水道もガスもない...山奥にひっそりと佇む一軒家! 絶滅危機に瀕した住人:たけしのニッポンのミカタ!

公開: 更新: テレ東プラス

現代日本人の身近に起きる様々な社会現象をテーマに、"今"を捉える知的エンターテインメント番組「たけしのニッポンのミカタ!」(金曜夜10時)。10月4日(金)は、ゲストに西島秀俊村上佳菜子を迎え、最近、すっかり見なくなったモノが残る現場などを紹介する2時間の拡大版「たけしが行く!消えていいのかニッポン絶滅危機SP」をお届けする。

そこで「テレ東プラス」では、先取りで「絶滅寸前!"国産漆"をとる山の上の職人」をピックアップしてご紹介。

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京都の山あいに今や絶滅の危機に瀕している職人がいるという。新幹線とローカル線を乗り継いでたどり着いたのは、京都府京丹後市にある峰山。

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駅から山に向かってタクシーを走らせること約40分。そこから、車が入れぬ山道を歩いていくと......奥深い山の中で"ひっそりと佇む一軒家"を発見!

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この方が、今や絶滅の危機に瀕するある仕事を生業にしている大益牧雄さん。早速お宅の中を拝見させていただくことに。

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元々は知人が所有していた築100年を超える古民家を管理することになり、その後、35年間このお宅に住みつき、たった一人で生活しているという。

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かろうじて電気は通っているものの、水道はないので湧き水を使用。ガスもないため拾ってきた薪を燃料にしている。新聞は配達地域外のため、1日遅れで郵送されるそう。

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一見、不便に見える深山での暮らしだが、大益さんがこの地で暮らすのは仕事のため。ということで仕事場へ同行することに。作業着姿の大益さんが向かったのは、山の中。すると、何やら道具を使い、木の幹を削り始めた。これは漆の木から樹液を採る「漆掻き」の作業。特殊な形をした専用のカンナで木の表面を削ると、中から漆の主成分となる樹液がしみ出してくる。この樹液を丁寧にかき集めるのだ。

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漆の樹液は木の表面の傷を治す作用があり、そのためにしみ出てくるそう。そのため、削った後に3日間木を休ませ、4日ごとに採取するのが鉄則である。

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文化財の修復は国産の漆で行うという決まりになっている。だがそれには漆の量が不足しており、漆採りをする職人が足りないのが現状。漆の国内使用量の約97%は外国産で、国産はわずか3%しかなく、しかも国産漆の生産量は年々減少傾向にある。

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漆掻き職人は全国に数十人しかおらず、大益さんは数少ない職人のひとりだ。この日の作業は約1時間で終了。1日で採れた漆の量は約20グラム。

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その後は自宅に戻り、敷地内の作業場で八角形に切られたケヤキの木材を削り、器(お椀)を作る。ある程度形ができたら半年から1年ほど乾燥させ、約1年をかけてようやく原型が完成するという、とても大変な作業なのである。

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形ができたお椀は仕上げの工程へ。まず、採った漆ではなく、市販の漆を使用し、5回ほど塗っては研ぐ作業を繰り返す。「研ぐ」というのは塗った漆を洗い落とす作業のため、天然の漆はもったいないので使用しない。そして「塗る→研ぐ」の作業を繰り返した後、やっと天然の漆を使用。職人が山中で採取した漆をろ過してゴミを取り除いた「生漆」。器の表面に丹精こめて塗り込んでいく。

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顔料を含んだ漆は使わず、自然の木の風合いを生かした器を作るのが大益さんのこだわり。こうして作られた作品は倉庫の一角で大切に保管され、年に一度、東京や京都で行われる展示即売会に出品している。

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気になるお値段は?というと...「漆塗りとしてはそんなに高くない」と語る大益さん。確かに漆器としてはかなりリーズナブルだ。

仕事を終え、自らが手掛けた漆の器で、大好物の焼酎を楽しむ。「木は熱伝導率が低い。熱いものは冷めにくく、冷たいものはぬるくなりにくい」と笑顔で木の器の利点を語ってくれた。京都の深山で暮らす大益さんは、まさに絶滅寸前の稀有な職人であった。

今回は2時間スペシャルとして、たけしと太一が、ゲストの西島秀俊、村上佳菜子と共にロケを敢行。"絶滅危機"になっているモノが集まる有楽町の「交通会館」、創業100年超の絶滅危機密集地帯「神田明神」をめぐる。

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