台湾旅行のプロが明かす。台湾でデザイナーズホテル・ブームが起きているワケ

公開: 更新: テレ東プラス

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女性たちを中心に人気の台湾旅行。その台湾でひそかなブームになっているのが、一般的な大型ホテルやチェーン展開のホテルとは一線を画した、個人オーナーのセンスが光る個性豊かなデザイナーズホテルです。なぜ個人経営のデザイナーズホテルが人気を集めているのか? その背景を探ります。

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お話をお聞きするのは、台湾の厳選されたデザイナーズホテルを紹介する現地メディア「Dear b&b」の日本窓口であり、ディープな台湾情報を発信するウェブ「Howto Taiwan」の編集長・田中伶さんです。

勢いのある台湾の若手たちがデザイナーズホテルのブームを生み出した

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──台湾でデザイナーズホテルがブームと聞きました。ブームが生まれたワケは?

「今、台湾の若手はとにかく元気で勢いがあります。ここ数年の間にデザイナーズホテルの個人経営をはじめた人の多くは、世界中を旅したり海外で長年暮らしたりしたことで、生まれ故郷・台湾や、地元のローカルエリアの持つ魅力に気づいた若者たち。帰国後、自分の愛する場の魅力をひとりでも多くの人にシェアしたいと古くからあった実家や建物などをおしゃれにリノベーションして、お店や宿を作るムーブメントが起きたようです。その他、インテリア業界や建築業界でエリートとしてキャリアを築いてきた人たちの中でも、流れに触発されてか会社を辞め、デザイナーズホテルの個人経営をはじめる人も増えたように思います。その結果、個性的なデザイナーズホテルが急増し、旅行客側の選択肢が増えました。どのホテルも驚くほどサービスや内装のクオリティが高いことも特徴ですね。そのタイミングでツアーではなく飛行機や宿を個人手配しながら旅をする人が増えてきて、近年、個人経営のデザイナーズホテルが一気に盛り上がってきたようです」

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──どんどんデザイナーズホテルが生まれる中で、特徴や傾向はありますか?

「今台湾では『昔からつづく古き良きものを、今の若い人たちに受け入れられるように再提案する』という動きが各地で起きています。それは宿に限らず、食べ物、美容、漢方、音楽など、全てにおいてです。その考えからか、デザイナーズホテルもゼロから建てるのではなく、コミュニティスペースや古民家、伝統家屋、実家をリノベーションしているものがほとんど。金銭的な意味でも、新築よりリノベーションの方が安くすみますしね」

食文化やマッサージもリノベーションされている

──古き良きものを、若い世代に向けて再提案するという動きが起きているとのことですが、ホテル以外に、台湾で新たに再提案されたモノはありますか?

「例えば台湾茶や中国茶を専門にした茶店・茶芸館もその流れを受けているのを感じます。もともと茶芸館のイメージって、マナーやお作法にものすごく厳しくて若者にとって敷居が高いところだったんです。間違ったことしたらお店の人に怒られちゃうんじゃないか?みたいな。それが今、台湾ではオシャレで入店しやすいカフェのような茶芸館が増えてきていて。台北で人気の茶芸館『三径就荒』などは、モダンな雰囲気の店内でお店の人が丁寧にお茶の淹れ方を教えてくれるので、気軽に茶芸を楽しむことができます。店内の茶器にもこだわっているので、器好きの方は足を運んだ際にチェックしてみてくださいね」

──その他にもありますか?

「マッサージも"台湾式足ツボ"イコールとにかく安いというようなイメージから抜けたお店が増えてきたように思います。例えば『不老松足湯浴』の場合、入店したらまず足湯にいれるハーブを選ぶところから始まるんです。その後の足ツボマッサージが気持ちいいのはもちろん、施術後にサービスのデザートや食事が注文できるのですが、これがおいしすぎてマッサージ屋さんでつまむ味のクオリティじゃない(笑)! 漢方のゼリーや鶏のスープなど、食事目当てにマッサージを受けにいくひともいるほどです」

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──「公私ともに台湾漬け」の田中さんがオススメしたい台湾のものは何ですか?

「個人的なイチオシは、台湾式おでんの滷味(ルーウェイ)です。元々現地の人もよく食べるメニューでとってもおいしいのですが、今までは、衛生面の意味で不安に感じてしまうようなディープな屋台でしか売られていなくて、おすすめしてもなかなかチャレンジできない人が少なくありませんでした。でも最近台湾にできたチェーン店『VEGE CREEK 蔬河』がルーウェイをすごくおしゃれに再提案しはじめたんです。店内に入ったら、トートバッグを渡されるので、その中に自分の好きな野菜や麺などの具材を収穫するようにつめて店員さんに渡すだけで、おいしいルーウェイをいただくことができます。ベジタリアンのお店なのでお肉などは入っていないのですが、ここでもしルーウェイをおいしいと感じたら、屋台のルーウェイにチャレンジしてみてもいいですし。『VEGE CREEK 蔬河』は、台湾のデパ地下などに入っています」

taiwan_20191127_05.jpg▲『VEGE CREEK 蔬河』 店内(提供:Howto Taiwan)

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▲『VEGE CREEK 蔬河』 滷味(ルーウェイ)(提供:Howto Taiwan)

若い人を中心に、新たな流行やカルチャーが生まれつつある台湾。興味が湧いた方は、デザイナーズホテルに宿泊しつつ、最新のスポットを回ってみてはいかがでしょうか。よ~く観察すると、再提案された"古き良きもの"の姿に気づけるかも? そしたら台湾旅がもっとさらに楽しくなるかもしれません。

【取材協力】
「Dear b&b」

【撮影協力】
GOOD MEALS SHOP Futakotamagawa

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