヨットショーの会場において、ひときわ多くの人の注目を浴びているヨットがありました。それが、北欧の至宝「スワン54」! ステイタスの高さから、ヨット界の"ロールスロイス"との呼び声も高いスワンブランドの一艇です。

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見た目の美しさはもちろん、技術も価格も最高峰。もしもこの艇を手に入れたら、どんな楽しみが待っているの?

「そうですね、一般的なヨットなら釣りをしたり、沖にアンカリングしてダイビングをしたり、レースに出たりといろんな楽しみ方がありますが......スワンの場合は格式が高いため、やんごとないVIPの接待に利用されることが多いですね。プライベートで使う場合も、オーナーさんが一人で楽しまれるというより、仲間を呼んで海上でパーティをするような使い方が多いですね! もちろん、先に述べた釣りやダイビングなども思いのままですよ」(新通さん)

そう教えてくれたのは、ナウターズスワンを扱う唯一の日本正規代理店「リビエラリゾート」の取締役にして敏腕バイヤーでもある新通(しんどおり)弘二さん。

もしかして、世界一周もできるんでしょうか?

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「もちろん! このスワン54は耐航性が高く、荒れた海でも安定して航行できる艇ですから、パスポートと気合いと根性さえあればどこまででも行けちゃいます。港があれば港に立ち寄り、食料やお酒、お水などを積みこんで、その土地のグルメを楽しんだり、温泉に入ったりしながら旅ができますよ」(新通さん)

大陸と違って海は一つだから、ヨットの性能がよければ地球上のどこへでも行けちゃうんですって。なんというバリアフリー!

朝日とともに起き、キッチンでお料理して、デッキで爽やかな海風に吹かれながら朝ごはん。昼間は帆を掲げて移動タイム。セーリングを満喫して沈んでいく太陽を眺め、夜が訪れたら帆をたたみ、近くの港に停泊。水を使いすぎないように気にしつつも熱いシャワーを浴びて、天窓から見える星を眺めながら眠る......。

これが"ヨット泊"のシミュレーション。なんだか高級ホテルよりもゴージャスじゃありません? おそるべし、ヨットのある暮らし!

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さて、気になるのは、このお値段。ちょっと聞くのが怖いけど、一体おいくらなんでしょう?

「この艇は、現時点では2億3000万円。いろんな装備オプションをつけて、輸送費を入れて、税金を入れた金額です。ユーロ換算なので具体的な金額はその時々によって変動します。ヨットを持った場合は、ほかにも係留費や保険代、整備代といった費用がかかりますね」(新通さん)

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そう聞くだけでも目玉がポンと飛び出ちゃうけど、さらにかかるお金があるんだとか。

「例えばこの艇を購入して、逗子マリーナに係留した場合、年間の係留費は約400万円。保険代は約100万円。整備の費用に約120万円。大きな故障がなくても、年間に約600万円がかかってくる計算になります」(新通さん)

しかも、大型のヨットだから操船のためのクルーを複数人雇うのが一般的。つまり、クルーに支払うギャランティも含めて、少なくとも年間1000万円近い維持費がかかることに。す、すごい金額。ただし、その一方で、風で走行するヨットだから燃費は格安。風力バンザーイ!

ただし、これは超高級なスワンブランドならではのお話。一般的なクルーザー系のヨットの相場はおよそ1000万円からあるそうです。

「一方で、シェアするという手もあるんですよ。たとえば、弊社には『リビエラリゾートクラブ』という会員制のシェアリングクラブがあり、50フィートクラスの大きなクルーザーヨットやプレジャーボートをシェアできるんです。まずはこちらで練習して、次のステップで購入するという方もいらっしゃいますね」(新通さん)

では、普通のヨットでいいから一度セーリングを味わってみたいな! と思ったときはどうすれば?

