身体を芯から冷やすアイススラリー、熱中症対策に効きそうか試してみた

公開: 更新: テレ東プラス

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いよいよチケットの販売が開始され、来年の開催に向けて五輪ムードが高まってきました。ただ、ここ数年の猛暑から、真夏の開催となる今回のオリンピックでは、選手や大会関係者の熱中症が危ぶまれているようです。

スポーツ選手の熱中症対策については、スポーツ医学の分野でも研究が進んでいます。その中でも注目されているのが、「プレクーリング」という理論。運動前に身体を冷やしておくことで、体温の上がり方を抑え、熱中症のリスクを下げるというものです。

プレクーリングの効果はどのぐらいあるのか?今回は身体を芯から冷やすとされる「アイススラリー」を使い、実際に試してみました。

プレクーリングで、体温が上がりきるまでの時間が倍に伸びた

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アイススラリーとは液体と細かい氷の混合物のこと。最近ではパウチタイプのものが市販されており、冷凍庫で凍らせてから摂取することで、身体を冷やす効果が期待できるとされています。氷が細かい粒状になっているので、溶ける前に胃まで飲み込んで、身体を中から冷やせるのが魅力です。ただ、吸い込むようにすると口の中で溶けてしまうので、喉の奥に絞り出すようにして、そのまま飲みこむのが良さそうでした。

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今回は2日に分けて、通常時とアイススラリーの摂取後に、それぞれエアロバイクを歩くぐらいのスピードで漕いでみました。耳温度計による体温計測も行ったので、参考までにチェックしてください。

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エアロバイクを踏む前に、アイススラリーを摂取してみると、胃のあたりがぐ~っと冷えていくのが分かります。36度あった体温が、35.4度まで下がっており、どうやらプレクーリングに成功したようです。

その後にエアロバイクを漕ぎはじめると、違いは汗のかき方に現れました。通常では15分ぐらい経つと、全身がじんわりと汗をかき始めます。しかし、事前にアイススラリーを摂取した状態では、同じぐらいの汗をかくまで25分かかりました。

また、体温をチェックしていると、どうも汗を全身にしたたるぐらいにかいたところで、汗が気化できなくなったせいか体温が急に上がっていました。一方でアイススラリーを摂取した場合には、そのタイミングを10分程度遅らせることができたようです。

エアロバイクを漕ぎ続けると、どちらも最終的に体温は37度程度で落ち着きます。ただ、そこにたどり着くまでの時間を、アイススラリーを摂取することで30分程度遅らせることができたようでした。

熱中症になりかけの身体を急冷するにも、アイススラリーは利用できる?

どうやらプレクーリングを行えば、体温が上昇しきるまでの時間を遅らせることができそうです。ただ、運動をせずに炎天下に立ち続けてみたところ、アイススラリーを摂取するのとそうでないのとでは、体温の上がり方、汗のかき方などにそこまでの違いは見られませんでした。

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体調や個人差、温度測定の方法にもよるかもしれませんが、どういう状況でプレクーリングの効果が期待できるかは、もう少し色々と試してみる必要があるかもしれませんね。

なお、風呂上りにアイススラリーを摂取したところ、38.2度あった体温が37.5度まで下がりました。熱中症の症状が出た状況では、アイススラリーを飲み込むのは難しいかもしれませんが、その手前の状況で身体を急速に冷やすにも有効かもしれません。

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