お客が1ヵ月も連泊する秘湯の宿...売り切れ御免「幻の豆腐」のレシピも大公開:世界!ニッポン行きたい人応援団

公開: 更新: テレ東プラス

ニッポンに行きたくてたまらない外国人を世界で大捜索! ニッポン愛がスゴすぎる外国人をご招待する「世界!ニッポン行きたい人応援団」(毎週月曜日夜8時~)。毎回ニッポンを愛する外国人たちの熱い想いを紹介し、感動を巻き起こしています。

まずはニッポンの温泉を愛してやまないモロッコ人のムスタファさん(30歳)からご紹介。

nipponikitai_20191125_01.png
約6畳1間の賃貸アパートに住むムスタファさんは、ニッポンの温泉とその習慣について知り、毎晩寝る前に温泉の写真を見ながら温泉に入る想像をするのが日課でした。

「日本人は温泉に入り体をキレイにするだけでなく、心と体をリラックスさせる独自の習慣を生み出したのです。僕の夢はニッポンへ行って温泉に入り、ニッポンの方とおしゃべりすることです」と話すムスタファさんをニッポンにご招待!

ニッポン最古の温泉で雄大な景色に感動

ムスタファさんが最初に向かったのは、「日本三古湯」(兵庫県有馬、愛媛県道後、和歌山県白浜)のひとつ、白浜です。これらの温泉は日本書紀に記録が残されており、同時代に書かれた出雲国風土記では、温泉を神湯(かみゆ)と表現するほど大切に扱われていました。

和歌山県南紀白浜には、奈良時代からある日本最古の露天風呂「崎の湯」があります。崎の湯で出迎えてくださったのは塚田秀行さん(86歳)。

nipponikitai_20191125_02.jpeg
実は今まで一度もお風呂に入ったことがないというムスタファさん。モロッコにはハマムというアカスリやマッサージをする公衆浴場はあるものの浴槽はなく、お湯で体を洗い流すだけなのです。

ムスタファさん、人生初のお風呂。塚田さんに入り方を教えていただきます。脱衣所で服を脱ぎ、タオルを持って露天風呂に向かうと...。

nipponikitai_20191125_03.jpeg
この表情。それもそのはず、目の前に広がっていたのは...。

nipponikitai_20191125_04.png
素晴らしい絶景! 「こんなに海が近い場所に温泉があるなんて驚きです」と感動するムスタファさん。昔ながらの景観を損なわないように男女共にシャワーはなく、石けんやシャンプーの使用は禁止。あるのはかけ湯のみです。YouTubeで予習し、ちゃんとかけ湯のやり方を知っていたムスタファさん。これには塚田さんも笑顔に。

ムスタファさん、いよいよ人生初のお風呂に入ります。1300年前からあるこちらの露天風呂には全身が浸かるほど深い「湯つぼ」があります。まず一歩目をお風呂に入れたムスタファさんでしたが、「すごく熱いです!」となかなか奥の湯つぼまで進むことができません。

お湯の温度は41℃と少し熱め。塚田さんに「プリーズ」と湯つぼまで行くよう促され、少しずつ前進。塚田さんに「大丈夫、大丈夫、危なくない」と励まされながらゆっくり首まで浸かると、次第に温度にも慣れてきて、憧れのこのポーズ!

nipponikitai_20191125_05.jpeg
あまりの気持ちよさに「2時間入りたい」と話すムスタファさんに、塚田さんは「ノーノ―。頭ボーッとなる」とのぼせてしまうことを伝えます。

