進化する日本橋...台湾からも参戦! 誠品生活 常識破りの「書店」:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

現場で奮闘する人たちの姿を通して、さまざまな経済ニュースの裏側を伝えるドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」(毎週火曜夜10時)。10月8日(火)の放送では、老舗の看板や伝統を守りつつ、新たな展開を模索する企業の現場を取り上げる。変わりゆく時代の波と格闘しながら、挑戦を続ける人々の姿を追う。

メニューは1種のみ「稲荷寿司」に込めた想い

東京・日本橋は、江戸時代、五街道の起点と定められたいわば日本の中心。古くから商業、文化の中心地として栄えてきた。しかし、バブル景気の収束とともに大手百貨店が閉店するなど、かつての賑わいが失われていた。それでも日本橋はここ数年で大きく変貌。伝統と新しさが共存する街へと生まれ変わろうとしている。

リードするのは日本橋の再開発を20年前から進めてきた「三井不動産」。地元の老舗企業と信頼関係を築きながら、日本橋の「街づくり」に取り組んできた。そして、新たなランドマークとして9月にオープンしたのが「コレド室町テラス」。大屋根の広場が特徴的な地下1階、地上2階の商業施設は、古き良き文化を継承しながら日本橋の新たな魅力の創出を目指す。

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選りすぐりの店舗の中でも1階の入口近く、最高の場所を任されたのが東京初出店の「海木」。この店のメニューは1種類「稲荷寿司」のみ。看板メニューの「だしいなり」(4個入り1200円)で勝負する。福岡・中央区の繁華街、天神から少し離れた場所に店を構える「海木」は、長年日本料理店を営んできたが、去年、稲荷寿司の専門店へとリニューアル。熊本県南関町発祥の「南関あげ」に独自の製法を加えて使用する稲荷寿司が口コミで人気となり、今では県外からも多くの客がやってくる。

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7月下旬。この日店を訪れたのは、日本橋での出店を勧めた三井不動産の担当者。オフィス街の日本橋で売り上げが見込める弁当の製作を依頼しにやって来た。しかし、店の女将・岡林幸子さんはこの申し出をきっぱりと断ることに。稲荷寿司にこだわる女将にはある想いがあった。

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実はコレド室町テラスが開業する場所は、江戸時代「十軒店」と呼ばれ、ひときわ賑わっていた場所。そして一説には、稲荷寿司を日本で初めて店で出したのがこの場所だと言われているのだ。日本橋と浅からぬ縁を感じた女将は、出店を決めた時から稲荷寿司一本で勝負することを決めていた。

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そして迎えたオープン当日。東京のお客の多くは、「だしいなり」を初めて口にする人たち。福岡から遠く離れた日本橋に女将の想いは届くのか。

老舗書店「有隣堂」が台湾企業のフランチャイズに

「コレド室町テラス」のオープン前、ある書店の開店準備が進められていた。空の棚に続々と本が並べられていく。しかし、本だけではなく、調味料や缶詰めが並ぶ棚があるかと思えば、オープンキッチンやガラス工房までが並ぶ。

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陣頭指揮をとるのは、老舗書店「有隣堂」の副社長・松信健太郎さん。神奈川県を中心に、東京、千葉と37店舗を展開する有隣堂だが、近年書店を取り巻く環境は厳しい。ネット通販や電子書籍の台頭で書店の売り上げが激減。有隣堂も本の販売事業は4期連続の赤字と深刻な状況が続いていた。

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創業から110年となる有隣堂は6代続く同族経営で、松信さんは現在の社長の長男。人一倍、書店業界に危機感を抱き、会社の新たな方向性を模索していた。すでに去年3月、三井不動産の商業施設「東京ミッドタウン日比谷」にこれまでにない書店をオープンさせていた。それが「ヒビヤ セントラル マーケット」。本だけでなく、アパレルショップや理髪店、居酒屋なども同じフロアで展開する異色の書店だ。期間限定で開いた、古着の販売イベントは売り場に長蛇の列が出来るなど話題に。しかし、本業の本の売り上げには繋げることができずにいた。そんな状態の中、古くからの「有隣堂」ファンからは、松信さんに対する非難の声も。

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去年10月、松信さんは次の一手へと動いていた。向かった先は台湾。出迎えてくれた女性は、アジア一の書店と評される「誠品生活」のトップ、マーシー・ウーさん。松信さんが台湾を訪れたのは有隣堂の命運を握る、ある契約を結ぶためだった。

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誠品生活は、創業者のロバート・ウー氏が、本による「文化の創造」を目指して設立。今では書籍だけでなく、食料品や生活雑貨まで扱うビジネスモデルを展開している。中でも特徴的なのは、全店舗で年間5000回も開く様々なイベントで、2億人もの集客を誇る。

今回、日本に誠品生活を誘致したのは、三井不動産。合弁会社を設立し、フランチャイズの形で有隣堂に運営権を与え、有隣堂はサポートを受けるかわりに対価を支払う契約だ。日本の老舗書店が生き残りをかけ、歴史の浅い台湾の書店のフランチャイズに乗り出すという決断。松信さんは、このことを理解してもらうために社内を奔走し出す。

そして、横浜にある有隣堂・営業本部に現れたのは、父親でもある松信裕社長。誠品生活とのライセンス契約は15年。今回のプロジェクトは、坪単価にして、通常の店舗の4倍以上のコストがかかる。社長は、厳しい目で松信さんに疑問を投げかけていく。

番組では、「誠品生活日本橋」オープン後の様子も取材。

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先の読めない時代に、「守るべきもの」と「捨てるべきもの」の選択を迫られる企業の現場を今晩10時からの「ガイアの夜明け」で放送。どうぞお見逃しなく!

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