深い愛情に涙が止まらない...妊婦の時にお世話になったトルコ人女性が96歳になった大家さんと再会

公開: 更新: テレ東プラス

ニッポンに行きたくてたまらない外国人を世界で大捜索! ニッポン愛がスゴすぎる外国人をご招待する「世界!ニッポン行きたい人応援団」(毎週月曜日夜8時~)。毎回ニッポンを愛する外国人たちの熱い想いを紹介し、感動を巻き起こしています。

妊婦のセムヴィさんを気遣い、階段に手すりを...

今回ニッポンにご招待するのは、トルコに住むセヴィムさん(46歳)と20歳の長女・ギュルヒラルさん。

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ウスキュダル大学で非常勤の准教授として働くセヴィムさんは、21年前、夫と国費留学生として来日。岡山大学医学部で学んでいました。慣れない日本での生活は苦労の連続でしたが、そんな2人に手を差し伸べてくれたのが、大家の井上さん夫婦(夫・剛さん 妻・芳代さん)でした。

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アパートの1階に住む井上さん夫婦は、いつもセヴィムさんたちのことを気にかけてくれたそうです。友人の結婚式に何を着ていけばいいか悩んでいるセヴィムさんに着物を準備して下さり、セヴィムさんの妊娠が分かった時は、3階に住む彼女が階段でつまずかないように剛さんがわざわざ手すりをつけて下さったそう。「涙が出るほど嬉しかったのを覚えています」と話すのは、セヴィムさんの夫・メフメットさん。

長女のギュルヒラルさんが生まれると、芳代さんは孫のように可愛がり、七五三の時には着物から料理まで全て準備して祝ってくれたとのこと。セヴィムさんたちは井上さん夫婦を「お父さん」「お母さん」と呼んでいたそうで、心から感謝していると話します。

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4年半の留学期間を終え、セヴィムさん一家はトルコに帰国。その後2011年に夫の剛さんが他界したという連絡が入りました。以来セヴィムさんは、芳代さんのことがずっと気がかり。芳代さんは今年96歳。元気なうちにひと目会って感謝の気持ちを伝えたいセヴィムさんでしたが、トルコの平均月収はおよそ7万円。ニッポンに行くのは厳しいため、岡山に住んでいた頃に撮影したビデオを見ては当時の日々を懐かしむしかありませんでした。

96歳になったニッポンのお母さんは、覚えているのか?

そして今回、ニッポンに17年ぶりに来日したセヴィムさんとギュルヒラルさん。ギュルヒラルさんにとってもおばあちゃんのような存在の芳代さん。「心からお礼を言いたい!」とはやる気持ちを抑え、親子はいざ岡山へ!

岡山駅の前でしばらく街並みを眺める二人。家族で暮らしたアパートまでは駅から2キロほど。懐かしい場所を通りながら30分歩きますが、緑道公園に差し掛かると、昔の思い出が蘇ったのかセヴィムさんは涙ぐんでしまいます。

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芳代さんがお弁当を作ってくれ、桜の美しいこの公園でよく花見をしたとのこと。

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成長した娘と再び訪れることができて感無量のセヴィムさん。少し歩くと17年前と変わらぬ姿のアパートが見えてきました! 「すごく緊張してきた」と話すのはギュルヒラルさん。

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実は芳代さんを驚かせたいと、仲の良かった芳代さんの長女・扶美子さんと長男の繁広さんに協力してもらい、2人が来日していることは内緒にしてもらっていました。そこでまずは扶美子さんと繁広さんと再会。繁広さんの最初の一言は「大きくなったねー!」。当時3歳だったギュルヒラルさんの成長した姿に驚いたようです。

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芳代さんの様子を聞くと、数年前に脳梗塞を発症したけれど今は回復して元気に生活しているとのこと。今年96歳になるので、物を覚えることが少し難しくなっているそうです。果たしてセヴィムさんたちのことを覚えてくれているのでしょうか。
セヴィムさんが芳代さんのところへ行くと...。そんな心配は無用でした! 「久しぶりで...」とすぐに思い出した芳代さん。

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「分かる?」と扶美子さんが尋ねると「イシクさんじゃろ?」と名字もすぐに出てきました。

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「嬉しいな~」と芳代さん。久しぶりに会えたことを喜んでいるようです。セヴィムさんはずっと伝えたかった感謝の気持ちを芳代さんに伝えます。

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そして、たくさん芳代さんの話を聞いていたギュルヒラルさんもやっとニッポンのおばあちゃんに会えて感無量。

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セヴィムさんたちが井上さん夫婦を思い出していたのと同じように、実は芳代さんも七五三の時の写真を飾ってセヴィムさんたちのことを思っていたことを聞き、セヴィムさんはとても驚きます。遠く離れていても気持ちはつながっている本当の家族のようでした。

