日本人といえば麺類が大好物! でも家で作るのはちょっと大変......という方も多いのではないでしょうか。そんなときの味方になってくれるのが、そうめんです。
「そうめんといえば、夏に冷やして食べる物というイメージが強いですが、実は季節を問わずに美味しい食べ方はいくらでもあるんです」
そう話してくれたのが、そうめん研究家の「ソーメン二郎」さん。今回はその研究成果の中から、とっておきのレシピを紹介していただきました。戸棚に残ってしまったそうめんを、この機会にぜひアレンジして食べてみてはいかがでしょうか。
1年中そうめんを楽しむキーワードは、「脱めんつゆ」!
高級そうめんの産地である奈良県で、三輪素麺の製麺所の家系に生まれたというソーメン二郎さん。その故郷では生産者が年々減り、そうめんが絶滅の危機にあるといいます。そこで、そうめんをより多くの人に食べてもらうべく、さまざまな食べ方を研究されているのだとか。
「そうめんは『夏の風物詩』というイメージが強いですが、例えば沖縄県では1年中そうめんが売れています。どうしてだかわかりますか?」
それは、単に沖縄県が1年中暖かいから......というわけではないようです。理由は調理法にあるのだとか。
「沖縄には『そうめんチャンプルー』という定番料理がありますよね。みんな、家で炒めたそうめんを1年中食べているんです」
▲沖縄の郷土料理「そうめんチャンプルー」は、1年中食べられている県民食。
確かに! なんとなく食べていたけれど、そうめんチャンプルーは沖縄料理店でも1年中、メニューに載っていますよね。でも、チャンプルー以外の食べ方は?
「そうめんをアレンジして楽しむキーワードは"脱めんつゆ"です。そうめんは小麦粉と塩、水だけでできているシンプルな食べ物なので、ほかの食材とも合わせやすく、アレンジが無数にできます。アレンジ次第でお弁当に入れたり、デザートにもできますよ。まずは『そうめんにはめんつゆ』という概念を捨てると、いろいろな食べ方が見えてくると思います」
冬の定番「にゅうめん」から、おかずの1品にも
まずは、ソーメン二郎さんが秋冬の食べ方として、オススメしていたのが「にゅうめん」でした。
「温かい汁で煮込んで食べるそうめん『にゅうめん』は、ラーメンよりもカロリー抑え目で罪悪感が少ないし、胃にも優しいので、お酒を飲んだ後の夜食に向いているんです。温かいめんつゆに入れて煮込むのもいいですが、茹でたそうめんにお茶漬けの素とお湯をかければ、さらっと食べられる汁そうめんができます」
確かにご飯をお茶漬けで食べるよりも、にゅうめんは消化に良さそうです。では、夕食の食卓に載せるなら、どんなものがあるでしょうか?
▲いつもの豚汁にそうめんを入れるだけ。食べ応えのある1品に。
「食べやすいように短く折ったそうめんを、茹でずに豚汁に入れて煮てみてはどうでしょうか。青ネギや柚子コショウを添えるとおいしいですよ。いつもの豚汁が、少しグレードアップします」
あっさりしたおかずで、ボリュームが欲しい時にも良さそうなレシピですね。少し冷えてくる時期にはぴったりです。
▲茹でてあまったそうめんを使って作れる「そうめんと豚肉のミルフィーユ仕立て」。
「さらに、豚肉と組み合わせると、食べ応えのあるおかずになります。フライパンにごま油をひき、茹でて冷水でもみ洗いした後で水気を切ったそうめん、塩とコショウを振った豚肉、青じそを交互に重ねてミルフィーユ状に。ふたをしたら、蒸し焼きにしてください。ジューシーな脂とそうめんのモチっとした食感がたまりませんよ! ポン酢しょうゆで食べるのがオススメです」
そうめんは、茹ですぎてあまったものを使ってもOKとのこと。そうめんがメインディッシュにも活用できるとは、目からウロコでした。
デザートにもそうめんを。パーティメニューでサプライズ!
▲フルーツポンチにそうめんを。カラフルな見た目はパーティメニューにもぴったり。
汁物にメインのおかずときたら、最後はデザート。「えっ、デザート?」と驚きましたが、そうめんは甘い味付けでも美味しいとソーメン二郎さんは言います。
「材料がシンプルだし小麦粉なので、デザートにもアレンジしやすいんです。白玉団子みたいな感覚で、フルーツポンチに入れてみると華やかですよ。茹でて、冷水でもみ洗いし、水気をよく切ったそうめんを器に入れて、切ったキウイやイチゴ、グレープフルーツ、缶詰のみかんや白桃を汁ごと入れて、食べる前にサイダーを注ぎます。サイダーをジンジャーエールにすると、少し大人向けの味になりますね」
なるほど、確かに材料が白玉に近いだけに、デザートにそうめんが使えるというのも納得です。白玉よりも手軽に作れるのも魅力ですし、ホームパーティで出したら、ゲストがびっくりしそうですね!
「そうめんは、シーンによって応用が効くんです。今回紹介したアレンジはもちろん、いつもの食べ方にちょい足しするのでもいいし、歴史のある手作りの品だから、贈り物にもできる。こんな麺、世界中見てもそうめんくらいですよ」
そう語るソーメン二郎さんは、他にもさまざまなアレンジレシピを考案しています。これも、そうめん愛の深さゆえなのでしょう。ぜひ皆さんも「脱めんつゆ」のそうめん料理にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
【参考資料】
「簡単!極旨!そうめんレシピ」(扶桑社)
監修:ソーメン二郎
定価:990円(税込)