2024年以降にカジノが日本にできる? その前に「カジノの世界」を学ぼう!

公開: 更新: テレ東プラス

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今年9月、横浜で「ギャンブル依存症が増える」「治安が悪化する」といった理由から、カジノ誘致を反対する声が上がった。確かにカジノといえば危ない印象がつきまとう。でも、世界のカジノをよく知る人からはそのイメージを残念がる声も。世界ではどんな場所だと思われているの? 日本では知られざるカジノの魅力を、カジノディーラー育成学校「日本カジノ学院」に聞いた。

本来は健康的な場所? ゴージャスなオトナの遊び場

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2016年12月に「カジノ法案」が成立して以来、しばしばカジノに注目が集まっている。大きな観光資源になるという賛成派の声がある一方で、今年9月には横浜でカジノ反対派が声をあげ、一悶着あったばかりだ。悪いイメージが先行しているが、そもそもカジノとは、世界ではどういう位置付けなのだろう?

「日本では競馬やパチンコと同じギャンブルとして後ろ暗い文脈で語られるのですが、それは大きな誤解です。世界におけるカジノは、高級ホテルや豪華客船と同じ、きらびやかで美しい世界なんですよ」と教えてくれたのは、日本カジノ学院代表・贄田(にえだ)崇矢さんだ。

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そもそもギャンブルの歴史をひもとくと、有史以来、私たちのご先祖は石や木片、動物の骨などをダイスとしてさまざまなゲームを考案して遊んできた。そして、17世紀のイタリアで産声をあげたのがカジノだ。

「男性はスーツやタキシード、女性はカクテルドレスというドレスコードがあるカジノもあって、世界では週末におしゃれをして観劇にいくようなイメージの場所なのです。マフィアが出入りするような一部の裏カジノはさておき、本来のカジノはセキュリティの行き届いた場所であり、非日常の世界に浸りつつ、ゲームで遊べる健康的な遊び場なのです」(贄田さん)

世界のカジノをのぞいてみよう! 人気カジノ3選

●「カジノバーデン・バーデン」(ドイツ)
世界で最も美しいと称される、250年の歴史あるドイツ最古のカジノ。温泉地・バーデンバーデンにある。古くから王族や貴族の社交場として利用されてきた歴史があり、音楽家・シューマンが演奏したり、ドストエフスキーが遊んだとの逸話も。

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●「マリーナベイサンズ」(シンガポール)
世界最大の屋上プールや受賞歴のあるレストラン、さまざまなショッピングやエンターテイメントで知られるシンガポール随一の5つ星総合型リゾート。日本が目指すIR(複合型)カジノのお手本になりうるカジノだ。

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●「グランカジノ・ルツェン」(スイス)
カジノファンらが「最高だった」「忘れられない」と口を揃える人気カジノ。スイスの観光都市・ルツェルンの湖畔という美しいロケーションにあり、夏はアルプスの山々を眺めながら食事ができる。ゲームをしながら一杯楽しめるバーも。

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どうせ遊ぶなら勝ちたい! 必勝法はあるの?

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カジノにはいろんなゲームがあるようだが、必勝法はあるのだろうか?

「うーん、カジノは確率に支配された世界で、遊ぶ人の"勘"と"運"がすべてです。ただ、確率についてよく学び、少しでも勝率の高い方を選んでいけば、ちょっとずつ持ち金を増やすことができるかもしれません。つまり、ルールをよく知って遊ぶことが大切ですね」(贄田さん)

でも、カジノディーラーと初心者では勝負した時にゲームスキルの差が歴然では?

「あっ、それはよくある誤解です。基本的にディーラーは何もしていません。ゲームの中でカードを引いても、次の一手はあらかじめ決められたルールに沿うだけ。自分で思案して何かを選択することはないんですよ」(贄田さん)

ディーラーはあくまでゲームの進行役。カジノでは、自分のツキだけで勝敗が決まることが多いのだそうだ。

入門するなら「ブラックジャック」から!

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「ルールが単純で、初心者でも楽しめるゲームを見せて!」と頼むと、遊戯台の一つで生徒と講師の「ブラックジャック」が始まった。ブラックジャックは、トランプのカードが2枚ずつ配られて、その合計が21を越えないようにするゲームだ。

次々と「ベット!」という弾んだ声が上がる。ディーラー役を務める講師・目代皓太郎さんがカードを引いた。

「ブラックジャックは、自分の運で勝敗が決まる個人プレイが多いカジノのゲームとしては異色で、同じ遊戯台を囲むプレーヤーたちとのやり取りが発生します。そのため、相手のレベルによって勝敗が左右されることも。そこが面白いところかな? とはいえ、やっぱり最後は運。初心者も上級者も同じ土俵で楽しめるゲームといえますね」(贄田さん)

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引いたトランプの数字に目を走らせて「あ......敗けちゃいました」とはにかむ講師の目代さん。ワァッと生徒たちから大きな歓声。ディーラーが負けた場合、プレーヤーたち全員の勝利となるのだ。

「ブラックジャックは同じ遊戯台を囲むプレーヤーの間でチームに似た絆が生まれることも多いんです。世界のカジノを訪れると、国や年齢を越えてワイワイ盛り上がっているところをよく見かけますよ。もし入門するなら、ぜひこのゲームのルールを覚えてみてください。初心者でもきっと楽しめるはずです」(贄田さん)

日本にはどんなカジノができる?

今すぐカジノに行きたくなってしまったが、実際に日本に誕生するのは2024〜2025年になるといわれている。日本のカジノは一体どんな風になるんだろう?

「予想図としては、日本がお手本にしていると言われるのは先にも紹介したシンガポールにあるIR型カジノ『マリーナベイサンズ』です。ちなみにIRというのは、Integrated Resort(複合型リゾート)の略。日本が目指しているのは、ホテルやショッピングモールなどとセットになったテーマパーク型のカジノなんですよ」

日本にカジノができたら、私たちも遊ぶことができる。入場料は6000円で、日本人のカジノ入場回数は、週に3回かつ月10回が上限となる見込みだ。

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また、場所は国内3か所を予定。具体的には、東京(お台場)、ちょっと雲行きが怪しい神奈川(横浜)、千葉(幕張)、北海道(苫小牧)、愛知(名古屋)、大阪(夢洲)、和歌山(マリーナシティー)、長崎(ハウステンボス)などが名乗りを上げており激戦となっている。

「カジノは世界中にあるものだから、日本までわざわざ足を運んでもらうには日本らしいカジノが必要です。そのためのおもてなしの方法を考えるのが大切。例のマリーナベイサンズが誕生した時は、シンガポールならではのエビの料理が大人気になり、その界隈が大いに潤ったといいます」(贄田さん)

なるほど、もしIR型カジノが誕生すれば、カジノだけでなく、そこにひもづく業界も大いに盛り上がりそうだ。"風が吹けば、桶屋が儲かる"の発想で掴めるチャンスは多いかもしれない。

「日本にカジノが誕生する際も、およそ900種の職業が必要となり、1万人の雇用が発生すると言われています。とくに発想の豊かな若い人たちには、ぜひ一度、食わず嫌いをせずにカジノの世界に触れてみて欲しいな。もちろん依存症には気をつけながら、ね!」(贄田さん)

【取材協力】
日本カジノ学院
住所:東京都渋谷区神南1-20-10 2F
電話番号: 03-6712-7073

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