「愛ちゃんもうこんなに大きくなられたんだもんね」と話すのは扶美子さん。「愛ちゃん」とは「ギュルヒラル」という名前が日本人には言いにくいと心配し、芳代さんがつけたニックネーム。

「お母さんももちろんですがお父さんのこともいつも思い出しています。お父さんは素晴らしい人でした」とセヴィムさんが取り出したのは、思い出の品である家賃帳。

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お父さんが振り込みではなく家賃帳にこだわっていたのは、直接顔を合わせて困っていないか確かめたかった、という人間味溢れる理由からでした。「私にとってお父さんとの絆が詰まった大切な家賃帳なんですが、皆さんがお父さんのことを思い出せるようにお渡ししたいと思います」とセヴィムさんが手渡すと、扶美子さんは、久し振りに見るお父さんの字に目を潤ませていました。

続いて、セヴィムさんたちの部屋に向かうことに。階段の脇にはギュルヒラルさんがお腹にいた時にお父さんが取り付けてくれた手すりも健在。空き部屋になっていた懐かしの我が家に足を踏み入れると、当時の思い出が蘇ります。「ここにテーブルを置いて、あなたを見ながらよく料理をしたのよ」とセヴィムさん。すると突然、続々と布団や冷蔵庫、電子レンジなどの家具や家電が運び込まれます。実はこれ、井上家からのウェルカムサプライズで、「ここに泊ってください」と扶美子さん。岡山にいる間、思い出の部屋を自由に使ってほしいと生活道具一式を揃えてくれたのです。

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「夢のような気分です」と感動するギュルヒラルさん。「冷蔵庫と電子レンジがきたときは、母がトルコから引っ越しするのかと思いました!」と語り、皆さんの笑いを誘います。

岡山名物「カキオコ」ってナニ?

次の日は近くに住む長男・繁広さんのお宅で歓迎会を開いてくれました。井上さん一家を始め、セヴィムさんと仲良しだった近所のお花屋さんたちも駆けつけ、繁広さんの奥様が準備して下さった心づくしのお料理が並びます。

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焼き穴子にさわらの酢漬け、タコなどをふんだんに盛り込んだお祝い料理「バラ寿司」やチキンの照り焼きなど、嬉しいおもてなしに感動。

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楽しい話で盛り上がり、笑い声が外まで響き、楽しい歓迎会となりました。

もう一つセヴィムさんが岡山に帰ってきたら食べたいと決めていたのが「カキオコ」。カキオコとは、1960年代に養殖で余った牡蠣を漁師がお好み焼きにのせて食べたのが始まりだそう。岡山に住んでいた頃はゆっくり遠出をする余裕もなく、いつか食べてみたいと思っていたセヴィムさん。お好み焼きの半面にはソース、もう半面には牡蠣の味を引き出す岩塩を振っていただきます。

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たっぷり10個もの牡蠣が入った「カキオコ」のお味は...?

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「牡蠣が柔らかくて想像以上の美味しさです。生きていて良かったです」と大絶賛。念願が叶ってよかったですね。

セヴィムさんは、岡山でどうしても訪れたい場所がありました。それはお父さんのお墓。

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再び会うことは叶いませんでしたが、感謝の気持ちを伝えたいとのことでお墓に向かいます。
静かにお父さんへの感謝の気持ちを伝えることができたよう。

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大学の研究室仲間がセムヴィさんに感動のサプライズ!

困った人を見ると放っておけないお父さんの真心はしっかりと伝わり、セヴィムさんはトルコと日本を繋ぐ架け橋となっていました。

留学中に公私ともお世話になったのが筒井名誉教授夫妻。勉強だけでなく、生活に関しても相談にのってもらっていた恩師なのだそう。実は筒井先生たち、セヴィムさんが当時通い詰めた研究棟で入念にサプライズの練習をしていました!

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そんなこととはつゆ知らず研究棟に入り、ギュルヒラルさんを案内するセヴィムさん。がんに関する研究をしていた日々を懐かしみながら部屋をめぐっていると、突然暗かった一つの部屋の明かりがつき、筒井先生たちが登場してサプライズは大成功!

