柔道を愛するフランス人女子高生が号泣「日本一のチームの一員になれるなんて...」:世界!ニッポン行きたい人応援団

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ニッポンに行きたくてたまらない外国人を世界で大捜索! ニッポン愛がスゴすぎる外国人をご招待する「世界!ニッポン行きたい人応援団」(毎週月曜日夜8時~)。毎回ニッポンを愛する外国人たちの熱い想いを紹介し、感動を巻き起こしています。

憧れの田代未来選手が"内股"を伝授!

今回ニッポンにご招待したのは、フランス人女子高生のアンジェルさん(16歳)。

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アンジェルさんは6歳で柔道を始め、13歳の時には地元の大会の団体戦で3位に入賞したこともあり、今も週に4日道場に通う柔道大好き女子高生。今年は念願の初段になり、黒帯を締めています。
実はフランスはヨーロッパで一番の柔道大国。オリンピックの金メダル数はニッポンに次いで2番目! 競技人口はニッポンより多いそう。

そんなフランスのパリ郊外から来日したアンジェルさんには、ニッポンで叶えたい夢がありました。それは、アンジェルさんと同じ63キロ級で優勝を重ね、「2020東京オリンピック」でもメダルが期待される田代未来選手に会ってアドバイスをもらうこと。そこで、到着したばかりの成田空港で早速のウェルカムサプライズ!

出発ロビーに現れたのは、なんと憧れの田代選手ご本人! 突然のことに「オカシイです。テレビでしか見たことがない人が目の前にいるなんて...」と大興奮のアンジェルさん。

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実はこの日、柔道日本代表のメンバーは、スペイン合宿に向かうため成田空港に集まっていました。アンジェルさんの熱意を伝えたところ、出国までの合間を縫って田代選手が駆けつけてくれたのです。出発まで30分。アンジェルさんは「私は内股を得意技にしています。田代さんの内股を教えてくれませんか」とコツを田代選手に尋ねます。返事を聞くやいなや「すぐに準備します!」と言っておもむろに荷物の中から道着を取り出すアンジェルさん。なんと空港のロビーで内股のレッスンが始まりました。

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一歩目の足を相手から離れた位置に置くことで、返し技を受けず内股を決めることができるそう。それを1000回以上練習するとのことでした。出発まであと5分となり、田代選手は「これからもっと練習して強くなって国際大会で戦っている姿を楽しみにしています」という言葉と共に、長年愛用してきた名前入りの黒帯をプレゼントします。

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すぐに頂いた帯を締めて、田代選手とハグを交わすアンジェルさん。憧れの人に会えてとても嬉しそう。

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田代未来選手、本当にありがとうございました!

柔道の総本山「講道館」で、何より大切な精神を学ぶ

続いてアンジェルさんは東京都文京区へ。嘉納治五郎が作った柔道の総本山「講道館」を訪れることに。嘉納治五郎とは、大河ドラマ「いだてん」で役所広司さんが演じている人物。「ストックホルムオリンピック」でニッポンを初参加に導いただけでなく、敵を倒す技であった「柔術」をもとに、心身の鍛錬と人間教育のための「道」として「柔道」を確立した人物でもあります。

140年近く前に寺の一角を借りて始まった講道館は、昭和8年、この地に拠点を定めました。今では全日本柔道連盟の本部もあり、毎日世界中から出稽古をするために人々が集まります。

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「講道館の大道場にはぜひ行きたいです」と話していたアンジェルさんの想いを伝えたところ、なんと入れてもらえることになりました。柔道家なら一生に一度は上がってみたい憧れの大道場。広さは420畳もあり、試合はもちろん、オリンピック選手団の壮行会も開かれます。

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道場指導部長の鮫島元成八段に道場を案内してもらった後、アンジェルさんは指導部の先生から稽古をつけてもらいます。

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実は道着を持参して800円を支払えば、この稽古に参加することができるのです(※入場カード500円と有段者以外は入門料8000円が別途必要)。稽古が終わると、アンジェルさんの名前が入った講道館限定の帯をプレゼントしていただき、大満足のアンジェルさん。鮫島さんから「試合で勝つことも柔道の目的ですけど、みんな楽しそうにやっていた。それが柔道の一番大切なところ。長く柔道を続けて下さい。それが嘉納治五郎師範が考えた柔道の目的です」と柔道の大切な精神も教えていただきました。

