年収400万円からスタート? “ブルーオーシャン職業”「カジノディーラー」って、どうすればなれるの?

公開: 更新: テレ東プラス

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「この仕事、向いてないかも」「職を変えたい」と思った時、"手に職"系の仕事に惹かれたことはないだろうか。実は今、日本で新しく"手に職"となる職業が生まれようとしている。それがカジノディーラーだ。

な、なりたい。どうすればなれるのか。不器用でも大丈夫だろうか。そもそも、どんな人材に需要が? 年収は? 賭博マンガの影響で、危険で怖い、殺伐としたイメージもあるが......はたして真相は? カジノディーラー育成学校「日本カジノ学院」に聞いた。

カジノディーラーの卵が最初に学ぶ4つのゲーム

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ガラス扉の向こうから、「ベット!」と弾む声。続いて、わっと上がる笑い声。自然光がいっぱいに差し込んでいて教室内は明るい。みんな楽しそうだ。

ここは全国に5カ所を開校し、およそ1000人が学ぶカジノディーラー養成スクール「日本カジノ学院」。「ようこそ!」と笑顔で迎えてくれたのは、日本カジノ学院代表・贄田(にえだ)崇矢さんだ。

「ここはカジノ産業で働きたい人のために、ディーラーに必要な技術や知識を教えている学校です。入学すると、まずは4つのゲームの習得から始まります。ブラックジャック、バカラ、ルーレット、ポーカーですね。これらはどこのカジノにもある基本的なゲームです。ほか、チップのさばき方、シャッフルの仕方といった基本的なルールを覚えていくんですよ」(贄田さん)

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やや特殊な職場だが、賭博マンガやVシネマで描かれるような危険やイカサマは大丈夫なんだろうか?

「一般的なカジノは遊戯台の周りに複数の監視カメラがついていて、ゲームの展開を逐一記録しています。これは、お客さまからクレームが出たときに、スポーツの試合のようにカメラでリプレイして勝負が適正かを判定するためです。こうしたカジノゲームならではのアクションもディーラーとして学ぶ技術の一つですね。フィクションでの描かれ方のせいで危ないイメージがありますが、カジノとは本来、健康的な場所なんですよ」(贄田さん)

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カジノディーラーに向いてる人ってどんな人?

ところで、カジノディーラーにはどんな人材が求められるんだろう?

「カジノで働く理想の人材は、誠実であること! これは万国共通です。一夜にして1億円もの大金を動かすこともあり、常にお金を触る職業であるため、犯罪歴がある人はなれません。海外では社会的にも信用度の高い仕事で、たとえるなら銀行員のようなもの。ディーラーが最も住宅ローンが組みやすいとされる国もあるほどなんです」(贄田さん)

さらに忘れてはならないのは、カジノディーラーとは、技術職であると同時に接客業でもあることだと言う。

「1つの遊戯台で、最大9人を同時に見ながら進行するゲームもあり、コミュニケーション能力が高く、気が利く人が向いていますね。ゲームの進行スピードは早ければ早いほどよく、そのためには鮮やかにカードをさばく必要があります。でも、それらの技は練習すれば早くなるから大丈夫ですよ」(贄田さん)

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さて、カジノといえば海外客も大事なターゲットだ。どのくらいの英語力があればいいのだろう?

「一つのテーブルを切り盛りするだけのディーラーであれば、英語力はほぼ不要です。というのは、カジノではカメラにちゃんと映るように、ゲーム中の意思はアクションで伝え合うからです。でも、ディーラーの上の役職として、複数のテーブルを統括するフロアマネージャーや複数のフロアを見るピットマネージャーなどに就くと、高い英語力が必要になりますね」(贄田さん)

カジノディーラーの世界はピラミッド式。出世すればするほど英語を話す機会が増えるそうだ。

カジノディーラーの年収は400万円?

そうそう、出世といえばカジノディーラーの年収って?

「海外では、通常のディーラーで約400万円の年収からスタートすると言われていますね。管理職になると、約1,000万円ほどになるとも。お客様からのチップを入れれば、それ以上の収入が見込めるはずです。日本での年収の相場はまだわかりませんが、管理職以上を目指せばチャンスはたくさんあると思いますね」(贄田さん)

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この日、プレーヤーとしてゲームを楽しんでいた生徒・小倉さんは、昨年7月にこの学院に入学。OLとして働きながら技術と知識を学び、今年ベトナムのカジノへの就職が決まった。

「ずっと海外で働いてみたかったんです。技術職だから場所が変わっても働けるし、これから日本にも誕生する予定だから働き方の選択肢も広がるかな、と」(小倉さん)

世界には各国に140ものカジノがあり、小倉さんのように、海外で働くことを望む生徒は多い。生徒たちは、学院からの紹介でワーキングホリデー制度を使い、海外のカジノで経験を積みたいと考える。

「海外でディーラーとしての実務経験を積み、同時に英語も学んで、日本に戻ったらカジノの募集に応募する。そしてディーラーより上のフロアマネージャーからスタートを切る。そんなキャリアプランを立てる生徒さんも多いんですよ」(贄田さん)

子育て後、定年後にも就ける?

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一方、当学院で講師を務める目代皓太郎さんは、管理職より現場に夢中だ。

「カードを触って、チップをやりとりする、この現場の緊張感が大好き。いつか考えが変わるかもしれないけれど、今はずっと現場でディーラーをしていたいと思うくらい楽しいですよ!」(目代さん)

目代さんが言うように、現場を極め、生涯いちディーラーという人も出てくるかもしれない。まるで老舗のバーを切り盛りする、味のあるベテランバーテンダーのように、年齢を問わずに働き続けることも可能なんだろうか?

「日本では未定ですが、例えばマカオのカジノでは定年がありません。だから、高齢のディーラーもいらっしゃいます。日本も、今は年金プラス2000万円が必要とも言われる時代で、勤めた会社を定年した後にディーラーになるという道も十分あり得るのでは。また、子育てが終わった後でも仕事に復帰しやすいことから、ディーラーを目指す女性も多いんですよ」(贄田さん)

まさに"手に職"。現存のカジノ施設の多くは24時間営業で、1ヶ所のIR(複合型リゾート)型カジノでだいたい1,000人~3,000人のディーラーやスタッフが雇用されている。日本におけるIR型カジノの誕生は2024〜2025年頃になると報じられているから、今すぐに就職できるわけではないけれど、今からカジノの知識を学んでみるのもいいかもしれない

【取材協力】
日本カジノ学院
住所:東京都渋谷区神南1-20-10 2F
電話番号:03-6712-7073

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