日本を知る、地域を考える@滋賀県大津市<後編>:びわ湖の絶景と町家宿泊の風情をリーズナブルに味わう...”進化とまちもどし”の華麗なる融合

公開: 更新: テレ東プラス

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大津京遷都から1350年の歴史を持ち、世界的観光都市である京都から電車でわずか9分の場所に位置する滋賀県の県庁所在地・大津。びわ湖と市街地が隣接し、最澄によって創建された天台宗総本山の比叡山延暦寺、紫式部が源氏物語を起筆したといわれる石山寺、明智光秀の菩提寺である西教寺、国宝や重要文化財などが数多く残る三井寺など、歴史上の錚々たる人物に愛された歴史のまちだ。

chihososei_shiga_20190908_02.jpg▲比叡山・根本中堂(現在は改修工事中)

chihososei_shiga_20190908_03.jpg▲比叡山延暦寺・日吉大社の門前町・坂本にある「元里坊 旧竹林院」。入園料は、大人320円、子ども160円。お抹茶もいただける。

自然豊かな大津には、びわ湖でのウォータースポーツをはじめ、多彩なアクティビティが満載。"美肌の湯"として親しまれる「おごと温泉」は、1200年の歴史を持つと言われる湯治の郷。びわ湖を望む露天風呂は温泉マニアの間でも絶大な支持を得ている。

京都までのアクセスの良さも手伝って、2012年から外国人観光客が約5.4倍に急増。スマートシティの実現と共に、古き良き日本の良さを残す"まちもどし"も進められている大津。後編(※前編はコチラ)では、2012年以来、大津市長を務める越直美氏に、大津の見どころ・魅力を聞き、グルメや穴場スポットと共に紹介していく。

大津の観光周遊を快適にする「MaaS」の実証実験を11月に実施!

びわ湖と共に大津の最大の魅力となっているのは歴史的建造物の数々。比叡山や石山寺など、風情のある観光名所が点在するものの、これまで二次交通の乗り換えが必要となるのが課題であった。

そこで大津市は、この11月に、京阪バス、日本ユニシスと連携し、複数の交通手段と地域の経済活動を結びつけるサービス「MaaS」の実証実験を実施、自動運転バスと併せて2020年の実用化を目指している。MaaSアプリをダウンロードすれば、周遊パスを購入することができ、交通経路や時刻検索、観光地や飲食店、物販店などお得なクーポン取得が可能になり、一気に地域内移動がスムーズに簡単にできるようになる予定だ。

「大津市内では、名所から名所への乗り換えが必要になることがあります。そこでシームレスな移動ができるように、アプリ上で電車、バス、ケーブルをつないで行きやすいルートを検索し、その上決算もできるようにします。より多くの時間を市内に滞在して頂き、観光地を回ってもらえるような仕組みを導入し、実現はもう目の前まで迫っています」(越市長 以下同)

「町家ホテル」の宿泊も、ひとつのアクティビティに!

前編で紹介した"ジュネーブ構想"に続き、今、大きく生まれ変わろうとしている大津。だが、スマートシティの実現が進む一方で、「老朽化しているものをどうするか...まちづくりの在り方そのものを変えていかなければならない」と越市長は語る。そこで、"ジュネーブ構想"同様に、大きく打ち出しているのが"宿場町構想=まちもどし"だ。

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大津は東海道五十三次で一番大きな宿場町。現在も町家が1500残っており、そのうちの200くらいが空き家となっている。それを活かして再利用するのが"まちもどし"の定義。築100年以上の町家をリノベーションした「商店街ホテル講 大津百町」を含め、現在は、8棟の趣あふれる町家ホテルがオープンし、観光客の人気を集めている。

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shiga_20190908_i.JPG▲リノベーションで美しく...大人な空間へと蘇る町家ホテル

