ヤバい人たちのヤバい飯を通して、ヤバい世界のリアルを見る番組「ウルトラハイパー ハードボイルド グルメリポート」。今回は、初のゴールデンタイム進出となった2019年7月15日の放送から「南米・ボリビア 人食い鉱山飯」を振り返る。
ひと月に平均14人が命を落とす人食い鉱山
南米に位置するボリビア多民族国。人口は約1121万人。1825年にスペインの植民地から独立し、公用語はスペイン語。平均月収は約7万円。
首都ラパスから鉱山までは約400km。落盤事故や窒息性ガス事故により毎月平均14人の死者が出ており、取材の2週間前にもガスの事故で5人が亡くなったという。鉱山が拓かれてから現在まで800万人の犠牲者を出し、ついた呼び名は"人食い鉱山"。この人食い鉱山で働く人々は、一体何を食うのか?
鉱山に入るには直接労働者に交渉した方が良いというアドバイスに従い、鉱山労働者が多く集う人食い鉱山の麓の町・ポトシへ。16世紀、世界最大の銀山がある町として栄え、奴隷を中心に採掘が行われた。
店先で食事をしている元鉱山労働者の男性に話を聞く。男性が食べていたのは、ラマの肉の団子、ジャガイモ、玉ねぎをトマトスープで煮込んだ「ラマの肉団子のスープ」(100円)。
男性に10年働いていた鉱山を辞めた理由を尋ねると、「死にたくないから」。鉱山で働いていた父は肺を悪くして亡くなり、義理の弟も鉱山の土砂崩れで命を落としたという。
この町で生まれたほとんどの者は鉱山の仕事に従事する。
「鉱山発掘は宝くじみたいなもの」
そう話す男性は、お金より命をとって、今はタクシー運転手として働いている。どっちの仕事が良いかと問えば、「もちろん今だよ」と答えた。
グルメリポート① 今日も頑張る! 鉱山モーニング
労働者がよく来る、人食い鉱山の麓の食堂へ。しかし中に足を踏み入れた途端、労働者たちから「カメラを止めろ」と拒絶されてしまう。別の入口から入り交渉を試みるも、話すら聞いてもらえない。
1時間後に出直し、食事中の労働者に声を掛けると、若い男性が応じてくれた。パウル(22歳)は15歳から鉱山発掘に従事しているのだという。何を食べているのか尋ねると、食べ終わったので「もう行く」と。残念ながら飯の撮影はできなかった。
パウルは「安全の保証はできない」と言いつつも、このまま鉱山へついて行くことを了承してくれた。町営バスで向かう道中、鉱山の仕事はどうなのか聞いてみた。
「金は稼げる仕事だね」
到着したセロ・リコ鉱山(通称・人食い鉱山)は、標高約4600m。先を歩いていたパウルは、足場の悪い所でもたついていた取材ディレクターに気付き、わざわざ戻ってきて「気をつけて」と声をかけてくれた。
グルメリポート② お仕事前の覚醒飯
小さな穴ぐらの中で作業着に着替えるパウルの手には小さな袋が。中身はコカインの原料、ボリビア産のコカの葉(1袋70円)だ。「力の源だよ」とコカの葉を頬張るパウル。ガムのように噛むと、空腹感や眠気を防いでくれるという。
着替えると外に出て、青空の下、ほかの労働者たちとコカの葉をつまみにポトシビール(1リットル300円)を飲む。午前10時、口いっぱいにコカの葉をためて、いよいよ仕事へ。
狭い坑道をどんどん奥へと進んで行くパウル。今日は銀を探しに、800m先まで行く。奥に行けば行くほど崩れる危険が高まるという。と、急に「端に寄れ!」と言われ慌てて壁沿いへ寄ると、トロッコが通って行った。轢かれると大ケガに繋がる。
途中、「ティオ」という鉱山労働者の守り神の像が。アルコール度数96%の酒を取り出したパウルはティオに酒をかけ、自らも飲む。
ここからは、人ひとり通るのがやっとの道。粉塵にまみれて四つん這いになりながら、危険あふれる中を進むこと40m、ようやくパウルの仕事場に到着。地上の入口から1時間かかり、800m地点に到達した。
さっそく銀を求めて採掘を始める。銀は1g=約60円で、1日の稼ぎは良いときで3000円、悪い時は800円。完全歩合制で、稼ぎの10~20%を鉱山管理者に納める。
まず、パウルは危険なガスの有無をライターで確かめる。強いガスを吸うと3秒で死ぬという。採掘中、もろい岩肌が崩れ落ちてきた。パウルは、16歳のとき大きな岩が落ちてきて大ケガをしたことも。危険は、すぐ隣りあわせだ。
あだ名は「オソ(働き者)」だというパウルはひたすら採掘を続け、ついに銀が出てきた。かなり大量で「君たちが運を持ってきてくれたんだ」と喜び、「ここで一緒に働かない?」と冗談も飛び出した。
グルメリポート③ 銀がザクザク 祝い酒
