池上彰が言及「護衛艦かがは、戦中なら間違いなく空母」

公開: 更新: テレ東プラス

ikegami_20190812_1.jpg

8月12日(月)夜8時から、「池上彰の戦争を考えるSP第11弾~失敗は隠され、息子たちは戦場へ~」が放送された。番組冒頭では「あの戦争」を振り返る前に、海上自衛隊の護衛艦「かが」の存在をリポート。

米国とイランの対立により緊張が高まる中東・ホルムズ海峡。きっかけは米国のイラン核合意離脱だが、トランプ米大統領は海峡を航行する船の安全を守るため、同盟国などに「有志連合」の結成を求めている。

連合に参加するということは、自衛隊をホルムズ海峡に出すのか──。中東だけではない。隣国との関係に溝が広がる中、日本の安全保障はどうなるのか。

そんな状況下で注目を集めるのが「護衛艦かが」だ。全長248m、幅38m、高さ約50m、海上自衛隊最大の護衛艦である「かが」。2018年12月、政府はこの「かが」に対し、戦闘機を運用できるように改修の方針を示した。「事実上の空母化」との指摘もある。

ikegami_20190812_2.jpg

番組VTRでは、ゲストの峰竜太とサブMCを務める相内優香アナウンサーが、広島県呉市に停泊する「かが」の船内を取材。乗員の生活を紹介し、群司令などに話を聞いた。

まずは森浩人海曹長が、ヘリの格納庫を案内。長さ約170mの庫内には最大14機の格納が可能となっている。その後、ヘリ2機を飛行甲板に昇降できるエレベーター(第一昇降機)に乗って甲板へ。約250m、テニスコート約50面分の広さを目の当たりにした峰と相内アナは驚く。森曹長によれば、乗員も健康管理のために甲板をジョギングすることがあるという。

この甲板は、米国から購入するステルス戦闘機「F-35B」が着艦できるよう改修が決まっている。スタジオの池上はこの点に注目し「あのエレベーターは"たまたま"F-35Bを乗せるのにぴったり」とコメントした。

ikegami_20190812_3.jpg

果たして、この一致は偶然なのか...。池上は「将来的に戦闘機が乗せられるようなものとして考えられていたのでは」と推測。「かが」製造の段階から政治的な意図が介在していた可能性を示唆する。

また、「かが」が戦中にあった場合、「間違いなく空母にあたる。国際的に見ても、かがは英国の軽空母よりはるかに大きい」と言及。同艦を所有することで他国を刺激する恐れもあるとした。

続くVTRでは、約350人の乗組員が働く艦内を、峰と相内アナが回る。医務室やトレーニング室、7月の西日本豪雨で被災者1万8000人以上が利用した浴槽などを紹介。

長い艦内生活で欠かせないのが食事だ。取材当日は伝統の海自カレーが提供される金曜日で、2人は「かがカレー」を味わう。添え物はゆで卵やエビカツ、マカロニサラダなど。隠し味にはひじきが使われている。味の感想を聞くと一人の隊員は「絶品。こんなうまいカレー、外でも食べたことがない」と答えた。

ikegami_20190812_4.jpg

食堂には水田英幹艦長の姿も。「かがはちょっと特別。普通幹部は士官室で食べるが、かがは人が多いので、みんなでセルフで食べる」と話す。

さらに中枢部へ...。航空機を指示・誘導する航空管制室を見学した後は、いよいよ最も機密性の高い場所・CIC(戦闘指揮所)を訪れる。

森曹長の指紋認証とともに開いた扉の先には、暗闇の中で多くのモニターが浮かぶ。ここは、他の護衛艦と艦隊を組む際に全ての情報が集まる場所。「かが」が中心となり、艦隊を効率的に運用することができるのだ。

ikegami_20190812_5.jpg

さらに、かがを始め8つの護衛艦を束ねる西脇匡史第4護衛隊群司令にも話を聞いた。「F-35Bの搭載で専守防衛が崩れるのでは」「戦闘機が飛び立ち、攻撃することもありうるわけですよね」...。相内アナが鋭い質問に対して、群司令は「我が国の防空体制を確立するために改修していくものと思われますので、専守防衛を逸脱するようなことはないと考えています。我が国を防衛するために(戦闘機が飛び立ち)攻撃することは当然ありうると思います」と回答。

「米軍との連携について」聞くと、「その時のオペレーションがどういう形になるかということになりますので、一概に申し上げることは難しいかなと思います」と回答した。

ikegami_20190812_7.jpg

一方で今年5月、ドナルド・トランプ大統領は安倍晋三首相と共に「かが」を視察し、強固な日米同盟をアピールした。スタジオの池上は、「かが」は米国と日本の協力体制の象徴だと述べ、「何かあった時、米軍と自衛隊が一緒に行動することはありうる。そのときに米国のF-35Bがかがに着艦することができるようにしようという(考えでは)」と持論を展開した。

番組ではこのほかにも、ミッドウェー海戦の解説や、改ざん・作りごとの報道により戦場に送られた若者たちの悲劇などを伝えた。令和から見た「戦争の真実」に加え、現代の安全保障に関する状況にも鋭く切り込んだ内容に、大きな反響が起きそうだ。

PICK UP