産まれた時からHIVに感染...不幸な境遇でも明るく生きるアフリカの子どもたちから学んだこと:ナゼそこ

公開: 更新: テレ東プラス

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世界で活躍する知られざる日本人を取材し、ナゼそこで働くのか、ナゼそこに住み続けるのかという理由を波瀾万丈な人生ドラマと共に紐解いていく「世界ナゼそこに?日本人~知られざる波瀾万丈伝~」(毎週月曜夜9時)。「テレ東プラス」では、毎回放送した感動ストーリーを紹介していく。

今回は夏休み特別編! 日本で育った小学生2人が、親元を離れてアフリカの孤児院で共同生活。日本では考えられない驚きの連続、そしてアフリカの厳しい現実を目の当たりにして、2人は何を学んだのか?

お金大好き天才少年と大家族のわがまま娘がアフリカの孤児院へ

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今回アフリカの孤児院に行くのは、北海道の北東部、西興部(にしおこっぺ)村に住む蓮香怜ちゃん(10歳)。4男9女13人兄弟の10番目にあたる怜ちゃんは、家の手伝いは上の子たちに任せて何もせず、わがまま放題。そんな怜ちゃんに、自立してしっかりしてほしいという両親の強い希望で、アフリカの旅に参加することに。

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もう1人は、東京生まれの藤原楓生くん(9歳)。父は東大卒で、会社経営者。その父に「金儲けのセンスがすごい」と言わしめる楓生くんの将来の夢は、経営者! 今回のアフリカの旅には、ビジネスチャンスを求めて参加するという。

2人が目指すのは、日本からおよそ1万キロ離れた東アフリカのケニア共和国。20時間かけてようやく到着!

ケニアは野生動物が溢れる自然豊かな国だが、国民の3分の1以上が貧困層。飢えた子どもたちはシンナーを吸って空腹を紛らわし、栄養失調で倒れていくという。

首都から車で5時間かけ、マキマという田舎の村にある孤児院に到着。そこで、日本人らしき人物を発見!

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実はこの方、以前番組にご出演いただいた塩尻美智子さん(67歳)。30年前にケニアに渡り孤児院を設立。幼くして両親を失った9歳から16歳までの子どもたち33人の面倒をみている。

30年前、知人に誘われボランティア活動に参加するためケニアにやって来た美智子さん一家。しかし半年後、長女の直美ちゃんがマラリアに感染し、わずか8歳で帰らぬ人に。
それ以来「幼くして命を落とす子どもを一人でも減らしたい」と、無給で孤児院の子どもたちを守り続けているのだ。

2人はこの孤児院で4日間、子どもたちと共同生活を送る。お金にしか興味のない楓生くんと、大家族のわがまま娘・怜ちゃんは、アフリカで一体どんな体験をするのか?!

糞尿運びに大苦戦! 食事も口に合わず「おにぎり食べたい」

まず2人は、孤児院の子どもたちと一緒に大事な日課をすることに。牛舎を洗った時に流れ出た水と、牛の糞尿が混ざった水を、肥料としてバケツで畑に運んで撒く作業だ。

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潔癖な楓生くんは、嫌々ながらも頑張って畑へ。一方やる気ゼロの怜ちゃんは、わずか10mでギブアップ! その間にも、臭い糞尿を畑に運び続ける孤児院の子どもたち。この畑でとれる作物は、貴重な食料。生きていくために必要な仕事なのだ。

畑での作業が終わると、今度は薪拾い。孤児院にはガスが通っていないので、これも子どもたちの大事な仕事。

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この日の昼食は豆料理。味付けは塩のみという質素な食事だ。日本からの寄付で孤児院を運営しているため、お金は限られており、豆料理を出すのが精一杯。それでも、貧しくてご飯が食べられなかった子どもたちにとっては、食べられるだけ幸せなのだ。

しかし、日本で好きなものしか食べてこなかった怜ちゃんの口には合わず、「おにぎり食べたい」と言い出す始末。楓生くんも、料理に使っている水が不安で食べられない。結局、2人は夕食の豆料理にも手をつけなかった。

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そんな2人のために、美智子さんが呼んだのはベンジャミンくん(15歳)。9人兄弟の末っ子で、幼くして両親を亡くし1人孤児院に預けられたという彼は、「ここにいればご飯が食べられるので、それだけで幸せです」と。

