食欲の秋に「成城石井」が仕掛ける新総菜の全貌:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

現場で奮闘する人たちの姿を通して、さまざまな経済ニュースの裏側を伝えるドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」(毎週火曜夜10時)。9月10日(火)の放送では、進化する総菜づくりの現場を取材。驚きの新メニューを開発する人々を追った。

成城石井が力を入れる"本格派シンガポール総菜"

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関東を中心に172店舗を展開する人気のスーパー「成城石井」。こだわりの食品や輸入品が客の支持を得ているが、全体の売り上げの2割を占めるのが総菜だという。

総菜に関する調査研究「惣菜白書」の調べでは、総菜や弁当など調理済み食品を買って食べる「中食(なかしょく)」市場は、2018年で約10兆2500億円とされ、さらに拡大するとみられている。

成城石井の総菜は常に90種類以上。元シェフやパティシエが製造を担当する手作業にこだわり、年に60種類以上の新商品を投入している。しかし、同社の原昭彦社長は、一部の売れ筋商品が長い期間売れ続け、マンネリ化する現実に危機感を感じていた。「半歩先を行く商品開発を」。他社にない総菜を開発すべく、原社長が注目したのが「エスニック料理」だ。

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同社におけるエスニックの総菜の売り上げは、ここ5年で3倍に。自身もバイヤーからの叩き上げである原社長は、新たな総菜のヒントを探ろうと今年5月下旬、シンガポールを訪れた。同行したのは、成城石井のヒット作、ベトナムの平打ち米麺「フォー」を開発したエース・勝本浩二さん。

中国やマレー、インドなど、さまざまな食文化の影響を受けるシンガポールに3日間滞在し、時間が許す限り食べ歩く。行列ができる人気店「ザ・ココナツクラブ」では、ココナツミルクで炊いたご飯「ナシレマ」に注目した。勝本さんはナシレマを口に運ぶと「こみ上げるココナツの香りが全然違う」と感心。成城石井のヒット作、「フォー」を開発したエースの目が光る。

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続いてはグルメ本の権威「ミシュランガイド」で星を獲得した実力店「リャオ・ファン・ホーカー・チャン」へ。鶏の丸焼きが調理場にズラリと並ぶ店内で注文したのは、表面が黒く輝く鶏の切り身と極細麺がセットになった「チキンヌードル」(約460円)だ。

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「びっくりするくらいやわらかい」。鶏を食べた原社長は目をむく。思わず勝本さんがシェフに教えを請うと、料理人は「うちのチキンは焼かないで煮ている」「味付けは醤油の中に氷砂糖を入れている」と回答。日本にない発想に2人は驚きを隠せない。

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結局、滞在期間中に18軒もの店を回った。「舌の記憶が残るうちにすぐに試作に取りかかりたい」という勝本さんは、帰国後の6月上旬、東京・町田市にある成城石井セントラルキッチンで新商品づくりに取りかかる。しかし、現地で食べた「生麺」は総菜向きではなく、しかもあの極細麺は国内では調達できなかった。これらの課題をどう乗り越えるか、勝本さんは試行錯誤を続ける。

8月から「シンガポールフェア」と銘打って、新しく開発した6品を全店で販売。1ヵ月間の売れ行きによって、どれを定番メニューするかを決める。本場の味を残しつつ、舌の肥えた日本の消費者を唸らせる総菜は誕生するのだろうか。

桃と中食...「旬八」で異色のコラボ弁当が誕生

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競争が激化する中食市場に参戦するのは大手だけではない。都心部を中心に15店舗展開する「旬八青果店」。店内にはこだわりの農家から直接仕入れた旬の野菜が安い値段で並ぶ。ランチタイム、東京・赤坂の店を訪れると、近隣のオフィスから働く人々が押し寄せていた。客の目当ては弁当だ。「旬八」の弁当は、旬の野菜がたっぷり入って500〜600円台と手頃な価格。全体売上の約4割に及ぶという。

同青果店を展開する「アグリゲート」の左今克憲(よしのり)社長は、弁当を始めた理由を、「料理しない人にもできる限り野菜をたくさん食べてもらいたい」と語る。

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「旬八」が青果や弁当を安く提供できるのは、虫食いや傷モノなど規格外の野菜を安く仕入れて使うためだ。一番人気の「伊達鶏むね肉唐揚げ弁当」。使用する肉や魚も産地から直接仕入れている。

競争を勝ち抜くための次の一手も忘れない。東京・品川区にある「アグリゲート」本社では、左今社長がバイヤー兼弁当担当の畠山大毅さんに「旬八ならではの旬の弁当を考えてほしい」と伝えた。

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畠山さんのアイデアは、なんと果物がテーマの弁当。「弁当用として仕入れることで生産者も喜ぶ」とのこと。畠山さんは、7月下旬、福島・国見町の仕入れ先である果物農家を訪れ、旬の桃に注目。「旬八」では、形がいびつや傷がついた"規格外の桃"を仕入れ、通常の3分の1の価格で販売している。畠山さんは、この規格外の桃を使って弁当を作れないかと考えていた。

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さらに畠山さんは、収穫前の間引き作業ででた処分される青い桃にも注目。口に運ぶとおいしく、「使い道はいっぱいありそう。生でも食べられる」と畠山さん。土に戻す予定だったこれらの桃も、弁当開発の材料として使ってみることに。桃と弁当の異色の組み合わせは、どんな新商品になるのか。激化する中食市場で新しいものを生み出そうとする取り組みを追った。

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働く女性や高齢者単身世帯の増加もあり、さらなる伸びが予想される中食市場。その最前線を今晩10時からの「ガイアの夜明け」で放送。どうぞお見逃しなく!

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