採掘開始から4時間、50kgほどの銀を含んだ鉱石が採れた。1万円分くらいはあるという。「こんな良い日はめったにないよ」とご機嫌なパウルは、ペットボトルの水にオレンジジュースの粉を溶かし、アルコール度数96%の酒を入れてシェイク。「人食い鉱山のオレンジカクテル」だ。
「ちょっと薄いかな」と酒を追加し、まるで水のようにグイグイと飲むパウル。さすがに酔ってきた様子だ。銀がたくさん採れた時はつい飲み過ぎてしまうらしい。
なぜ鉱山で働くのか聞いてみた。
「昔から鉱山労働者の息子は鉱山で働くのが当たり前。だけど俺は、それは変だと思う。父は粉塵で肺をやられて働けなくなったし......」
それでも鉱山で働くのは、10代で結婚して、家族を養うためにお金が必要だったからだ。
身の上話を聞く取材ディレクターに、パウルはこうつぶやいた。
最後に、岩が硬い所にダイナマイトを仕掛けて爆破する。爆破後は大きな落盤の危険があるため、翌日まで採掘は行わない。これで今日の作業は終わりだ。パウルは50kgの鉱石を背負い、酔いでふらつきながら800mの道のりを戻る。
7時間ぶりの地上。今日は酔っ払っているので、銀は明日売りに行くようだ。鉱石は企業に買い取られ、外国(日本も含む)へ輸出される。
グルメリポート③ 闇から生還 青空パスタ
仕事の後は、仲間たちと鉱山集落にある食堂へ。茹でたショートパスタをブイヨンで炒め、蒸したジャガイモをのせ、その上に玉ねぎとトマトのサラダを盛り、さらに目玉焼きをトッピング。ボリューム満点の「青空鉱山パスタ」(100円)だ。
パスタを口に運びながらも、酔いで朦朧としているためポロポロこぼしてしまうパウル。「飲み過ぎた」。どうやら限界のよう。
仲間に肩を借り、帰りのバスに乗り込む。到着までの間、皆に鉱山の仕事はどうか聞いてみた。この町の80%の男性は鉱山の仕事に就くので、彼らにとって鉱山で働くのは当たり前のことだという。パウルに「これからも仕事は続ける?」と聞くと、こう答えた。
「もちろん。俺のあだ名は"働き者"だからね」
「せっかく来てくれたのに泥酔してしまってごめんなさい」と詫びるパウル。別れ際に取材ディレクターと握手を交わし、「良かったらまた明日も来てよ」と声をかけて帰っていった。
ギリシャ難民漂着飯と激動の香港デモ飯
10月14日(月・祝)夜10時より放送の「ウルトラハイパーハードボイルドグルメリポート」は、"今"の飯。ボートで海峡を渡りギリシャにやって来た難民とその密航を手配するブローカーや、香港のデモの当事者たちを徹底取材!
■ギリシャ難民漂着飯
2019年の夏、突然大量の難民がトルコを離れ、EUの玄関口となるギリシャへ渡った。ギリシャのほぼ東端、小さな島に生まれたヨーロッパ最大の難民キャンプで暮らす者たちは何を食うのか。命を賭してボートで海峡を渡ってきた者たちは何を食うのか。そして、トルコ側で難民たちの密航を手配するブローカーは何を食うのか。
■激動の香港デモ飯
参加者200万人とも言われる超大規模なデモ。イギリスから返還されて21年経った香港が今、中国の支配から逃れようともがいている。デモの当事者たちは何を食うのか、その口からは何が話されるのか。
さらに詳しい内容は、番組ホームページをチェック!
【番 組 名】「ウルトラハイパー ハードボイルド グルメリポート」
【放送日時】10月14日(月・祝)夜10時~11時24分放送
【出 演 者】小籔千豊
【放 送 局】テレビ東京系(TX、TVO、TVA、TSC、TVh、テレQ)
【番組HP】 https://www.tv-tokyo.co.jp/hyperhard/
【公式ツイッター】 https://twitter.com/HYPER_GOURMET ハッシュタグ「#ハイパー」
【公式TikTok】 ID:hyper_hardboiled アカウント名:ハイパーハードボイルドグルメリポート
◆Paraviではスピンオフ「放送できなかったヤバい飯」全4話を含むシリーズ全作を配信中!
さらに10月14日(月)オンエア最新作の独占見放題配信も決定! ※配信開始日調整中
Paravi(#1~#6・スピンオフ#1~#4)
◆以下動画配信サイトでも配信中! ※過去作の一部のみ配信
Netflix
Hulu
Amazon プライム・ビデオ
◎7月15日に放送されたスペシャル版を期間限定で無料配信!
ネットもテレ東 ※TVer、GYAO!、ニコニコチャンネルでも視聴可能
◆7月15日放送のスペシャル版(#6)・・・10月28日(月)まで
◆スピンオフ動画シリーズ#1「リベリア編」・・・10月21日(月)まで
◎スピンオフ動画シリーズ#2「ロサンゼルス編」を好評配信中!
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