現場で奮闘する人たちの姿を通して、さまざまな経済ニュースの裏側を伝えるドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」（毎週火曜夜10時）。9月3日（火）の放送では、シリーズ「外食王」第7弾として、「『肉』の王 戦国時代！」をお届け。しのぎを削る肉の外食業界を特集し、新アイデアで業界に革命を起こす2社を追う。
焼き肉もおひとり様...「焼肉ライク」独走の背景
網を囲み、談笑しながら肉を焼く。今、そんな焼き肉の常識が変わりつつある。2013年に創業し、9業態の飲食店を手がける「ダイニングイノベーション」（東京・渋谷区）が目をつけたのは"おひとり様×焼き肉"だ。
同社が開発した「焼肉ライク」では、各席に無煙ロースターが設置され、おしぼりや箸もテーブルの引き出しから各自が出して使うセルフ方式となっている。
1人で本格的な焼き肉が楽しめると若者を中心に人気を集め、都内を中心に10店舗を展開（9月3日時点）。同社の西山知義会長は「明らかに個食化が進んでいる。牛肉の消費も上がっているのに、なぜ1人で食べられる焼き肉店がないのか」と、新業態を出店した理由を語る。
注文から提供までの早さも特徴の1つだ。1日の客の回転数は最大で18回転、通常の焼き肉店の約4.5倍。これが上質の肉を安く提供できる秘密だ。さらに、同社では、店員の作業を100以上の項目にマニュアル化し、3分以内に提供することを店のルールにしている。
「3分が当たり前だったら、じゃあ2分にできないか。ベストは座った瞬間にもう出てくる」と話すのは、「焼肉ライク」社長の有村壮央（もりひさ）さん（39）。
有村さんは、西山さんの理念に共感して入社。「焼肉ライク」をフランチャイズ展開させ、全国300店舗を目標に掲げる。その足がかりのため、フランチャイズ契約を結んだのはラーメンチェーンの「幸楽苑」。実は、神奈川県海老名市では、「幸楽苑」の自社競合が増え、4キロ圏内の6店舗で客を取り合う飽和状態となっていた。今年8月、その1つが「焼肉ライク」として生まれ変わることに。全国展開を目指す新鋭の焼き肉店と競合店舗を解消したい老舗ラーメン店の思惑が一致し、業界に新たな風を吹き込む。
窮地の「いきなり！ステーキ」がオイスターバーで反撃
新興勢力が台頭する中、苦境にあえぐのが"量り売りの立ち食いステーキ"という斬新なスタイルで一世を風靡した「いきなり！ステーキ」だ。2013年に創業。国内の快進撃に乗り、2017年には米ニューヨークに11店舗を出店した。しかし現地の評価は得られず、今年2月以降9店舗の閉鎖を余儀なくされた。
順風だった国内も風向きが変わり、昨年から既存店の売り上げが16ヵ月連続で前年割れを続けている。「カミナリステーキ」「やっぱりあさくま」など、似たシステムを持つステーキ店が増えたことが理由の1つだ。
しかし、「いきなり！ステーキ」を率いる「ペッパーフードサービス」の一瀬邦夫社長（77）は、「これも試練の一環」と前を向く。1970年に28歳のとき洋食店「キッチンくに」を創業し、その後「ペッパーランチ」を全国展開。店員による不祥事や食中毒などの問題で、倒産寸前まで追い込まれたこともあった。
そんな一瀬さんが地域に合わせた店づくりとともに打ち出したのが、これまでにない大胆な策だった。5月、東京・墨田区の本社会議で、ステーキにオイスターの提供を加えた専門店をつくると提案したのだ。
提供する"かき"は自ら足を運んで確認。富山県入善町の「海洋深層水かきセンター」を訪れた一瀬さんは、全国から集めたかきを浄化する様子を見学・試食し、新たな食材の調達を進める。
それにしても、なぜ、今"かき"なのか...。答えは「僕が食べたいものなら、大勢の人が食べたいはずだと信じている」から。「オイスターバーに行ってもおいしいステーキはない。リーズナブルで両方売っている店があったら僕は行く」と一瀬さんは自信をのぞかせる。
8月1日、東京・赤坂に系列の店を改装した実験店舗「オイスター+ステーキ赤坂」がいよいよ開店した。成功すれば「いきなり！ステーキ」との二枚看板になる。ステーキとかきのこれまでにないコラボ店に、お客はどんな反応を見せるのか。そして、赤坂の町が最もにぎわう夜に予想もしない事態が。果たして、「いきなり！ステーキ」の反撃なるか──。
肉の戦国時代。熾烈な競争を制するため、工夫を重ねる人々の姿を今晩10時からの「ガイアの夜明け」で放送。どうぞお見逃しなく！
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