「無礼講」はどこまでOK? 会社の飲み会で失敗しない7つの方法

公開: 更新: テレ東プラス

これからの季節、年末年始の忘年会に新年会、また春先には送別会に歓迎会など、職場での宴席が増えます。料理は取り分けるべき? 何を話せばいい? という疑問や、「今日は無礼講で」の声にハメをはずし過ぎた、途中から記憶がないなど、翌日「やっちまった......」と後悔した経験もあるのでは?

さまざまな専門家がレギュラー出演中の生活情報番組「なないろ日和!」(毎週月~木 午前9時26分~放送中)から、今回はマナーコンサルタントの西出ひろ子さんに「会社の飲み会でのマナー」についてお話をうかがいました。

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会社の飲み会マナー 7つのポイント

気心の知れた友達同士ではOKな言動も、上司や同僚との"職場"の宴席では失礼な印象を与えたり、場の空気を乱してしまうことも。まず、会社の飲み会は「会議をする場所が、オフィスからお店に変わっただけ。"仕事モード"であることは絶対に忘れてはいけません」と西出さん。飲み会で気になる、7つのマナーを紹介します。

nanairo_20191110_02.jpg画像素材:PIXTA

【飲み会マナーの疑問1】無礼講ってどこまで許される?
上司の「今日は無礼講で!」との言葉があったから、後輩が先輩にタメ口で話してもOK? 「無礼講」って、どこまで許される?

「『無礼講』とは、上座下座など"席次を気にせず座って良い"という意味です。何をしても許されるという意味ではありませんので、普段通りの言葉遣いや態度を忘れないでくださいね」(西出ひろ子さん、以下同)

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【飲み会マナーの疑問2】乾杯のときはビールじゃなきゃダメ?
乾杯のとき、ビールが苦手な場合は別の飲み物を頼んでもOK? ドリンクの運ばれてくるタイミングが合わず、気まずい雰囲気になるんじゃ......。

「乾杯が瓶ビールの場合は、周囲の空気を読んでビールにしたほうが良いかもしれません。先輩が他のドリンクを頼んでいれば、それに便乗しましょう。飲みたいお酒は2杯目から」

【飲み会マナーの疑問3】お酌でグラスを持ち上げるべき?
飲み物を注いでもらうときは、グラスを持ち上げたり、傾けたりした方がいい?

「ワインはグラスを置いたままで。グラスを持つのはマナー違反です。ビールの場合は、グラスを持ち上げたり傾けたりしますが、実はこれは日本で始まったこと。マナーとしては本来NGですが、注ぎやすいよう相手のことを考えた行為なので、持ち上げても傾けてもOKです。これは日本独自のルールですね」

また、上司の空いたグラスにお酒を注ごうとしたら、「手酌でいいから」と。この場合は、どうすればいい?

「最近は、自分のペースで自由に飲みたいと、手酌も増えていますね。上司の方が『手酌でいいよ』とおっしゃったら、『恐れ入ります』と言って、お任せしましょう」

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【飲み会マナーの疑問4】料理は取り分けるべき?
大皿で出された料理は、取り分けるべき? 誰も手をつけないけど、自分の分だけ先に取ってもいいの?

「本来、テーブルマナーとしては、お取り分けをするのは、お店の人であり、お客の立場で取り分けはしないのがマナーです。基本は、自分の分を自分で、がマナーです。また、最初に手をつけるのはその場で最上位の人。その人が手をつけなければ、他の人は手をつけられないとなります。

このような前提はありますが、実際には、なかなか杓子定規にはいきませんね。
そこで、キーワードは"自由"。日本では、自分が取り分けたいという方は、みなさんの分を取り分けてもいいですし、もちろん自分の分だけ取ることも問題ありません。ただ、お皿に一番初めに手を伸ばすときは、『私、取り分けますね』『僕、先にいただきますね』と一声かけると、他の人も取りやすくなります。また、自分が上の立場なら、率先して『お先に』と食べれば、部下や後輩の方は食べやすくなりますね。
女性だから、新人だからという理由で、取り分けを強要するのはマナー違反です」

【飲み会マナーの疑問5】どんなことを話せばいい?
仕事以外でコミュニケーションを取ったことのない同僚と隣の席に。どんな話をしていいのか......避けた方がいい話題は?