「一般的なヨットであれば、マリーナに行って、停泊したヨットの上にいるオーナーさんに笑顔で話しかけてみるのが近道! オーナーさんと仲良くなって、『ヨットに乗ってみたい』ってお話しするのが早いと思いますよ。10人くらい声をかければ、100%乗れるんじゃないかな? セーリングは本当に気分爽快、楽しいですよ!」(新通さん)

ヨットに"お呼ばれ"した時のマナーって?

yacht_20191128_08.jpg▲画像提供/YFYS事務局

では、もしヨットオーナーの友人ができて、念願叶ってヨットに乗るチャンスが来たら。ヨットって"お呼ばれ"した際のマナーはあるんでしょうか?

「いえ、友人のお家に招待されたときと同じ感覚でいいと思いますよ。それより、大切なのはご自身の体調管理! 陸とは違う環境なので、体調が悪いのに無理して行くのは禁物。船酔いしやすくなっちゃいます。みんなで楽しく海に出ようと思っても、一人がダウンしたらムードが変わっちゃいますからね!」(新通さん)

なるほど、元気な体で遊びに行くことこそ一番のマナーなんですね。ついでに、来場していたセーラーさんたちにも声をかけて聞いてみると、こんな答えも飛び出しました。

●「冬は夏よりいい風が吹くからスピードが出て楽しいんだけれど、びっくりするほど寒いんです。陸とは比べ物にならないから、厚手のコートを着込んでしっかり防寒するのが鉄則! 寒いと酔っちゃいますから気をつけて」(会社員/40歳・女性)

●「細かい話だけれど、白い船体に靴の色が写っちゃうことのないように、ゴム底が黒い靴は避けておくと喜ばれるかも!」(自営業/59歳・男性)

●「紐や柵をまたぐ動作が多いから、スカートは避けたほうが無難。強いていえば、パンツルックがドレスコードかな?」(自営業/48歳・女性)

●「前日にしっかり眠って、酔う人は酔い止めを飲んで、元気に乗るのが一番。めいっぱい楽しんで、笑顔で帰りたいもんね」(代表取締役/52歳・男性)

先輩セーラーたちが教える「船酔いしたらコレ!」

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ヨットに乗り込んだ初心者を襲うもの、それが船酔い。万全の体調で挑んだけど、やっぱり波の揺れにやられちゃったときの回復法は? ヨットショーの会場で、展示艇を眺めながら歩くセーラーさんに聞いてみたら、こんな回答が集まりました。

●「薬を飲むのが一番だけど、効かないこともあるんだよね。ゲップが出はじめるのも船酔いのサインだから気をつけて。見晴らしのいいところで、ベンチなどにもたれて頭を固定し、ぼんやりと遠くを眺めると治りやすくなるよ!」(弁護士/52歳・男性)

●「船酔いして、眠くなったらしめたもの。まわりのことは気にせず、横になってグーグー寝てしまいましょう」(代表取締役/58歳・男性)

●「身もふたもないけど、風下に移動して、ゲロゲロッと吐いちゃうと一気に楽になります」(会社員/38歳・女性)

●「吐きたいのに胃の中に何もなくて吐けないのが一番ツライから、オススメはウィダインゼリーを飲むこと。いろいろ試したけど、オレンジ味が一番吐き心地がいいですね。あっ、いつもはおいしくいただいてます!」(医師/42歳・女性)

ベテランバイヤーとセーラーが教えてくれた"お呼ばれヨット"のマナーと、船酔いになっちゃったときのスピード回復術。近い将来、船乗りデビューを考える皆さんはぜひお試しあれ。

【取材協力】
株式会社リビエラリゾート
住所:神奈川県逗子市小坪5-23-9
電話番号:0467-23-2111(リビエラ逗子マリーナ・代表)

リビエラリゾートクラブ(会員制シェアリングクラブ)

ヨコハマフローティングヨットショー事務局(株式会社 舵社)
住所:東京都港区浜松町1-2-17 ストークベル浜松町3階
電話番号:03-3434-5181

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