“肉おじさん”が食の未来を切り開く「格之進肉学校 六本木分校」

公開: 更新: テレ東プラス

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六本木に昨年オープンした「格之進肉学校 六本木分校」。"学校"の名にふさわしく、ただ熟成肉を食べられるだけでなく、牛肉について学び、体験し、交流し、発信する......。3つの店舗で構成される、熟成肉専門ビルです。

門崎熟成肉の専門店「格之進」を首都圏に9店舗展開する、株式会社門崎の千葉祐士社長は、「肉おじさん」と呼ばれるほどに、肉に情熱を注いでいる人。今回はなぜ学校を作ったかを聞きに、実際に会いに行って来ました!

「格之進肉学校」の本校は六本木から遠く離れた岩手県にある

kakunoshin_20191030_01.jpg▲「株式会社門崎」の社長、千葉祐士さん。東京と岩手を行ったり来たりの日々。

格之進はいずれも都内に店を構え、その多くが六本木にあります。一方で株式会社門崎の本社でもある、格之進肉学校の本校があるのは岩手県の一関市。一関市出身の千葉さんが、廃校になった母校を事務所や工場として使っているのです。自身も本社のすぐ近くに自宅を構え、月に一度は地元に戻る生活をしています。

kakunoshin_20191030_02.jpg▲閉校した千葉さんの母校を利用した格之進肉学校の本校。外観は学校そのまま

「本社のある場所は、もともと門崎村という地域でした。私の祖父は、馬喰(ばくろう/牛や馬の仲買商人)という仕事をやっていて、門崎村の牛を東京へ運んで売買をしていたんです。私も社会人になって、祖父と同じように一関と東京を行き来するようになり、東京と地方の格差、特に物の評価や価格の差を感じるようになりました。そこで、一関と東京を食でつないで、格差を埋める事業をやりたいと思い、格之進を東京で展開することにしたんです」(千葉祐士さん)

六本木に店舗を「分校」として作ったのは、ここをひとつのプラットフォームと考えているため。世界中から舌の肥えた人が集まる六本木で、多くの人に支持され続けるために、グローバルな基準でおいしさを追求していきたいと話しています。

「ゆくゆくは、パリやロンドンにも分校を作りたい。格之進を応援してくださるお客様を生徒として、講座をしたり、セミナー合宿をしたり。食べるだけじゃなくて、食を通じた経済活動をしていきたいですね」(千葉祐士さん)

「格之進肉学校」から始まる、食の未来づくり

kakunoshin_20191030_03.jpg▲岩手県一関市にある、「丑舎 格之進」に掲げられている書。熱い想いがうかがえます。

株式会社門崎の本社がある地域は過疎化が進んでおり、農業に携わる人々の平均年齢は、ゆうに70歳を越えています。若い人は農業以外の職を求めて、この土地を離れていくのが現状です。そこに、"農家は農業だけでは経済が立ちいかない"という、日本の地方における共通の課題が、追い打ちをかけています。

格之進肉学校 六本木分校では門崎熟成肉だけでなく、米や野菜、海産物など、一関市を中心とした岩手県産の食材が多く使われています。地方の生産者と消費者が出会い、互いに学ぶ場所となる。そういう思いが、肉学校には込められているそうです。

「生産者はみんな、哲学者であり思想家だと思っています。その考え方や生き様や背景を知ってもらい、食べることを通じて、そういう人たちを応援してほしい。消費することは、投資すること。それに気づいてもらえたら嬉しいですね」(千葉祐士さん)

互いを知り、学ぶことで、ただ食材を「おいしい」と消費するのではなく、意思を持って消費できるようになる。それが「食の未来への投資になる」と、千葉さんは話しています。

kakunoshin_20191030_04.jpg▲「格之進肉学校 六本木分校」のビッグテーブル。牛肉の解体ショーや、生産者との交流が行われることも。

「六本木分校に来てくれた人から、のべ200人くらいに門崎の本社へ見学に来ていただきました。数にすれば少ないのかもしれませんが、食材の作られる場所や地域、環境を知ってもらうだけでもすごく嬉しいです。生産者の立場としても、東京から人が来て『おいしい』なんて言ってもらえると、地方から東京の経済活動に参加しているという実感が湧いて、すごくモチベーションが上がります」(千葉祐士さん)

生産者にとって大事なのは収入だけではなく、「評価される、認知される喜びを得ること」だと千葉さんは言います。消費者は生産者を知り投資することで、生産者と一緒に食の未来を作っていくことができる。それが、地方の農業を元気にしていくのです。

この、取り組みが成功して、ほかの地域でもどんどん広まって、日本全体が元気になってほしい。それが、千葉さん率いる「株式会社門崎」の願いです。

他の分野の人と交流して生み出す、新しい食文化

kakunoshin_20191030_05.jpg▲和牛の話、食の未来の話、地方創生の話...ショーケースを前に、千葉さんの話は尽きない。

消費者と生産者を繋ぐことで、目の前の食事への理解が深まり、食が豊かになっていく。それは、お互いを知ることでしか生まれない変化です。インターネットやSNSを通じて、情報が発信されていく時代。国内だけにとどまらず、海外の人にも、日本の和牛文化や地方の生産者を知ってもらいたいと、千葉さんは話しています。

そのためにも、六本木に「格之進」があることはチャンスにつながると、千葉さんは話してくれました。インバウンドも含め、多くの人が集まる六本木。この街で新たな交流が、新しい食文化を生み出そうとしています。

最近、千葉さんが取り組んでいるのが、脳に働きかける"体験型食品"こと「エナジーバーグ」。脳科学を専門とする医学博士の藤井直敬さんと共同開発した、一風変わったハンバーグです。

エナジーバーグは国産牛肉と白金豚がベースの格之進金格ハンバーグに、くるみと玉露をブレンドし、天然素材のみで仕上げたもの。味覚を含めた五感を通じて脳に働きかけ、心と身体を整え、脳を起因とした疾患やストレスを軽減し、元気をサポートするそうです。某エネルギードリンクと同等のカフェインを摂取することができ、パフォーマンスアップのきっかけにもなるとか。

見た目は緑色の不思議なハンバーグですが、玉露のさわやかな風味とジューシーなハンバーグの組み合わせに、思わずシャッキリと目が覚めるおいしさ。このおいしさで元気をサポートしてくれるなら、とてもありがたいですね!

kakunoshin_20191030_06.jpg▲これが「エナジーバーグ」。緑色の外見にはちょっとびっくりです!

消費者と生産者、地方と首都圏、そして脳科学と肉。肉おじさんが描くビジョンは、日本の、そして世界の食の未来をみんなで作り出すという、とてもスケールの大きなものでした。さまざまな形のコミュニケーションをとりながら、丸メガネの肉おじさんは、今日も食の未来を創造し続けています。

【取材協力】
「格之進肉学校 六本木分校」
住所:東京都港区六本木7-14-16 六本木リバースビル
電話番号:[格之進R+] 03-6804-2904、[格之進82] 03-6804-1629、[格之進B] 03-6804-1629
営業時間:[格之進R+] 18:00~23:00(L.O.22:30)、[格之進82] 18:00~23:00(L.O.22:30) [格之進B] 16:00~23:00
定休日:日曜日

※この情報は、2019年10月30日時点のものです。最新情報をご確認の上、お出かけください。

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