華やかな世界に翻弄され...アナウンサー人生を捨てアフリカの秘境へ移住した日本人女性:ナゼそこ

公開: 更新: テレ東プラス

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世界で活躍する知られざる日本人を取材し、ナゼそこで働くのか、ナゼそこに住み続けるのかという理由を波瀾万丈な人生ドラマと共に紐解いていく「世界ナゼそこに?日本人~知られざる波瀾万丈伝~」(毎週月曜夜9時)。「テレ東プラス」では、毎回放送した感動ストーリーを紹介していく。

伝説のロックバンド「クイーン」の軌跡を描いた大ヒット映画「ボヘミアン・ラプソディ」。そのクイーンのボーカル、フレディ・マーキュリーの知られざる生誕の地に、一風変わった経歴を持つ日本人がいた!?

フレディ・マーキュリーの生誕の地へ

今回スポットを当てるのは、たった一人でアフリカ・タンザニアの島に移住した日本人女性。日本で女性アナウンサーであったにも関わらず、その華やかな世界を捨てアフリカの秘境に移住した理由とは?

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日本からタンザニアへの直行便がないため、中東カタールのドーハを経由し合計19時間! さらに船で2時間かけて、ようやくインド洋に浮かぶ島、ザンジバル島に到着。

タンザニアの秘境・ザンジバル島には、ある悲しい過去が。かつて東アフリカ最大の奴隷市場があり、約2000万人の人々が奴隷として金や牛、布と引き換えにヨーロッパ諸国に売られていった。今も貧困にあえぐ人々が多く、大半の人がわずか1日1ドル以下で生活しているという。

そんなザンジバル島で英雄と呼ばれているのが、伝説のロックバンド「クイーン」のボーカル、フレディ・マーキュリー。死後25年以上たった今でも、彼が生まれ育った家が大切に残されており、現在はホテルとして宿泊可能。

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フレディは世界的アーティストとなってからも、飢餓で苦しむ多くのアフリカ人を救うためチャリティーコンサートに出演。映画「ボヘミアン・ラプソティ」のクライマックスシーンも、そのチャリティーコンサートを再現したものだったのだ。

タンザニアの島に一人移住した元アナウンサー

そんなザンジバル島に移住したという日本人女性が住んでいるのは、島のはずれにあるパジェ村。案内してくれた現地の方が「サオリー! お客さんだよ!」と建物の中に呼びかけると、日本人らしき人物が!

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彼女こそ、女性アナウンサーを辞め、たった一人でザンジバル島に移住した日本人・三浦砂織さん(59歳)。

和歌山放送で、アナウンサーとして数々の大物芸能人と仕事をしていたという三浦さんが、ザンジバル島で驚きの転身を遂げていたのだ!

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実は三浦さん、ザンジバル島の海沿いで、13棟のコテージを有する宿のオーナーとして、20代から40代までの現地スタッフ17名とともに日々働いている。

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チェックインの忙しい時間、三浦さんは一人で海へ。何をしに来たのかと言うと、ウニを採りに来たのだ。島ではウニを食べる習慣がなく、海に豊富に生息しているため、タダで採り放題! この日は15個ゲットした。

宿では注文があればウニを軍艦巻きにして提供。一番人気はお寿司の盛り合わせで、三浦さん自ら調理する。

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秘境の島で、忙しく宿を切り盛りしている三浦さん。アナウンサーの仕事を続けて日本にいれば、順風満帆な人生だったはずだが、なぜ辞めて移住したのか? その謎を探るべく、日常に密着した。すると、海外ならではの驚きの問題が続出!

アフリカでの生活に密着

この日はシャワーの出が悪いと宿泊客からクレームが。新品に取り替えたばかりなのに......担当したタキさん(42歳)に聞くと、取り替え忘れていたようだ。すぐに取り替えて宿泊客には納得してもらったが、ごまかそうとしたタキさんには三浦さんが厳しく注意。

なんとタキさん、昔は泥棒だったという。14歳のときに勉強についていけず学校を中退。家が貧しく、三浦さんの宿に忍び込み食料を盗んでいた。

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しかし三浦さんは、泥棒に入られたにもかかわらず、生活に困っていたタキさんの学費を援助し、再び学校に行かせたのだ。卒業後も宿で雇い、20年以上も面倒を見ている。

従業員の多くは、かつて仕事がなく貧しい生活を送っていたところを三浦さんが雇い、助けた。雇うだけではなく、従業員の出るサッカーの試合を応援したり、独立した元従業員の店の様子を見に行ったりと、とにかく面倒見がいいのだ。

そしてまた事件が! 宿泊客の荷物の中に毒を持ったムカデが入り込み、噛まれたら危険なので取ってほしいと駆け込んできたのだ。パニックを起こす宿泊客をなだめ、三浦さん自らムカデを探す。

幸いムカデはおらず、ひと安心。宿泊客は「他のホテルでは絶対に手伝ってくれないわ」と三浦さんの親身な対応に大感激!

