「オマツリジャパン」が仕掛ける”祭り”の新たな魅力:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

現場で奮闘する人たちの姿を通して、さまざまな経済ニュースの裏側を伝えるドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」(毎週火曜夜10時)。10月1日(火)の放送では、資金不足や人手不足にあえぐ日本の「伝統文化」を特集。祭りや古都を守るため立ち上がった人々の姿を追う。

だんじりを引っ張る青年団が不足

日本の伝統が息づく祭りは、全国で約30万件催されている。「青森ねぶた祭」のように有名なものから村の小さなものまで合わせると、市場規模は約1.4兆円。しかし今、安全面の強化による資金不足や、少子高齢化による担い手不足から、存続が危ぶまれる祭りも少なくない。

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今年の「岸和田だんじり祭」は、だんじりと呼ばれる山車が直角に曲がる「やりまわし」を一目見ようと約39万人が訪れた。ところが、300年の歴史を持つ伝統的な祭りにも、担い手不足の波が押し寄せる。

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岸和田市・中之濱町の閑陸(かんりく)雅一町会長(61)によると、中心となってだんじりを引っ張る二十歳前後の青年団が不足しているとのこと。「子どもが少なくなってきているので、青年団が育っていかない」と頭を抱える。

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茨城県下妻市にある大宝八幡宮で、9月中旬に催す「タバンカ祭」も同様の悩みを抱えていた。たいまつを持つ白装束の男たちが観客に火の粉を浴びせるという600年以上続く奇祭。火の粉を浴びた人は、1年間火の禍を免れるという。本来、10代の若者が白装束役を担うはずが、今や中心は30代。例年では2日間催されてきたが、担い手の負担を減らすため、来年からは1日だけとなる。

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様々な問題に直面する日本の祭り。解決に名乗りを上げたのは、20人のスタッフで運営する「オマツリジャパン」(東京・新宿区)だ。彼らが目指すのは、祭りで日本を盛り上げること。これまでサポートした祭りは200件以上に及び、今年度の売り上げは1億円(2019年度見込)。加藤優子社長(32)が5年前に創業した。

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7月、加藤さんは、「目黒のさんま祭り」実行委員長で目黒駅前商店街振興組合の中崎政和理事長を訪ねる。今年で24回目を迎える同祭は、今や3万人が訪れるほどの人気ぶりだが、中崎さんは警備費の急増が悩みのタネだという。

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2001年に兵庫・明石市の花火大会で起きた「将棋倒し」事故以来、イベントで安全面の強化が求められるようになった。同祭でも100人の警備員を配置しなくてはならず、中崎さんは「商店街の組合費が毎年約30万円の赤字」と嘆く。

問題解決のために加藤さんが訪れたのは、東京・新橋に本社を構える食品メーカー「永谷園」だった。オマツリジャパンはこれまで「祭り」と「企業」を結びつける取り組みを行ってきた。今回は、「お茶漬け」と「サンマ」。お茶漬けを若い世代にアピールしたい永谷園にもメリットがあり、祭りの運営も改善されるという、加藤さんの秘策とは?

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あめ玉の販売で人気を得た「妙心寺退蔵院」

伝統ある歴史に触れようと多くの観光客が訪れる京都。人気の観光地は季節を問わず人が押し寄せ、インバウンド(訪日観光客)も集中する。

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しかし最近では、混雑を嫌って京都を避ける日本人が増え、2015年からの3年間で観光客は700万人以上も減少しているという。一方で、古都の魅力が詰まった場所にもかかわらず、大混雑とはほど遠い"知られざる京都"も存在する。

京都市・右京区の妙心寺は観光客が少ないエリアにあるため、人影はまばら。ところが最近は独特な取り組みが受け、客足が増加しているという。それはなんと"あめ玉の販売"。

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妙心寺の中にある退蔵院では、「ひと粒の禅」というちょっと変わったあめ玉を販売している。音声案内アプリを立ち上げ本堂で正座し、あめ玉を7分間一心になめると禅の心が体験できるというものだ。

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副住職の松山大耕さんは「すごく人気が出ているので身内がびっくりしている」と驚きを隠せない。

このユニークな取り組みの仕掛け人は起業家の成瀬勇輝さん(30)。2014年に世界中の情報を発信するモバイルメディア「TABI LABO」を共同設立。そして2016年、「ON THE TRIP」という会社を立ち上げた。バスオフィスで寝泊まりしながら全国行脚し、アイデアを形にする。退蔵院を含め、これまで手がけた音声ガイドは寺や神社を中心に全国50ヵ所を超える。

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8月上旬、京都市中京区にある壬生寺から成瀬さんに依頼があった。新選組ゆかりの同寺は、近藤勇の髪をまつる遺髪塔や隊士の墓もあり、ファンの聖地として知られている。

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しかし比較的観光客が少ないエリアにあり、お堂の修繕費の関係などから、副住職の松浦俊昭さんは、より多くの人に寺に来てほしいと話す。

そこで成瀬さんが連れてきたのは、環境音を取り入れた音楽を作るアーティスト。またユニークな発想で水に関する"ある体験"をしてもらおうと考えた。副住職も感服したその一手とは...。

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インバウンドで好景気の話が聞こえる一方、衰退していく文化もある。革新が求められる伝統の現場を今晩10時からの「ガイアの夜明け」で放送。どうぞお見逃しなく!

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