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いざ柔道の超名門校へ! 過酷な基礎練習を体験

アンジェルさんが向かったのは兵庫県神戸市。ここには柔道の強豪校・須磨学園夙川高校があります。実はアンジェルさん、「同年代の選手と一緒に稽古をして、ニッポン柔道の強さの秘密を知りたい」と話していました。夙川高校は、2年連続女子団体戦で高校チャンピオンに輝いた強豪校。東京オリンピックでも金メダルが期待される阿部詩選手の母校でもあります。名門を率いるのは、阿部選手を指導した松本純一郎先生。

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部員は中高合わせて42名。アンジェルさん、夙川高校の稽古に今回特別に4日間参加させていただけることになりました。まずは「クモ」「エビ」など7つの特別な準備運動から。

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長さ30メートルもある道場を一つの動きにつき1往復、休みは一切なしという過酷な基礎練習。「ジャンプ」という腕と足を伸ばして浮き上がりながら前進する動きはアンジェルさんには難しく、「これは出来ない...」と一人だけ別の運動をすることに。ここまでの練習で40分! 続いては投げるまでの動作を繰り返す「打ち込み」を30分間行います。

「さすがニッポンの稽古ですね。フランスでは実践練習が中心で基礎練習をあまりしません」とアンジェルさん。この基礎練習こそがニッポン柔道の強さの秘密だったのです。

そしてもう一つの強さの秘密は、男子と女子が対等に組み合う「乱取り」。体格差や性別に関係なく、どんな相手とも組むことで、力勝負ではなく技のキレ、持久力が身につくそう。アンジェルさんも1階級重い70キロ級の選手と実戦形式の乱取りを始めます。あっという間に抑え込みの体勢になってしまいましたが、アンジェルさんは諦めずになんと形勢逆転! 首と腕を足で締める「三角絞め」で見事一本取りました。

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これには、見ていた松本先生も驚いて...。

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「夙川高校の選手から一本取れるなんて夢のようです!」とアンジェルさんも興奮冷めやらぬ様子。

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1日目の練習終了後、松本先生から夙川高校の制服が手渡されたアンジェルさん。「13歳の時にニッポンのアニメで制服を見て、いつか着たいと思っていました」。ニッポンの女子高生として授業にも参加することになりました。

練習終了後に向かったのは63キロ級の高校チャンピオン・畑田暁菜さんのお宅。暁菜さんは4姉妹で、全員が柔道家。ご両親も柔道を教えているという柔道一家です。お宅は夙川高校や中学の柔道部員の下宿先でもありました。この日アンジェルさんもみんなと一緒に泊めてもらえることになり、早速歓迎会が始まります。

「アンジェルさんに食べさせてあげたい」と、岐阜県でお肉屋さんを営む下宿生・吉井さんのお父さんが8キロものお肉を送ってくれました!

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みんなの視線を浴びる中、美味しそうなお肉を早速パクリ! とても美味しかったようで、アンジェルさん、どんどん箸が進みます。

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すっかり打ち解けたところでアンジェルさんがみんなの夢を聞くと、それぞれ「日本一になって親に恩返し」「世界一になりたい」などしっかりと将来の目標を持っていました。

体力が限界に...松本先生からは厳しい言葉

翌日、制服に着替えたアンジェルさん。

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朝練を1時間こなしてからニッポンの授業に初参加。お昼休み、柔道部の女の子たちに「彼氏はいる?」と聞かれるアンジェルさん。「はい」との答えにみんな大盛り上がり。さらに写真を見せてもらうと「カッコいい!」とか「デートはエッフェル塔ですか?」など稽古の時とは違って普通の女子高生らしい一面も。

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そして放課後は練習2日目。30分間の打ち込み稽古では空港到着時に田代選手からコツを教えてもらった「内股」の練習をしました。松本先生からもアドバイスを受け、乱取りでも果敢に稽古に励みますが、体力は限界に近づいていました。そしてとうとう練習を止め、壁際に立ち尽くすアンジェルさん。

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稽古終わり、松本先生はアンジェルさんに「みんなが立ち技をやっている中、ずっと壁にもたれて立っていました。日本の柔道というのはしんどいことを頑張りぬいて、心の成長を遂げることが目的。私は技術よりも日本人の心を学んで帰ってもらいたい」と厳しい言葉をかけます。

アンジェルさんに素質を感じるからこその厳しい言葉。「ニッポンの選手は普段の稽古から辛いことも頑張り抜く心を鍛えているから強いんですね。みなさんに比べれば考えが甘かったと思います」。しっかりと、松本先生の言葉の裏にある愛情を受け取った様子のアンジェルさん。

