83歳の渋谷の仙人「貧しいだけに見えても、心の中は見えない。飯が食えれば人は不幸ではない」壮絶人生を語る:家、ついて行ってイイですか?(明け方)

公開: 更新: テレ東プラス

11月18日(月)に放送した「家、ついて行ってイイですか?(明け方)」(毎週月曜深夜3時55分)では、渋谷駅で神輿を担いでいた前島幹雄さん(83歳)のお家にお邪魔しました。あの有名俳優の後輩で、昔は俳優だったという経歴だけでも驚きですが、さらに凄まじい人生ドラマが待っていました!

900年以上続く伝統的なお祭り「金王八幡宮例大祭」で神輿を担ぎ、渋谷を練り歩く前島さんを発見! ただモノじゃない風貌に「家、ついてってイイですか?」と聞いてみると「ああ、いいよ!」と即答。とりあえず、お神輿の終了まで同行することになりましたが、途中で前島さんを見失うスタッフ。 慌ててお神輿を担いでいた人たちに聞いてみると...「大炊宴にいるんじゃないかな」との情報が。原宿にある中華料理店「大炊宴」に向かうと、ご機嫌にビールを飲んでいる前島さん発見。なんとも 波乱の幕開けとなりましたが、無事に合流し、板橋にある前島さんにお家に向かいます。

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1937年9月生まれの前島さんは現在83歳。元植木職人さんですが、その前は劇団俳優座に所属する俳優さんでした。「田中邦衛さんや平幹二朗さん、仲代達矢さんが先輩にいた」と、日本を代表する名優たちの名前がスラスラ挙がります。役者になりたくて4浪してまで入った劇団でしたが、「酒の上で失敗。それも舞台の上で失敗して、意識を失ったみたいになった」と、俳優をクビになった経緯を話してくれました。役者をしていた28歳の時に結婚したものの、6年後に離婚したバツイチさん。その離婚の理由も後ほど明らかになります。

前島さんのご近所の町に到着すると、「記事があるの、ここですよ」と前島さんが案内。するとそこには「サハラ単独 灼熱地獄から生還」という見出しがどーんと載った新聞記事がお店のウィンドウにデカデカと張り出されていました。前島さんのファンである商店の方が店の扉に張り出してくれています。サハラ砂漠の旅について質問しているところで、前島さんのお家に到着。

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1997年から住んでいるというお家は、6畳1間、家賃4万2000円の年季が入ったアパート。玄関の扉は開けっぱなしで鍵をかけたことはないといいます。雑然としたキッチンからは、ちょっと臭いもしたり、タンスの中には色んなものがぶち込まれていたりと、スタッフも引き気味の荒れっぷり。前島さんは定位置に座ると、すっと手を伸ばした棚にある歯ブラシで歯を磨き、開けっ放しの窓に「ぺっ」と口の中身を吐き出します。こちらも20年以上の日課だそう。

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365日自炊なので、冷蔵庫の中には豚足やドレッシングなどの食材が程よく入っており、生活感に溢れていました。そして本棚には「僕の15歳からの日記」がズラリ。その中から一冊のノートを取り出し、とある1日の日記を読んでもらいますが、赤裸々な内容に前島さんもちょっと照れてしまいます。もう1つの本棚にも歴史書などがビッシリ。前島さんが世界の歴史に興味を持つようになった理由は、1964年に開催された東京オリンピックでした。

当時、国立競技場の前に住んでいた前島さんは、訪れる世界各国の人々を見て「これは実際に国を見ないと分からない」と思い立ち、1年間働いてお金を貯め、1970年から世界一周の旅に出ます。

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旅行中には「チリで56本のフィルムと日記を全部盗まれた」というハプニングに合いながらも、3年間で76カ国を旅したそう。その後サハラ砂漠に行くなどし、生涯で訪れた国は131ヵ国に及びます。パスポートは11冊で「これだけのパスポート持っている人はいないと思うわ」とちょっと自慢げな前島さん。おっしゃる通り!

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「アフリカ人とか南米の方々がどういう考え方を持っているかは、見ただけじゃ分からない。ただ貧しいだけに見えても、心の中は見えない。それが僕のコンプレックスというかな」とコメント。世界を旅するようになってから古代史を勉強し「人間って何だ」と考えるようになったと話します。

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旅の一番の思い出は、別れた元妻とフランスのリュクサンブール公園で2年ぶりに偶然再会したこと。「靴を買おうと思う」という元奥さんに「結婚していた時は何も買ってあげなかったから、200ドルのグッチの靴を買ってやった。喜んだね」と前島さん。「待っていろ、というのはかわいそうだったから、それで別れた」。実は最初の世界旅行に出発する直前に、自ら奥さんに別れを切り出したそう。前島さんの切ない過去が明らかになりました。

家族を持たず、好きなようにやってきた人生を振り返り「本当に楽しかったね」と話します。さらに世界には住む場所もない人たちがいる中で、「ガスも電気もあるし、十二分の生活。飯が食えれば人は不幸ではない」と今の生活に感謝していると語ってくれました。ただ、旅をすることにはまだまだ未練があるようで「エチオピアでもナイジェリアでも僕が行った50年前と同じじゃない。できたらもう一度世界旅行をやりたいけど、もう歳だし。ここで十分だな」世界を冒険した日を懐かしみながら、締めくくってくれました。

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