別の日、タキさんと大事な約束のため出かけようとした三浦さん。だが、タキさんが点検を忘れていたためバッテリー切れで車が動かない! 力自慢の従業員たちが後ろから押してエンジンをかけ、なんとか出発。

宿から2時間かけ、途中スコールに降られながらも、島で一番大きな街ストーンタウンに到着。タキさんを連れてきたのは靴屋だ。

ザンジバル島は一夫多妻制で、タキさんにも妻が2人いる。2つの家族は別々に家を構えているが、給料は第1夫人の家族が優先のため、第2夫人の子供に靴を買ってあげられない。そこで三浦さんが靴を買ってくれたのだ。

こうして大勢の従業員の面倒を見て感謝される三浦さん。しかしなぜ、元アナウンサーがアフリカの島に移住したのか? そこには、華やかな世界に翻弄された人生ドラマがあった!

付き合いで行ったはずが、アナウンサーの世界へ

友達に誘われ、興味本位で受けたラジオ番組のオーディションに受かった三浦さん。地元北海道にある放送局のミニコーナーで、アナウンサーのような仕事を任された。

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そこから、しゃべりで人を楽しませるアナウンサーに憧れ、大学卒業後は毎日放送でリポーターに従事。華やかなアナウンサー人生をスタートさせた。

その後和歌山放送に移り、坂本冬美さんなど当時の人気歌手をゲストに迎える生放送を担当。だが、華やかさとは裏腹の厳しい現実が次第に見えてくる。

自分で何かを作るわけでもなく、放送すればそれで終わり。忙しいばかりで何も残らず毎日が過ぎて行く。そんな思いに苛まれながらも、5年間ラジオ中心の生活を送ることに。

職場には毎年若い後輩が入社し、気づけば30歳目前。残りの人生このままでいいのか? 自問自答の日々を経て、ついにアナウンサーを辞め、ザンジバル島への移住を決意することになる。

「違う場所に身を置いて、違うものを見てみたかった。職場も変わりたかったのかな。いろんな知らない世界に行ってみたかった」

実は三浦さん、ザンジバル島へ移住する前に、有給休暇を使いケニアに語学留学していた。
そこで知り合った現地の人から、綺麗な自然があると勧められ、訪れていた場所こそザンジバル島だったのだ。

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「本当に感動しましたね。広々としていて雲が素晴らしくて大自然でしょ。生きてるって感じがしました」

アナウンサーという、日々めまぐるしく過ぎて行く生活よりも、ここに住めばもっと良い人生が送れるかもしれない。そんな直感を信じ、30歳のときアナウンサーを辞め、ザンジバル島に移住。その後、現地の貧しい若者を雇って宿を開業したのだ。

困っているときに助けられた従業員たちは、三浦さんを母のように慕い、心から感謝している。皆口を揃えて、今の生活があるのは三浦さんのおかげなのだという。

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「やっぱり縁があって一緒にいるし、何年もいるスタッフもいるから、ある意味家族だと思う」

日本から遠く離れた、アフリカの秘境の島・ザンジバル島に、華やかなアナウンサーを辞め、新たな人生の居場所を見つけた日本人がいた。

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そして次回9月16日(月・祝)夜9時放送の「世界ナゼそこに?日本人~知られざる波瀾万丈伝~」は、2時間スペシャルで「特別企画!ナゼそこに?ニッポンの秘境に住むスゴい人々」をお届け。海外のみならず日本国内にも、思わず「ナゼそこに!?」と言いたくなるとんでもない秘境に住む人々がいる......沖縄の離島で45年間も魚を捕りながら"完全0円生活"を送る謎の仙人とは? 車も携帯の電波も入らない!険しい山道を徒歩で2時間も歩かなければたどり着けない"この世の楽園"に住む人々とは? 彼らが秘境に住み続ける理由を探ると、そこには衝撃の物語が!

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