「もっと私らが声をかけて...仲間やから」

練習3日目。アンジェルさんが一度は諦めた「ジャンプ」に再び挑戦していると、畑田暁菜さんと新名彩乃さんが、手取り足取りやり方を教えてくれました。

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実は畑田さん、何人かを集めて話をしていました。「アンジェルが松本先生に言われて。私らも声かけなかったやん。"もたれたらアカン"とか。部活の仲間だったら言うのに、アンジェルに言わんっていうのは、アンジェルは(柔道部の)中の人じゃないみたいな...。だからもっと私らが声をかけて...仲間やから」。

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これこそ嘉納治五郎が柔道に込めた「自他共栄(互いに助け合い、良い社会を作る)」の心。畑田さんが率先してアンジェルさんに声を掛けたことによって、他の部員たちも積極的にアンジェルさんに関わるようになりました。

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最初は恥ずかしがっていたアンジェルさんも、段々大きな声で「ファイトでーす」と応援できるように。そんなアンジェルさんの変化を、嬉しそうに眺める松本先生。

練習後、松本先生は「昨日は途中でバテて練習できなかった。その彼女が最後まで稽古し続けたわな。アンジェル、よう頑張ったな。"ファイトです"最高やね! 日に日に変わっていってるの分かるな」とアンジェルさんの変化と頑張りを褒めてくれました。

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「柔道は自分の力で成長するものと思っていたけど、助け合いが大事だってみんなのおかげでわかりました」。ニッポンで学びたかった柔道の本質が少しつかめてきたようです。

卒業試験と感動のサプライズ

夙川高校で最後の練習となる4日目。最初はついていくのがやっとだったアンジェルさんでしたが、今では男子や体格差がある選手にも果敢に挑むようになっていました。すると、「アンジェル、卒業試験や」と言って近づいてきたのは松本先生。アンジェルさんの成長を試したいと直々に相手をしてくれることに。稽古は先生から一本取るまで終わりません。

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挑み続けること15分。どちらも汗だくになりながら、とうとう先生を倒したアンジェルさん。4日間、日本一の柔道部で稽古をし、技だけでなく心の成長も遂げたよう。

そして別れの時。「今まで味わったことがない厳しい稽古でした。みなさんの支えがあったので4日間続けることができました。ここで学んだ互いに助け合う心をフランスの仲間にも伝えます。松本先生には技だけでなくニッポンの柔道の心を教わりました。最後に皆さんの夢が叶うことを祈っています。ありがとうございました!」とアンジェルさん。部員たちから柔道部の道着と帯をプレゼントされ、さらに柔道部員の証である"名札"も並べてもらいます。

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まさかのサプライズに「ありがとうございます。日本一のチームの一員になれるなんて信じられません」とアンジェルさんは嬉し涙が止まりません。

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帰国前、アンジェルさんは「ニッポン柔道の心を知れて、たくさんの仲間もでき、最高の思い出になりました。ありがとうございます。楽しかった!」と話してくれました。

アンジェルさん、これからも稽古を続けて強い柔道選手になって、ぜひニッポンに遊びに来て下さいね! またの来日お待ちしています。

そして9月30日(月)夜6時55分からの「世界!ニッポン行きたい人応援団スペシャル」は...。

<「カレーを愛する」フランス人男性に密着する完結編!>

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前回は東京・神田神保町で行列が絶えない人気店「キッチン南海」のカツカレーや新潟県のそば屋で1日700食売れるカレーを食し、感動の嵐だった。そして今回は念願のドラマ「孤独のグルメ」に登場した店「すみれ」へ! ご当地レトルトカレー約180種類を揃えた浅草「カレーランド」でも大興奮!

<ニッポンに行きたい人を探せINモロッコ>
番組初となるアフリカ大陸で日本好きを探す。スタッフのインタビューになぜか「コマネチ」など日本のギャグで返す現地の方々。さらに現国王のモハメッド6世は日本食好きで専属料理人を雇っているほど。そんな親日の国・モロッコで日本好きアピール大会を開催する。

<「流鏑馬を愛するフランス人男性」をご招待!>

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フランスでは、自宅から車で1時間の山奥で流鏑馬の練習をしているという。来日し、まず訪れたのは小笠原流流鏑馬の稽古場。800年も続く流派の中でも100年に1人の天才と言われる次期宗家に指導してもらうが、あまりの厳しさに驚愕! しかし最後には小笠原流の方々から驚きのプレゼントが!

続いて向かったのは福岡県八女市、戦国時代から400年以上続く矢工房の当代・相良さんのもとへ。
福岡でも7人しかいない八女矢の伝統を受け継ぐ相良さんに矢の作り方を体験させてもらう。最後には熊本にある小笠原流と並ぶ流鏑馬の2大流派の1つ武田流の方々のもとへ。馬に乗って挑む実践テストに無事合格することができるのか...。

どうぞお楽しみに!

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