サッカーと野球を同時中継!? アットホームな空間でワイワイ盛り上がる”自宅系スポーツバー”の魅力

公開: 更新: テレ東プラス

sportsbar_20191016_00.jpg
スポーツバーというと、野球やサッカーの代表戦の様子を大モニターに映し、皆がワイワイ集まって声をあげるパリピ的なイメージがある。ただ、このような雰囲気に馴染めない観客には、"自宅系スポーツバー"の方が過ごしやすいようだ。

"自宅系スポーツバー"は、一般家庭のテレビサイズより少し大きめのモニターを、1テーブル1台ずつ用意。それぞれが好きなスポーツを観戦するという、まさに自宅感覚で過ごせるスペースだ。アットホームで小規模なスポーツバーでは、この路線にスイッチしている店も増えているという。

それぞれのスポーツが面白いのは「ルールが違う」から

sportsbar_20191016_01.jpg
新宿にあるスポーツバー「FIORI(フィオーリ)」は、自宅系スポーツバーのひとつだ。オーナーの松山勝さんは広島東洋カープファン。でも、今年の読売ジャイアンツの優勝を見て、その投手陣を褒めたりもする。ある時はサッカーの話題で盛り上がったかと思えば、バスケやテニスの話にも詳しい。

実は松山さん、この店の2代目オーナーである。元々は自身が好きで通っていたところ、縁があって経営を任されるようになったそうだ。

sportsbar_20191016_02.jpg
──FIORIはかつて、サッカーファンでにぎわうお店だったそうですが、なぜこのようなスタイルに変更したのでしょうか。

「サッカー好きなので自分でもフットサルをやりますし、野球も好きで野球チームにも所属しています。過去には1度、東京マラソンで走ったことがあるんですが、実は来年の大会でまた当選したんですよ! とにかくスポーツは観るのもするのも好きですね。スポーツの面白さって、全部ルールが違うから。野球のようなアメリカのスポーツは、"9回裏に満塁ホームランを打って逆転勝ち"みたいなチャンスを残していて、エンターテインメント性が高いですよね。一方でサッカーのようなヨーロッパのスポーツは、1点1点のカウントアップ方式が特長です。そうした醍醐味を知って欲しいと思いますし、お客様には一つのスポーツ、一つのチームだけでなく、もっとたくさんのスポーツに触れるきっかけを作ってあげたいと思っています」

──だからこそFIORIでは、今のような形でいろいろなスポーツを映しているんですね。

「例えば、プロ野球なら3月の開幕から483試合が行われて、秋口まで楽しめます。その間にもJリーグの試合が行われ、秋になればB.LEAGUEがはじまります。冬場にはマラソンやフィギュアスケートなど、スポーツは1年中行われているので、ひとつでも多くの競技やチームに関心を持てば、毎日がもっと楽しくなると思うんです」

──東京オリンピックが近づいてきましたが、競技種目に興味を持てば、期間中はたっぷりスポーツ観戦を楽しめそうですね。そういえば、奥様の鈴香さんは以前、スポーツにまったく興味がなかったとか。

「そうなんですよ(笑)。去年の年末、うちの店で広島カープファンの集いというイベントを行い『(来年の)開幕戦のスターティングメンバーを当てる』という企画を実施したんです。そうしたら妻が見事9人すべてを当ててしまいまして(笑)。監督になれるんじゃないかと、仲間と笑い合うほど好きになってくれましたね。妻の場合は私の影響が大きかったんですが、何かのきっかけがあれば、きっと誰でも競技やチームが好きになれるんじゃないかなと。それが、イケメンの選手を見つけたでもいいですし、弱いチームだから応援してあげたいでもいいと思います」

sportsbar_20191016_03.jpg
──先ほど、お店でイベントを行われたというお話がありましたが、その中には実際にスポーツを行うものもあるようですね。

「そうですね、店でフットサルイベントを企画したことがありますが、初心者の方も結構参加してくれました。私自身がスポーツを観るだけじゃなく、プレイするのも好きなので。スポーツイベントのボランティアに参加することもしょっちゅうあります。観戦するだけでなく、自分も参加することも大事なのかなと。スポーツバーという店をやっていますので、その辺は意識して皆さんを巻き込めたらいいですね」

sportsbar_20191016_04.jpg

宮崎県都城市が出身のオーナーが作る、九州郷土料理

sportsbar_20191016_05.jpg
──スポーツバーのフードメニューといえば、「フィッシュ&チップス」に代表されるように、スナック感覚で酒のつまみというイメージがあります。でも、FIORIさんはこれも自宅感覚というか、手作りの料理が多くてびっくりしました。

「私は宮崎県の都城市が出身なんですが、東京に出てきて最初に働いたお店が宮崎の郷土料理のお店だったんです。そこで料理を覚えさせていただきました。チキン南蛮はうちの店の看板メニューとして、タルタルソースまで全部手作りしています。2番人気は赤鶏のタタキかな。九州独特の少し甘い醤油で食べてもらうので、最初は東京の人には抵抗があるみたいですが」

sportsbar_20191016_06.jpg
──「これは食べて欲しい」という、FIORIならではのメニューがありましたら教えてください。

「それでしたら......『オヤジのゴロッケ』ですかね。これは初代オーナーで、現在は調理を担当しているマスターがこだわって作っているメニューです。"食べるクリームシチュー"とでもいいましょうか。時間をかけて作ったクリームシチューを、直径18センチぐらいの大きなコロッケにしています。とにかく具がゴロッとしているので"ゴロッケ"。決して誤字じゃありませんよ(笑)。手間暇がかなりかかるので数量限定ですが、ぜひご賞味ください」

来年はオリンピック・パラリンピックが、いよいよ東京にやってくる。その時、きっと日本中がアスリートのワンプレイに狂喜乱舞し、今まで関心のなかった競技ですら興奮と感動にのめり込むだろう。それを居心地の良い自宅のような空間で、まわりにいる観客たちと一緒に分かち合ってみてはいかがだろうか。

【取材協力】
スポーツバー FIORI
住所:東京都新宿区新宿5-4-1 新宿Qフラットビル 2F
電話:03-3352-7575

PICK UP