今度は波打ち際のお風呂へ移動。するとそこには2人の先客がいました。早速挨拶をして仲間に加えてもらい、念願だった日本人との交流が始まります。日本語を教えてもらいながら会話を楽しみ、とても嬉しそうなムスタファさん。結局2時間、崎の湯の温泉と雄大な景色を堪能しました。

nipponikitai_20191125_06.png

湯治文化に触れる

続いてムスタファさんが向かったのは、秋田県仙北市。「温泉について勉強していた時、気になったのが湯治という文化です。温泉が医療として使われていたことに驚きました」と話すムスタファさん。「湯治」とは、温泉に入って病気を療養することで、温泉は昔から医療のひとつとして使われていました。ムスタファさんが訪れたのは乳頭温泉郷。ここには7つの温泉宿があり、それぞれ泉質が異なることから一軒一軒巡るのが人気。中でも最も山奥にあるのが、約330年の歴史を持つ黒湯温泉。冬には積雪が4メートルを超え、長期休業になることから秘湯と言われています。

nipponikitai_20191125_07.jpeg
ムスタファさんが黒湯温泉に着くと、女将の池田佳子さん(56歳)はじめ、従業員の方々が出迎えてくださいました。

nipponikitai_20191125_08.jpeg
自慢の混浴露天風呂は、美しい白濁の温泉。

nipponikitai_20191125_09.jpeg
「お湯がとてもやわらかく、肌に良いのがわかります。熱めのお風呂のときはタオルを濡らし、頭にのせるとのぼせないんですよね」と、水で濡らしたタオルを頭に乗せて秘湯を堪能するムスタファさん。気分はすっかり温泉通!

nipponikitai_20191125_10.jpeg
次に女将さんが案内してくれたのは自炊棟。実はここにニッポンの湯治文化の秘密がありました。黒湯温泉には宿泊施設が2つあり、ひとつは食事付きの温泉旅館、もうひとつはこの自炊棟。

nipponikitai_20191125_11.jpeg
湯治のため長期滞在する方たちが利用しています。元々は農家の方が田植えを終えた後、家族全員で泊まっていたそう。湯治は療養だけでなく、農家の皆さんが疲れを癒すためのなくてはならない習慣でした。収穫が終わると山奥にあるこの温泉まで布団をかついでやってきたそう。家族や友人と自炊棟に泊まり、みんなで温泉に入ったので、湯治場では混浴が当たり前でした。

温泉が医療のひとつとして使われた江戸時代は、1週間一巡りが良いとされ、将軍・徳川家康もそれに習い、熱海に1週間滞在したそう。風呂に入って体を温め、部屋でくつろぐ...。これを繰り返すことで体がリセットされると考えられていたのです。ムスタファさんがやって来たこの日も、東京からやってきた28連泊中の方がいらっしゃいました。

そして次に見せていただいたのが、湯守と呼ばれる温泉を管理する仕事。湯守の大川清一さん(56歳)は、源泉から湧き出た温泉の温度を管理しています。湧き出る温泉が高温のため、川の水で温度を下げるのですが、その方法はひたすら人の手でかき混ぜるという力仕事。ムスタファさんも特別に挑戦させてもらいましたが、かなり力がいる仕事で驚きます。さらに大川さんは混浴風呂と男女別に2つずつある浴槽にちょうどいい温度の温泉が行き渡るよう最終調整を行います。これは浴槽までのパイプの長さやその日の天候や太陽の位置で目まぐるしく変わるので、1日中温度調整が欠かせません。

夕方になり、旅館に泊まるお客さんの夕食作りを手伝うことになったムスタファさん。30人分の料理を盛りつけたり運んだりと大忙しでしたが、ムスタファさんにとっておきのご褒美が待っていました。高さ2メートルから流れ落ちる「打たせ湯」を体験させてもらえることに!

nipponikitai_20191125_12.jpeg
水圧によって肩や腰の筋肉を和らげ、血行も良くなるという打たせ湯。マッサージを受けているような感覚に、ムスタファさん得意の「2時間ここにいたい」発言が。

そして夜9時。自炊棟でムスタファさんの歓迎会が始まります。お酒が飲めないムスタファさんはお気に入りの沢水で乾杯。囲炉裏ではきりたんぽ鍋がグツグツ、そしてムスタファさんの目を引いたのは、真っ黒な謎の物体。

nipponikitai_20191125_13.jpeg
そう! 温泉卵です。約90度の源泉に卵を入れて待つこと3時間。卵の殻に温泉の鉄分が付着して硫化水素が反応し、真っ黒になります。ちなみに黒湯温泉の名はここからきているとか。一般的なゆで卵に比べ、旨味成分が20%も増すと言われる黒たまご。ムスタファさんもすっかりお気に入り。

