「私はやりたいことをやって死ねるのだから恵まれている...」がんの妻を看取れなかった男性が今だからこそ語る”本心”

公開: 更新: テレ東プラス

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【配信終了日: 9月3日(火)】動画はこちら

8月26日(月)放送の「家、ついて行ってイイですか?(明け方)」(毎週月曜深夜3時55分)では、「ヨコハマハンドメイドマルシェ」で出会った戸次さんのおうちにお邪魔しました。

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一人暮らしをしている戸次さん。お部屋の玄関を開けると、台所に置かれていた個性的な棚が目を引きます。お鍋を縦に並べて収納するタイプの棚は、自分で溶接して作ったそう。壁にかけられた素敵な絵は、取り外してアイロン台になる優れもので、こちらも自作。本棚には、仕事で使用するプログラミングの本と一緒にお裁縫についての本もたくさん並んでいました。2台のミシンを使いこなし、いろいろなものを作って生活しているようです。

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また、お料理にこだわるのも好きだといい、あまり見かけないようなスパイスや調味料はもちろん、ベランダ庭園のバジルまで、幅広く取り扱っている戸次さん。冷蔵庫の中にも、手作りコーヒーゼリーや手作りお味噌など、男性の1人暮らしの想像を超えるものばかり。大きなオーブン付き電子レンジでお菓子を作るのも趣味。

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今は1人ですが、元々結婚していたという戸次さん。実は3年半前に奥さんが亡くなっていました。18歳のときに同じバイト先で出会った奥さんは同い年で、愛想がなく媚びない感じが戸次さんの好みだったそう。奥さんも編み物や刺繍が好きで、ネックウォーマーや動物のブローチなどを作っていたようです。

プロポーズをしたのは奥さん。戸次さんは「苗字を変えたくない」という奥さんとじゃんけんをして負けてしまったため、奥さんの苗字になりました。

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奥さんの胸にしこりが見つかったとき「悪いものじゃない」と言われたそうですが、切除して検査すると、それはがんでした。その後治療を重ねますが、26歳のときに再発。すでに肺と肝臓に転移しており、お医者さんからは「余命1年」と宣告されます。戸次さんは会社に2ヵ月のお休みをもらい、行けていなかった新婚旅行もかねて奥さんと2人で旅に出ることに。

旅先は奥さんが行きたかった場所を中心に決めたそう。戸次さんが会社を休むにあたり、奥さんには旅行の前に余命を伝えました。奥さんの日記には「あと2ヵ月...か。最悪」と正直な心境が綴られていました。しかし、「誰だっていつ死ぬのかわからないのに、私はやりたいことをやって死ねるのだから、なんて恵まれているんだろう」と続けられており、戸次さんはその一文を読んで「話してよかったと思った」そう話します。

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奥さんは亡くなる直前まで病床で編み物をしていました。お裁縫が趣味の戸次さんですが、編み物は奥さんのことを思い出してしまってチャレンジできないといいます。

毎晩奥さんの病室に寝泊まりしていた戸次さんでしたが、息を引き取ったその瞬間には立ち会えなかったそう。朝、会社へ出かける前に交わした「行ってきます」「いってらっしゃい」が最期の会話になってしまいました。

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戸次さんは「奥さんと一緒に闘病した経験を活かして、乳がんの知識を世界にもっと広めたい」という思いから、ピンクリボン運動に参加しています。「痛い」という女性が多いマンモグラフィー検査を実際に体験したり、積極的に活動を行なっている戸次さん。24歳で発病した奥さんは確率的に見て珍しいケースでしたが、年間乳がんで亡くなる人は交通事故で亡くなる人の数より多いそう。戸次さんは「検診に行っていない人は、ぜひマンモグラフィーを受けてほしい」と呼びかけます。

「生きているうちは、(奥さんと)一緒にいるようなもの」と語る戸次さん。一緒に生きた2人の思い出は絶対に消えることはありません。

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