「私がホテルに伺った際、フランス人の方が宿泊されていたのですが"ここに泊まること自体が素晴らしい体験だ!"と言っていただけたことが嬉しかったですね。1歩足を踏み入れた途端、日本家屋の癒しの香りに包まれます。そして、町家ホテルはあえて素泊まりです。なぜかというと、大津のまちを散策しながらお好みのお食事を楽しんで頂くためです。ご飯を食べに出掛けることで大津を知っていただける...この醍醐味こそが"宿場町"の魅力なのかなと思います。今後も町家をどんどんリノベーションし、オフィスとしても活用していこうと考えています」

chihososei_shiga_20190908_07.jpg▲オープンしたばかりの「商店街ホテル講 大津百町」

鮒ずし、近江牛はもちろん、うなぎや湯葉、日本酒も堪能できる大津の街

滋賀グルメといえば鮒ずしや近江牛というイメージが強いが、越市長によれば、大津では、うなぎや湯葉、日本酒などもおすすめとのこと。

「大津には、平井商店、浪乃音酒造と2つの酒造があり、最近は日本酒バーも増えました。精進料理として有名な"比叡湯葉"もおすすめですし、SNS映えが期待できる西教寺の"菊御膳料理(食用菊を使用した料理)"も有名です」

「日本一のうなぎ 逢坂山かねよ」で貴重な国産うなぎを堪能

chihososei_shiga_20190908_08.jpg▲「日本一のうなぎ 逢坂山かねよ」の大将・村田章太郎さん

敷地面積800坪を誇る「日本一のうなぎ 逢坂山かねよ」は、京阪電車京津線大谷駅で下車、東海道旧道を逢坂関所跡へ向かって約50mのところに位置する。桜、さつき、楓に包まれ、清水が流れる優雅な庭園を有する天下の幽邃境。ここは「関西の箱根・軽井沢」とも言われ、市中より数度低く、暑さ知らずの避暑地として多くの観光客で賑わいを見せている。

お店を訪れると、早速威勢のいい大将がお出迎え。「かねよ」では、池畔の静かなお部屋でせせらぎの音を聞きながら、日本一のうなぎを堪能することができる。

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chihososei_shiga_20190908_10.jpg▲テレビでもおなじみの「極上きんし重」(お漬物、お椀付き)

ふわふわの卵焼きに、ぷりっぷりの国産うなぎ...自家製だれと山椒をたっぷりとかけていただく。大津に来たら一度は味わいたい絶品料理だ。

観光で疲れたら...「おごと温泉」の足湯で休憩を

1200年の昔、比叡山の伝教大師・最澄によって開湯された「おごと温泉」。京都・比叡山に一番近いph値9.0のアルカリ性単純温泉とあり、入浴後は滑らかなお肌が実感できる「美肌の湯」として知られている。客室露天風呂や屋上露天風呂など、びわ湖の眺望を心ゆくまで楽しめる温泉旅館があるほか、日帰り温泉や足湯もあり、気軽な立ち寄りスポットしても高い人気を誇る。

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chihososei_shiga_20190908_12.jpg「コトコトコットン足湯カフェ」で一休み。アルカリ性単純温泉で無料の足湯を堪能。近江牛焼肉丼や近江米カレー、あんかけ湯葉うどんや近江牛コロッケなどの軽食を始め、地元野菜を使った平日限定日替わりランチも楽しめる

足湯の後は、「近江麦酒」のオリジナルクラフトビールを生樽で...

足湯で癒された後は、JR湖西線・堅田駅から歩き、醸造所が併設されているビアカフェ「近江麦酒(ばくしゅ)」へ。「近江麦酒」では、昨年春より、滋賀県の農産物を活かした種類豊富なクラフトビールの醸造を開始。ペールエール(フルーティ。モルトとホップの心地よい究極のバランス)、ベルジャンホワイト(コリアンダーとオレンジの香りとクリーミーな味わい)など、質の高いクラフトビールを生樽で楽しむことができ、ビールに漬け込んだ"から揚げ"や"殻つきマカダミア・ナッツ"など、ビールマニアを虜にする絶品おつまみが揃う。

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chihososei_shiga_20190908_14.jpg▲「糀エール」。まろやかなコク、糀の旨味と酸味が口いっぱいに広がる!

chihososei_shiga_20190908_15.jpg▲オンラインショップでも販売中。クラフトビールマニアにはたまらない品揃えだ

慣れない土地で大型の旅館やホテルに宿泊すると、どうにも館内に籠もりがち。大津の町家ホテルに宿泊すれば、"まちぶら"にびわ湖にと散歩がてら足も伸ばしやすく、自然と地元の人々との交流も深まる。

進化と古き良き日本文化が華やかに融合され、大津のまちは今、大きく生まれ変わろうとしている。歴史もグルメも温泉もゆったりと...さらに湖畔でのアクティビティも満喫したい! そんなファミリーやカップルは、ぜひ1度、大津のまちを訪れてみてはいかがだろうか。

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