nipponikitai_20191125_14.jpeg
翌朝。従業員の皆さんは6時から朝食の準備。ムスタファさんもお世話になったお礼に...と、風呂掃除を手伝います。黒湯温泉では朝7時から8時を掃除の時間に当てていますが、洗車が好きで友人の車もよく洗っていると話すムスタファさんは、実に手際よく風呂掃除にまい進していました。

nipponikitai_20191125_15.jpeg
そしていよいよ、お世話になった黒湯温泉の皆さんと別れの時。「ニッポンに来てこんなに幸せな気持ちになるとは思ってもみませんでした」とのムスタファさんの言葉に、女将さんは少し涙ぐんでいます。そしてモロッコからのお土産を皆さんに手渡し。

nipponikitai_20191125_16.png
すると黒湯温泉の皆さんからも嬉しいプレゼントがありました。「黒湯温泉の一員としてお迎えしますのでいつでも帰って来ていただきたいと思います」との言葉と共に黒湯温泉のスタッフの証、袢纏(はんてん)と黒たまご10個をいただきました。

最後にムスタファさんが日本語で綴った手紙を読み上げます。「黒湯温泉の皆さま、昨日私は初めてこの黒湯温泉に来ました。本当に皆さんが挨拶に来てとても嬉しかったです。それから湯守の大川さんの調整もちょっと難しかったです。温度が高かったです。ビックリしました。皆さんとご飯を食べてとても楽しかったです。きりたんぽ、すごく最高でした。女将さん、そして皆さん、お世話になりました。この黒湯温泉を忘れません」。

nipponikitai_20191125_17.png
黒湯温泉の皆さん、どうもありがとうございました!

そしてムスタファさんは、東京品川区にある創業59年の「戸越銀座温泉」へ。中に入ってみると、そこにはなんと、当番組レギュラーのサバンナ・髙橋茂雄さんが! 壁一面に描かれた富士山を見ながら、高橋さんがムスタファさんに、銭湯とサウナの楽しみ方をレクチャー。

nipponikitai_20191125_18.png
さらに露天風呂日本一に選ばれた「蒼き島の宿 熊野別邸 中の島」(和歌山県)にも宿泊。

nipponikitai_20191125_19.png
帰国を前にムスタファさんは「このニッポンの温泉はとてもサイコ~ですね~! タトノッタ(整った)~!」とコメント。ニッポンの温泉を十分に満喫できたようです。ムスタファさん、またのご来日お待ちしています!

全国から買いに来る名店で豆腐作りを学ぶ

続いてご紹介するのはフランス・ボルドーに住むダビッドさん(36歳)。

nipponikitai_20191125_20.jpeg
ダビッドさんが愛してやまないのがニッポンの豆腐。豆腐を初めて食べたのは10歳の時で、その時の衝撃が忘れられず、今では独学で豆腐をイチから作るほど。「白い角のラインが最高ですよね!」とダビッドさん。フランス産の大豆で豆乳を作り、ニッポンの「にがり」を取り寄せて、本格的な豆腐を作っています。最も難しいのが火加減だそうで、ダビッドさんは83℃にしているとのこと。なんとこの豆腐をほぼ毎日作っており、並々ならぬ豆腐への情熱を感じます。こちらがダビッドさんお手製の木綿豆腐。

nipponikitai_20191125_21.jpeg
見た目はニッポンの豆腐と変わらない出来栄えですが、番組スタッフがいただいたところ「豆の味がすごいですね。でも、ニッポンの豆腐よりちょっと硬いかもしれない」とのこと。

「そうなんです。ニッポンのはもっと柔らかいんですよね。柔らかくする方法が知りたいです。そして最高の豆腐をフランスで広めたいんだ!」と熱く語るダビッドさんは、6年前から豆腐を販売しています。そこで、設備などに貯金を使い果たしてしまったため、ニッポンに行く余裕がないというダビッドさんをご招待!