最初は笑顔だったセヴィムさんでしたが、筒井先生や昔の研究仲間とハグをすると、当時の大変だったことや助けてもらったことなど色々な思いがこみ上げてきました。

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セヴィムさんは当時筒井先生から教わった「実験を丁寧に几帳面に行い、結果を出す」ことがいかに大切なことなのか...トルコでも学生たちに教えていると話します。筒井先生は、夜遅くまでみんなで研究棟にこもっていたことや、セヴィムさんが時々愛ちゃんを連れてきていたことを覚えているそう。

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なんとセヴィムさん、愛ちゃんを産んでたった3日で大学に戻ってきていたとのこと! 子育てと研究を両立させ、熱心に取り組んでいたようです。

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定番スポットで娘の成人式を...芳代さんの手を握って感動の写真撮影

セヴィムさん、この日はギュルヒラルさんを連れて美容院にやってきました。実は今年二十歳になるギュルヒラルさんに、ニッポンの伝統的な成人のお祝いをさせたいそう。それを聞いた扶美子さんは、芳代さんの孫の麻衣子さんが成人式に着た振袖を用意。実は七五三の時にギュルヒラルさんが着せてもらった着物も麻衣子さんのおさがりだったのです。早速着付けとメイクをしてもらうと...。

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「花嫁さんみたい!」セヴィムさんもとても満足そう。ギュルヒラルさんも嬉しそうでした。「家族のような愛に感謝します」と扶美子さんに伝えると、「この着物をまた着ていただけるのがすごく嬉しい」と逆に感謝されてしまいました。そして芳代さんと一緒に向かったのは、日本三名園の一つ、岡山後楽園。ここは成人式の記念写真の定番スポットなのです。

セヴィムさんにとっては、かつて子育てと勉強に追われるセヴィムさんを気遣い、芳代さんが息抜きによく連れてきてくれた思い出の場所でもあります。写真撮影の場所に向かうと...なんと突然、岡山市の大森雅夫市長が成人のお祝いに駆けつけてくれました。これにはギュルヒラルさんもビックリ! そして成人式のお祝いに、岡山の特産品・烏城彫(うじょうぼり)の手鏡をプレゼント。

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夢にまで見た写真撮影が始まりました。構図は七五三の時と同じ、芳代さんの横にギュルヒラルさんが立ち、手を握って撮影。ニッポンの母から受けた愛情が17年の時を超え、再び強い絆となりました。

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岡山大学時代の仲間も駆けつけ、成人のお祝いは大撮影大会に。

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人種や文化を越えて伝わる"人と人との絆"の素晴らしさ

5日間に渡り、岡山での絆を確かめ合ったセヴィムさん。いよいよ別れの時を迎えます。
「楽しい日々はすぐに過ぎ去ってしまいました。皆さんに再会できて本当に嬉しかったです」とアパートの鍵を返します。繁広さんは「これで一生記念に残る思い出になります」と言いつつ寂しそう。扶美子さんは頑張って涙をこらえながら「段々悲しくなってきたけど、またお会いできる日があると思って...」と声を震わせます。

そして前日撮影したばかりの成人式のアルバムが! セムヴィさん親子にとって忘れられない思い出の写真が増えました。

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最後、セヴィムさんが感謝の気持ちを綴った色紙を読み上げます。

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「また会いに来ます。お元気でいて下さいね」と別れを告げると、「100(歳)超すよ!」と言って周りを和ませる芳代さん。

17年前、心からの愛情でセヴィムさん家族と絆を築いた井上さん夫婦。その愛情は繁広さん、扶美子さんはじめ井上家の皆さんに受け継がれ、時を超えてさらに絆を強めてくれました。そして私たちにも、人種や文化を越えて伝わる"人と人との絆"の素晴らしさを見せてくれました。

「本当に感動的でした。岡山の方たちの優しい心は相変わらずでしたし、永遠の絆を結べたと思います」とセムヴィさん。ギュルヒラルさんは「人も街も最高なので、一刻も早く家族で岡山に引っ越したいです」と言うほど、すっかりニッポンを気に入ってくれた様子でした。

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セヴィムさん、ギュルヒラルさん、またの来日お待ちしています! そしてお世話になった井上家の皆さん、筒井先生及び大学のご友人の皆さん、ご近所の皆さん、本当にありがとうございました!

そして今晩8時放送! 「世界!ニッポン行きたい人応援団スペシャル」の内容は...。

約1年前にご招待した「日本の模型メーカータミヤを愛する」アルゼンチン男性が、「静岡ホビーショー」を見学するために再来日。1年間休みなく働き、来日資金を貯めた彼のもとへ、なんと俳優の石坂浩二さんが登場。芸能界きっての模型愛好家である石坂さんは前回の放送を観て感激し、あるサプライズを用意する。

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また、約2年前にご招待した「琉球舞踊を愛する」アルゼンチン女性が中学2年生となり、驚きの成長を遂げていた! さらに、約4年前にご招待した「伊達政宗を愛する」ポーランド男性も登場。なんと大学を休学し、ワーキングホリデーでニッポンに来てしまったという。彼を訪ねて番組が向かうと、そこには驚きの光景が...。そして「ニッポンのカレーを愛する」フランス男性ご招待の前編も。今夜8時放送! 「世界!ニッポン行きたい人応援団スペシャル」をどうぞお楽しみに!

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