料理の批評はNG!
「出された料理に対する批判は、場の空気も悪くなりますね。マイナスの発言をする方がいたら、『あ!この○○は美味しいよ』と話を別のお料理に振ってみたり、スルーしましょう」

論破はNG! 目的は相互理解
「以前は、政治・経済・宗教の話題はNGと言われていましたが、私はその方の考えを知ることができる機会になるので良いことだと思います。ただし、『こういう考え方もあるんだ』と受け止め、批評批判はしない。言い返さない。会社での飲み会は議論をする場ではなく、同僚との相互理解を深めるためですから、本来の目的をお忘れなく」

【飲み会マナーの疑問6】酔った上司の説教、どう対応すればいい?
お酒も入ってくると、上司のモラハラまがいの説教、後輩の失礼なエイジハラスメント発言など、不快な出来事も。どう対応すればいい?

「カチンときても微笑む。相手を手の平で転がすくらいの心持ちで対応したいですね。また、ハラスメントを受けている人を見つけたら席を移動させるとか、部長に説教されている人を見つけたら『僕も部長と話したいです』と割って入って話題を変えるとか、困っている人をさりげなく守ってあげましょう。そうすることで、みなさんが心地よくなれますね」

【飲み会マナーの疑問7】
酔っ払って途中から記憶がない! もちろん飲みすぎないことが大前提ですが、「失礼なことをしてしまったかも......」と不安になったときは?

「気になるようなら、『申し訳ありません。記憶がないので、みなさんに失礼なことをしたり、言ったりしていたら申し訳ありません』と先に伝える。『からんで大変だったよ』と言われたら、詳細を聞いて、相手にお詫びに行ったほうがいいですね。ご自分がからまれた場合は、相手の言葉や態度を引きずらない! "酔っ払いのたわごと"と思って忘れましょう。

自分が酔うとからんだり暴れたりするタイプなら、それを自覚して、周りの人に『飲ませないでね』とお願いしておきましょう。会社の飲み会は仕事。あくまでも仕事で知り合った方、仕事中だということも忘れないで、飲みすぎに注意してください」

幹事必見! 店選びの心遣い

職場の宴席は、お店選びも一苦労。そんな幹事さんのために、店選びの心遣いポイントを紹介。

【ポイント1】女性参加者のために、冬場はお座敷席を避ける
「冬はブーツを履く女性が多いので、靴を脱ぐお座敷席はなるべく避けたほうがいいですね」

【ポイント2】二次会は事前に出欠をとる
「二次会の有無は事前に決めておく! 一次会後にその場で決めるとバタバタしますし、誘われなかった人も出てくるなど、わだかまりの原因になることも。宴席が決まった時点で、幹事さんが二次会に行きたい人を募り、人数が集まらなければ『二次会はありません。行きたい人はご自由に』とアナウンスする、という形がスマートですね」

仕事の延長といえども、せっかくなら楽しく過ごしたいですよね。紹介したマナーを心掛けて、上司や同僚との相互理解を深めてくださいね。

取材協力:西出ひろ子さん。マナーコンサルタント。ヒロコマナーグループの代表として、人材育成やマナー研修、コンサルティングなどを行うウイズ株式会社の代表取締役会長などを務める。ドラマ、映画での俳優陣へのマナー指導なども行っている。著書は「実ははずかしい思い込みマナー」(PHP研究所)、「運のいい人のマナー」(清流出版)など国内外で85冊以上。近年は、マナー評論家、マナー解説者としてメディアからの取材依頼も多数。
オフィシャルHP
「ファストマナースクール」

西出ひろ子先生も出演する「なないろ日和!」は、今後もあらゆる専門家が出演し、生活に役立つ情報をお届けしていきます。毎週月~木曜9時26分からのOAも要チェックです!

(取材・文/船桂子)

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