ダビッドさんがまず向かったのは、富山市八尾町。昔ながらの家屋が立ち並ぶ諏訪町本通りに、全国からお客さんが豆腐を買いに来る名店「長江屋豆富店」があります。

nipponikitai_20191125_22.jpeg
環境大臣の小泉進次郎さんや伊集院光さんら食通の有名人もこぞってやってくるとのこと。夫婦でこの場所に店を構えるのは長枝さん。

nipponikitai_20191125_23.jpeg
まずは豆腐を試食させてもらうことに。ダビッドさん、初めて食べるニッポンの豆腐のお味は?
「クリーミーな色で見た目も美しいです。(一口食べて)ワオ!美味しい!! 舌の上にのせると溶けてなくなるように柔らかいです。少し甘みがあり、大豆の味が引きたっています。ビックリしました!」。

nipponikitai_20191125_24.jpeg
それもそのはず、長枝さんの豆腐には普通では考えられないいくつものこだわりが詰まっています。そのため一丁300円ですが、全国にファンがいるため、ネット販売もすぐ完売してしまうとのこと。いったいどのようにして作られるのでしょう。

まず、大粒で甘みと旨みに長けた富山産の希少品種「オオツル」を北アルプスの雪解け水に一晩浸けます。実は富山市の約7割は森林。いたるところに湧き水があります。豆腐は8割以上が水でできているので、富山のきれいな水が美味しい豆腐を生むとのこと。

そして石臼で豆をすりつぶし、「呉」にします。普通はこの呉を高温で煮てからしぼりますが、長枝さんは生のまましぼるので味に雑味がなく、たんぱく質を分解しないので大豆本来の味の強い、濃い豆乳ができます。機械でしぼったあと「もっともっとやります。まだしぼり切れてないんですよ」と言いながら長枝さんはある器具を持ってきました。今度は手作業で麻の袋に入った呉を器具の間に挟んでしぼります。これでもしぼり切れない時は...。

nipponikitai_20191125_25.jpeg
上に座ってさらにしぼります。ほぼ毎日豆乳を搾るだけで3時間。こうしてできた濃厚な豆乳を釜で煮ます。煮た豆乳の糖度を測ると14%くらいで、これはスイカより少し甘いとのこと。一般的な豆腐の糖度は10%。糖度が高いと粘りが出るため食感の良い豆腐になります。

そしていよいよにがりを入れて豆乳を固める工程へ。ダビッドさんが奥様の美千子さんににがりを入れる温度を尋ねると、「木綿で60~70℃の間。柔らかいお豆腐ほど温度は低い」と教えてくださいました。いつも83℃でにがりを入れていたダビッドさん。ニッポンへの旅で最も知りたかった柔らかい豆腐を作るコツが分かりました。

うちわでちょうどいい温度まで冷ました豆乳ににがりを入れる際、ダビッドさんはにがりに薄く色がついていることに気づきます。

長枝さんの生しぼりと並ぶもうひとつのこだわりは、天然にがり。通常は精製されて透明ですが、伝統的な製法で塩を作る際にできるにがりには、天然の色素が残っているのです。素材にこだわり塩田まで足を運び選んだそう。

こうして出来上がった極上の木綿豆腐には最後までこだわりがありました。なんと出来上がっても水に入れて保存しないのです。豆腐は水に浸けることで保存がききますが、旨みが逃げてしまうため「長江屋豆富店」では水に浸けずに木綿豆腐を販売しています。

nipponikitai_20191125_26.jpeg
「柔らかいだけでなく、ここまで気を配っているから美味しい豆腐になるんですね」と感心するダビッドさん。

絹豆腐も、特別な作り方をしていました。にがりを混ぜた後、一晩冷蔵庫で寝かせるのです。生しぼりは大豆を煮ないため、たんぱく質が分解されず、固まりづらいとのこと。生しぼりで作る豆腐は、あらゆる工程でひと手間もふた手間もかかっていたのです。

