目薬が効かない? 何度も腫れる目...仕事のストレス&パソコンのやりすぎは影響があるのか:主治医の小部屋

公開: 更新: テレ東プラス

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主治医が見つかる診療所」(毎週木曜夜7時58分から)は、医師や病院の選び方のコツや、無理なくできる健康法など、医療に関するさまざまな疑問に第一線で活躍する医師たちが答える知的エンターテイメントバラエティ。

今回WEBオリジナル企画「主治医の小部屋」に寄せられたお悩みは、転職後に突然現れるようになった目のかゆみと腫れに関する心配事。同番組のレギュラー・中山久德医師に、考えられる原因や対処法について教えていただきました!

両目ではない場合、結膜炎より「ものもらい」の可能性も


Q
:40代女性です。最近、転職して環境が変わった途端に左目がかゆくなり、腫れるようになりました。繰り返しそういう状態になるのですが、これはアレルギーなのでしょうか、それともストレスからくる症状なのでしょうか。ちなみに今の職場では1日8時間以上パソコン作業をしています。それも関係しているのでしょうか?

―― 目のかゆみはやはりアレルギーが疑われるのでしょうか。

「目がかゆくなるというと、頻度からいえばまずはアレルギー性結膜炎を疑います。アレルギー性結膜炎にも原因はいろいろあって、いちばん有名なのは季節性のもの、いわゆる花粉症です。春には国民のおよそ4分の1がアレルギーを持っているといわれるスギ花粉、少し時期をずらしてヒノキ花粉、秋にはブタクサやヨモギなどの花粉が飛来します。こうした季節性のアレルギー症状で目がかゆくなってしまうことはよくあります。

また通年性、1年を通してのアレルギー性結膜炎というのもあります。季節性はその時期に生えている植物によるものが多いですが、通年性となると、例えばカビ、ダニ、ハウスダストなどが原因として考えられます。

ただ、アレルギー性結膜炎であれば両目に症状が出ることがほとんどです。右目にも同じようなかゆみが生じてくればアレルギーも疑われますが、この相談者の訴えのように、左目だけがかゆいということであれば違う原因を考えたほうがいいかもしれません」

―― 「腫れる」という表現をしている点も気になります。

「アレルギー性結膜炎であれば当然かゆくはなりますが、一般的には左右差はなく両目に症状が現れますし、腫れるというよりはむくんでいる(浮腫)状態でしょう。

腫れているという表現が正しいのであれば炎症があるということになるので、そこから考えると疑わしいのは炎症性疾患の "ものもらい" です。ものもらいは感染症なので片目だけに起きてもおかしくありませんし、たいていは、まばたきをするときに痛みを感じますが、かゆみを強く訴える人もいるんですよね」

―― 長時間パソコンに向かって作業をすることも原因になったりしますか。

「そうですね。パソコンに向かっているときは集中して画面を見つめるため、まばたきの回数が減ってドライアイになりやすくなります。ましてやエアコンがずっとついているような職場環境であれば、目の乾燥は避けられません。それが気になって目を頻繁に触ってしまったり、もともと目をこする癖があったりすると、ものもらいができやすいとわれています。

ものもらいは麦粒腫(ばくりゅうしゅ)というのですが、触ることで細菌が入ってしまって感染性の炎症を起こします。痛みやかゆみを伴い、腫れも出てくるので、治療には抗菌薬の点眼薬や軟膏、内服薬などが用いられます」

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画像素材:PIXTA

ストレスによる免疫力の低下も遠因に

―― 相談者は転職によるストレスも疑っているようですが、ストレスで目が腫れたりすることもあるのでしょうか。

「ストレスからダイレクトにアレルギー性結膜炎や、ものもらいになるということはありませんが、転職して環境が変わって今までよりも忙しくなるなど、ストレスが急激にかかったりすることで、免疫力が低下している可能性はあります。普段は目を少し触るくらいなら問題ないのに、そうした背景があって感染しやすくなっていることはあるかもしれません。

長く症状が続いたり、繰り返し腫れるようであれば、やはり一度眼科を受診することをおすすめします。どうしても時間がすぐに取れない場合には、まずは薬局で購入できる抗アレルギー薬の点眼薬をさして、様子を見てみましょう。改善が見られず、感染症の可能性がある場合は、眼科で診察してもらい、しっかり治療してください」

―― ものもらいかも......と思った場合も市販の抗菌薬を点眼すれば大丈夫ですか。

「ものもらい(麦粒腫)には抗菌薬が有効ですが、中には霰粒腫(さんりゅうしゅ)といって、ものもらいに似た症状なのに細菌による感染ではないものがあります。まつ毛の少し内側にはマイボーム腺という目の乾燥を防ぐために脂を出す腺があるのですが、何らかの原因でそれが詰まってしまうことで脂がたまり、ものもらいと同じような症状が出ることがあるんですね。そのため、霰粒腫は抗菌薬では治りません。初期であれば温めることで脂が溶けてよくなることもありますが、切開して除去する治療が必要になることがあります。眼科の医師であればすぐに見分けがつきますので、安易な自己判断をせずに適切な治療を受けましょう」

―― 中山先生、ありがとうございました。


【中山久德医師 プロフィール】

1965年 東京都生まれ。1988年 早稲田大学商学部卒業 1996年 国立山形大学医学部卒業 東京大学医学部付属病院物療内科(現、アレルギーリウマチ内科)入局
東京大学医学部付属病院、東京都立駒込病院アレルギー膠原病科を経て国立相模原病院(現、国立病院機構相模原病院)リウマチ科医長
2012年 そしがや大蔵クリニック開業
内科総合専門医、リウマチ専門医、骨粗鬆症認定医

※この記事は中山久徳医師の見解に基づいて作成したものです。

今回お話を伺った秋津先生が出演する「主治医が見つかる診療所~コレステロール&中性脂肪の改善法 大連発SP」(10月24日木曜夜7時58分~放送)。
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