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もう1人呼ばれたのは、ギディちゃん(15歳)。父親を病気で失い母親は蒸発。兄弟と路上で生活して、ゴミを漁り生きていた。

話を聞き、「すごいよ。日本じゃありえない」と楓生くん。ろくに食事もできないアフリカの厳しい現実を知り、何か思うところがあったのか......。

不幸な境遇でも明るく生きる子どもたちに衝撃を受けた2人に変化が

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2日目の朝。朝食はバナナとウジ。ウジとはトウモロコシの粉を発酵させて作った、おかゆのようなもの。しかし怜ちゃんは相変わらず拒否。

昨晩、怜ちゃんを心配した美智子さんがおにぎりを差し入れしてくれたものの、こんな調子でアフリカでの生活に耐えられるのか?

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と、楓生くんがウジを飲み始めた! 昨晩の子どもたちの話で、何かを感じたのか。

朝食の後は、学校に行く子どもたちに2人も同行。その道のりは、片道40分! ヘトヘトになって学校に到着すると、お客さんを迎えるダンスと音楽で歓迎式が。独特の歓迎に戸惑いながら教室へ。

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ノートの代わりに、机にチョークで直接書いていることに驚く2人。床に目をやると土が露出している。直すお金がないのでむき出しのままだという。だが、この学校ではこれが当たり前。勉強ができるだけで幸せなことなのだ。

学校を後にして感想を聞くと、怜ちゃんは「ボロボロでしたけど、みんな楽しそうでしたね。友達がいるからじゃないですか」と......。何かを感じ取った様子だ。

孤児院に戻ると、子どもたち全員で特別なお出かけ。30分ほど歩いた先の川に水浴びに来たのだが、川の水はかなり濁っている。潔癖な楓生くんは大丈夫なのか?と思いきや、ためらいなく川に入り泳ぎ出した!

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すると楓生くんの周りには子どもたちが集まり、水をかけ合い始める。そして怜ちゃんも川へ! 昨日までほとんど話すこともなかった子どもたちと遊んでいる。帰り道では、孤児院の子どもと手をつなぐ怜ちゃんの姿も見られた。

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孤児院に戻ると洗濯の時間。洗濯機などないので、もちろん手洗いだ。普段家では洗濯などしたことがない怜ちゃんだが、ギディちゃんに「一緒にやろうよ!」と声をかけられ、自らすすんで洗濯を始めた。

その頃、楓生くんはベンジャミンくんに誘われサッカーを。すっかり距離が縮まったベンジャミンくん、元気そうに見えるが、実はある病気を患っている。

夕方、寮母さんに集められた4人の子どもたちが薬を飲んでいるのを見た2人。「どういう薬ですか?」と質問する楓生くんに、寮母さんはHIVの薬だと教えてくれた。

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ベンジャミンくんたち4人は、お母さんのお腹の中でHIVに感染してしまったのだ。毎日薬を飲まないと、エイズを発症して命を落とすこともあるという。
「ここにいれば、毎日薬を飲めるから生きていけるんだ」
これがアフリカの現実。不幸な境遇でも明るく生きる子どもたちに、2人は衝撃を受けた。

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この日の夕食は、もちろん豆料理。すると、これまでずっと拒否してきた怜ちゃんが、ついに手をつけた! しかも残さずペロリ。

食後はみんなと楽しく遊ぶ怜ちゃん。みんなと同じ料理を食べたことで、子どもたちとの壁は完全になくなったようだ。

一方、楓生くんも子どもたちとすっかり打ち解けた様子。ベンジャミンくんに将来の夢を聞かれた楓生くんは、しばらく考えた末に、なんと経営者ではなく「医者」と答えた。今回の孤児院体験を通じて、新たな夢が生まれたのだ。

2人はその後、子どもたちと仲良くなっただけではなく、自ら進んで孤児院での仕事を手伝うように。

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そして、別れの時。子どもたちが歌を歌ってお見送り。怜ちゃんが「アサンテサーナ(ありがとう)」と感謝を伝えると、ギディちゃんも「また会いに来てね」と別れを惜しんでハグ。

孤児院で生活した4日間で、いろいろなことを学んだ楓生くんと怜ちゃん。世界には自分たちの知らない生活をしている人がいて、その人たちを知ることができた。この経験は、きっと人生の大きな糧となるに違いない。

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