“あまちゃん”“万引き家族”で町を活性化できたワケ:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

現場で奮闘する人たちの姿を通して、さまざまな経済ニュースの裏側を伝えるドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」(毎週火曜夜10時)。8月20日(火)の放送では、シリーズ「ニッポン"新名所"ウォーズ」第3弾として、地方に人を呼び込む仕掛け人たちを特集。その手腕と思いに迫る。

いまだ続く「あまちゃん」の経済効果は32億円!

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"何もない町"に人が集まっている。人口約3万4000人の岩手県久慈市は、同市の市長いわく「遠くて不便で寒くて暗くて、何もない寂しい町だった」とのこと。しかし、久慈の町は2013年放送のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」で一変。ロケ地巡りをしに、国内外から多くの観光客が訪れるようになった。ドラマが終わった今も町は潤い、経済効果は約32億円に上るという試算もあるほど。

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現地の人々にとっては見慣れた風景が映画やドラマによって"聖地"に変わる。そんな現象が各地で起きている。最近では、過疎化が進む地域と制作者を積極的につなげる会社も出てきた。東京・港区に社を構える「地域活性プランニング」だ。社員は約20人。ロケ地として貸したい団体と借りたい映像制作者をマッチングするサイト「ロケなび!」の運営や、地方自治体向けにロケ誘致のコンサルティングを行い、地域の活性化を手助けする。

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同社で窓口として活躍する木庭清美さんは、「毎週違う地域の相談が入ってくる」と話す。ある日、案内してくれたのは人口約8万8000人の千葉・茂原市にある小さな商店街。シャッターが閉まった店ばかりが目に入るが、実はここが人気のロケ地だという。「古い昭和の設定でもいける。エキストラを使えば活気ある商店街になる」と木庭さんが語る通り、たった1年で4本の映画やドラマのロケ地に選ばれた。

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木庭さんは、1年間で約50件のロケを茂原市に誘致した。木庭さんの仕事は、ロケを誘致するだけではない。また、映画「万引き家族」のロケ地として知られる千葉県いすみ市では、ロケ地巡りにやってくる観光客が増えたが、町にお金を落してもらうために地元商工会メンバーと新たな"名物グルメ"の開発に携わるなど、町おこしにつなげるまでが仕事なのだ。さらに、地方自治体と映画やドラマの制作者とのマッチング大会を開催したりと活動は多岐にわたる。

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しかし、すべてが順風ではない。人口約4万2000人の愛知県幸田町では、昨年9月から「ロケなび!」に掲載し、コンサルティング料を含む年間約200万円を税金から支出するものの問い合わせがほぼない。「観光には無縁な町」からの脱出を模索する幸田町産業振興課の春日井幸弘さんは、「お金を払って登録することに、何かメリットはあるのかな」と懐疑的だ。

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この問題を解決するために、5月下旬、木庭さんは東京から2人の映画プロデューサーを幸田町に連れてきた。

さらに木庭さんは、東京・港区の映画制作会社に出向き、興行収入30億円を超えた話題作「翔んで埼玉」の仕掛け人である古郡真也さんにも声をかけ、幸田町を本格的に売り込むことに。"何もない"をどう武器に変えて、町の活性化につなげるか。地方の町の新しい挑戦に密着した。

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自費で会社を設立し、「べビースターラーメン」のテーマパークを建設

ベビースターラーメンを手がける「おやつカンパニー」。2代目・松田好旦(よしあき)会長(71)は、今夏、工場のある三重県津市に、ベビースターのテーマパーク「おやつタウン」を開業しようと奮闘していた。

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5年前、米系投資ファンド「カーライル」が同社を買収。当時社長だった松田さんが売却の際につけた条件が「ベビースターのテーマパーク建設」だった。今まで支えてくれた子どもたちに感謝を伝えたい......そんな思いから私財を投じてテーマパークのための会社を設立し、自ら社長として陣頭指揮をとる。

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一番の課題は、やはり"何もない"立地。建設予定地は工場の隣にある駐車場だが、津市中心部から車で約30分、最寄り駅からの交通アクセスもない。「陸の孤島」にどうやって人を呼び込むか。頭を抱えた松田さんが外部からスカウトしたのが、嶋田亘克常務(44)だ。

元オリエンタルランドで東京ディズニーシーの立ち上げにも関わった集客プロデューサーだが、初めてこの話を聞いたときは「ないだろうと思った」のだそう。「(閑古鳥が鳴く津の)駅を降りた瞬間にお断りしてさっさと帰ろうと思った」と笑う。しかし、松田さんのおやつタウンにかける熱意にほだされた。一度はテーマパークを手がけてみたいという積年の夢もあり、嶋田さんは前を向く。

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開業まで約1ヵ月半となった6月下旬。嶋田さんの案内のもと園内に入ると、まずベビースターのマスコットキャラ「ホシオくん」の巨大な像が目に飛び込んでくる。「アイコンとしてホシオくんがあった方がいいよね」と嶋田さん。"日本最大級"を売りにした屋内アスレチックも嶋田さんの考案だ。

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「ここでしかできないものを出さないと絶対にきていただけない」と意気込む嶋田さん。しかし、視察した松田さんは厳しい表情。「もっとベビースターにこだわって欲しい」と細部にわたるまで注文が...。創業家としての強いこだわりを持つ松田さんと、それを形にすることを託された嶋田さん。果たして、ベビースターの世界を生み出し、「陸の孤島」にお客を呼び寄せることができるのか。そして7月20日、おやつタウンはいよいよオープンの日を迎えた...

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観光資源に乏しく、観光客を呼べない「何もない町」にスポットを当て、新たな手法で活性化に挑む人々の姿を今晩10時からの「ガイアの夜明け」で放送。どうぞお見逃しなく!

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