そして、この絹豆腐を使った逸品がありました。生しぼりで作られた厚揚げ! 全国から注文が殺到する逸品です。

nipponikitai_20191125_27.png
水分をたくさん含む柔らかい絹ごしを揚げるのは至難の業ですが、美千子さんは手際よく揚げていきます。初めて揚げを見たダビッドさんは「豆腐をそのまま揚げるなんて調べても出てきませんでした」と驚いた様子。生しぼりで作った厚揚げ豆腐は、揚げても中はパサつくことなくしっとり。揚げ初体験のダビッドさんも「揚げの中の豆腐が本当にクリーミーです」と感動。

nipponikitai_20191125_28.png
別れの時。「本当にありがとうございました。この経験を生かしてフランスで豆腐を作りたいと思います」と挨拶をするダビッドさんに、長枝さんは、天然にがりと醤油、ダビッドさんのために美千子さんが作った豆腐とおからのレシピ集をプレゼント。長枝さん、本当にありがとうございました!

nipponikitai_20191125_29.jpeg

沖縄豆腐の驚きの材料とは...?

続いてダビッドさんがやって来たのは宮古島。「沖縄には違う豆腐文化があると聞いたのでとても楽しみです」と話します。実は一世帯当たりの豆腐支出額が日本一(約6,600円)である沖縄。昔は各家庭で豆腐作りが行われていたほど、島民にとって親しみのある食べ物なのです。沖縄の豆腐文化最大の特徴は、温かい豆腐が売られていること。温かさは鮮度の証なので、沖縄では、みな出来たてを買いに急ぐとのこと。

今回ダビッドさんが伺う「石嶺とうふ店」は、納品されたらすぐに売り切れてしまうほどの人気店。
早速訪ねてみると、豆腐店を営む山村さんご一家が出迎えてくださいました。

nipponikitai_20191125_30.jpeg
こちらでは昔ながらの製法にこだわり、今ではほとんど使わないある材料を使うため幻の豆腐とも呼ばれています。その材料とはなんと海水! 今から汲みに行くというのでダビッドさんも同行させていただくことに。

少し流れがある岩場に着くと、おもむろにロープにつないだバケツで水を汲み始める日出男さん。

nipponikitai_20191125_31.jpeg
実はこの海水が幻の豆腐を生む最も大切な材料。「石嶺とうふ店」の豆腐作りは深夜2時半から始まります。ダビッドさんが厨房に向かうと、日出男さんがすでに豆をすって呉にしていました。ラードを呉の泡のある部分にかけて泡消しに使います。泡を残すと豆腐の日持ちが悪くなるため、通常は消泡剤を使いますが、自然の産物であるラードを使うのは贅沢とのこと。

遠心分離機で豆乳をしぼり、煮釜で直火にかけて豆乳を煮ます。薪炊きは長男・真太郎さんの仕事。「火の具合は1~2分目を離したらいつの間にか変わっているから」と話します。薪炊きは気の抜けない大切な仕事。豆乳が煮えると洋子さんの出番で、湯葉をきれいにすくい取ります。薪が多いと豆乳が湧いてしまってきれいに張らないそう。

nipponikitai_20191125_32.jpeg
そしてこの後が、幻の豆腐を作るための重要な工程。前日に汲み、サンゴを通してろ過した海水を加えて豆乳を固めます。海水に含まれた塩化マグネシウムで豆乳が固まり、塩気も加わる沖縄の豆腐。手間と時間がかかるため、この伝統的製法を守る店は激減しており、味を似せるために食塩を入れる店もあるそうです。

海水を加えると豆乳が固まって鍋の周りに寄ってくるとのこと。これを沖縄の方言で「ゆしる」と言い、「ゆし豆腐」と呼ばれています。豆腐を四角い状態にする前のゆし豆腐は袋に入れて販売され、沖縄ではごく一般的に食べられています。

nipponikitai_20191125_33.jpeg
早速、出来たてのゆし豆腐を味見させていただくダビッドさん。汁の部分と豆腐を一緒にすくってスープのようにいただきます。はたしてそのお味は?

nipponikitai_20191125_34.jpeg
「僕もスープの様にして豆腐を食べることがありますが、味は海水の塩分があり全く違います」とダビッドさん。宮古島の海水で作った塩はミネラル成分の多さでギネス世界記録(2000年)に認定されたほど。綺麗な海がなくなれば作ることができないことから、この豆腐は幻の豆腐と呼ばれているのです。

