遺産をめぐる骨肉の争い...本当にあった相続トラブル! どうすれば防げる!?

公開: 更新: テレ東プラス

遺産をめぐる骨肉の争いで、仲のよかったきょうだいがバラバラに!? 数回しか会ったことがないのに、亡くなった叔父さんの借金が回ってきた!? "他人事"と思っているあなた、遺産相続では「うちは大丈夫!」はないんです!

毎回、専門家が役に立つ生活情報を提供する「なないろ日和!」(毎週月~木 午前9時26分~放送中)から、相続実務士の曽根惠子さんに、本当にあった出来事をもとに「相続トラブルの対処法」をうかがいました。

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家族が骨肉の争い! 本当にあった相続トラブル

親が病気をしたり、介護状態になってから財産の話をするのは、なかなか難しいものです。まずは、親が元気なときから家族間で財産や相続の話をする環境を作っておくことが、トラブルを防ぐ第一歩!

「仲良く長生きするための相続や介護の話です。家族でそういう感覚に切り替えて、普段からコミュニケーションをとることが大事です」(曽根さん、以下同)

姉が親の預金を勝手に使い込み!?

nanairo_20190825_02.jpg画像素材:PIXTA

【本当にあった相続トラブル1】
両親と暮らす長女と、他家へ嫁いだ次女の姉妹。両親が亡くなり相続の話になったが、長女は通帳すら見せてくれない。そこで次女が金融機関に残高を問い合わせたところ、両親の預金から何千万円も引き出されていたことが発覚! しかし、長女は「自分が引き出した」とは言わず、次女は長女に対して不信感を抱くように。姉妹の信頼関係は壊れ、財産分与で争うことになってしまった。

【どうしたら防げる?】
「"きょうだい"というのは仲がいいもので、お金を使い込んだりするとは思っていないことが多いですが、実は相続問題で一番もめるのは"きょうだい"なんです。

相続人が金融機関に問い合わせれば、被相続人の預金残高や引き出した記録は分かりますが、"誰が引き出したのか"は家庭裁判所でも分かりません。このケースでは、姉が使った証拠は見つからず、"引き出したもの勝ち"になってしまいました。

トラブルを防ぐには、親御さんが介護状態になったとき、預金残高などを家族間で確認して共有しておくことが必要です。便宜上、同居している子供が管理するけれど、預金額はメモして、何に使ってどれぐらい残っているかを知らせるというようなルールを作っておく。そういう情報を共有しているだけでも、使い込みの抑制力になります」

遺品整理をしたら"財産泥棒"と疑われた!

【本当にあった相続トラブル2】
祖母が亡くなった後、どこを探しても大切にしていた宝石が見つからない! 親族は、遺品整理をした私に疑いの目を......なぜこんなことに!?

【どうしたら防げる?】
「財産を残す本人に、財産の整理と記録をしてもらうことが必要です。何も記録を残していない方が多くて、亡くなった後に何がどこにあるのか、家族が探すところから労力がかかったりします。財産を残す立場の方は、家族のためにも整理して記録しましょう。

エンディングノートは正式な遺言書にはなりませんが、財産整理と記録のために書くことをオススメします。それをもとに遺言書を作り、遺言書の存在を家族に伝えておきましょう」

親の借金は相続放棄で済むと思っていたのに!?

nanairo_20190825_03.jpg画像素材:PIXTA

【本当にあった相続トラブル3】
両親が亡くなり、私に残されたのは借金と田舎の土地と家だけ。相続しても損するだけなので、相続を放棄。すると、親戚から、私が放棄した相続権が回ってきて困っているという怒りの連絡が。私は、その親戚との間でトラブルを抱えることに......。

【どうしたら防げる?】
「相続財産には、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。マイナス財産がある場合、相続を放棄することもできますが、相続人である配偶者と子供が放棄すると、次は被相続人(亡くなった人)の親、その次は被相続人のきょうだい、さらには被相続人のおい、めいにまで相続権が移ります。放棄すればいいと安易に考えると、遠縁まで迷惑をかけた上に恥をさらすことになります。

遺産は借金しか残らないと分かっていて、返済できない額なら、生前に本人に自己破産などで整理しておいてもらうようにしましょう。自己破産は本人しかできません」

相続放棄のここに注意!
「相続放棄に関しては、現金だと放棄する方法がありますが、家や土地は国が引き取り管理してくれないと放棄できません。そのために100万円以上の費用がかかることも。空き家になりそうな家や土地の処分は早めに考えることが必要です。

相続は、借金を含めて受け継ぐか、借金を払いたくないならすべて放棄するという0か100の選択。相続する財産がプラスになるのかマイナスになるのか、事前に知っておきましょう」

相続にまつわるトラブルは、事前の対策をしておけば防ぐことができます。後々、抱えきれないほどの問題にしないために、仲のよかった家族の断絶につながらないように、まずは家族と財産や相続について話してみることから始めましょう!

※この記事は曽根惠子さんによる見解に基づいて作成したものです。

取材協力:相続実務士・曽根惠子さん。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。相続に関する専門家と提携して感情面、経済面に配慮した"オーダーメード相続"を提案、実務をサポートする。著書は『結果に差がつく相続力』(総合法令出版)、『図解90分でわかる! はじめての相続』(クロスメディア・パブリッシング)など多数。
オフィシャルHP:https://www.yume-souzoku.co.jp/

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