今度は、ゆし豆腐を木箱に詰めて水を抜きます。「切った時に穴があいていない豆腐で送り出したい。だから何度も何度も詰める。満足のいく豆腐を作りたいから手を抜かない」と話しながら、その言葉通り何度も詰めては水を抜く洋子さん。

nipponikitai_20191125_35.jpeg
ゆし豆腐から作った島豆腐の一丁は、なんと1キロ! できたての島豆腐を味見させてもらうと...「冷たい豆腐を温めて食べるのとは美味しさが全く違います。海水の塩分が味を引き立ててとても美味しいですね」と感想を伝えます。

切り分けて袋詰めした島豆腐は長女の明日香さんがすぐに地元のスーパーへ配達。沖縄県民が温かい豆腐を好むのは、各家庭で出来立ての豆腐を食べていた名残だそう。そのため国が冷たい豆腐の販売を義務付けた際、沖縄県民は猛反対。昭和49年に、温かいまま豆腐を売る特例を認めさせたのです。

その日の午後、洋子さんが豆腐を使った夕食作りをしていました。湯葉入りのオムレツに豆腐チャンプルー、豆腐のさば缶和えなど...。ダビッドさんも、フランスでよく作るという湯葉パスタを振舞います。

nipponikitai_20191125_36.jpeg
夜になり、山村さんのご友人の皆さんが集まってくださいました。

nipponikitai_20191125_37.jpeg
揚げ豆腐を酢で味付けしたイカ入りの豆腐の苦菜和えを食べると、「洋子さんは厳しいですが素晴らしい料理人です」と冗談交じりに話すダビッドさん。ダビッドさん作の和風湯葉パスタも「ずみ!(最高)」と、皆さんが沖縄の方言で褒めてくれます。

別れの時。「本当にありがとうございました。感謝の思いを手紙にしました。親愛なる山村さん。皆さんのおもてなしに心から感謝しています。日出男さん、毎日早朝からよく働く日出男さんに勇気をもらいました。洋子さんは家族を引っ張りとてもユーモアのある方です。人には忘れられない出会いがあります。僕にとって今回がその出会いです。これからも宮古島の人を笑顔にしてあげて下さい」。ダビッドさんの心のこもった言葉を聞いて涙ぐむ日出男さんと洋子さん。

沖縄の泡盛と長女の明日香さん作・ダビッドさんの似顔絵がプレゼントされ、「ずみ!」の言葉が飛び交います。

nipponikitai_20191125_38.jpeg
「ハグしていいかな?」という言葉と共にダビッドさんとハグを交わした洋子さん。

nipponikitai_20191125_39.jpeg
今回も素晴らしい出会いがたくさんありました。ムスタファさんとダビッドさんを快く受け入れて下さった皆さん、本当にありがとうございました!

そして今夜8時放送! 「世界!ニッポン行きたい人応援団スペシャル」では、"ニッポンにご招待したら人生が変わっちゃった!スペシャル"を放送。これまでにご招待した方々は29ヵ国149人! その中で、ご招待後に人生が変わっちゃった人を追跡します!

nipponikitai_20191125_40.jpeg
約3年半前にご招待した「ニッポンで相撲文化に触れたい」ポーランド人女性。その際には、大相撲 佐渡ヶ嶽部屋・琴奨菊関とも対面し、さらに100年の歴史を持つ名門・立命館大学相撲部で稽古をしました。そして今回なんとポーランド代表として世界相撲選手権大会への出場が決定! そこで日本代表として来ていた立命館大学・今選手とも再会。白熱する大会の様子をお届けします。そしてポーランド代表になった彼女だけでなく、日本代表・今選手にもスタジオ驚愕の変化が!

nipponikitai_20191125_41.jpeg
さらに「陶芸工房で練り込みの技術を学びたい」ロシア人女性が来日。1300年以上にわたり培われた陶芸の技法「練り込み」を学ぶため、1000年以上続く焼き物の産地・愛知県瀬戸市へ。瀬戸市無形文化財に認定されている陶芸練り込み作家・水野教雄さんに指導を受けます。

どうぞお楽しみに!

PICK UP