昨今のブーム、どう思う? サウナの最新トレンドと、目指すべき未来

公開: 更新: テレ東プラス

ドラマ25「サ道」(毎週金曜深夜0時52分放送)の原作者・タナカカツキ先生と、業界を代表するトップサウナーによる座談会。サウナの魅力について語った前編に続く今回は、サウナの最新トレンドから、サウナの未来まで、興味深い話が飛び出した。

【前編】はこちら。

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参加者は、写真左から、東京・錦糸町『スパ&カプセル ニューウイング』の吉田健支配人、タナカ先生、横浜『スカイスパYOKOHAMA』の金憲碩社長、芸人でもありサウナ好きが高じて東京・笹塚『天空のアジト マルシンスパ』で熱波師として働くマグ万平さんの4名。

これから来る!? サウナの最新トレンド

――『スカイスパYOKOHAMA』では「スパで働く」をコンセプトにした「コワーキングスペース」を新設されたり。最近はサウナでアイデアを得る人が多いと聞きます。

「新しいことをやってみようと。何事も最初にやると苦情も頂きますが(笑)、今のニーズに合うものを取り入れていきたいと考えています」

吉田「『ニューウイング』であれば、休憩するための通称"ととのいイス"というものがサウナにはあるんですけど、そこの上に送風機を設置したり。うちはドラマの舞台になっている上野の『サウナ&カプセルホテル北欧』(※6)さんのように外気浴(※7)ができないので、どうにか外の風に近いあの感じが再現できないかなと。お客さんには、もっと気持ちよくなってもらいたいですからね」

「うちも高層ビルのため外気浴できないので、その替わりになるものを工夫していますね。基本的には、自分が気持ちいいかどうかが基準なんですが(笑)」

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――今、注目されているサウナのトレンドはありますか?

「流行りつつあるけど、アウフグース(※8)はさらに人気が出そうですよね」

タナカ「ドイツ生まれのサウナプログラムなんですけど、ロウリュよりも、よりショー的な感じで。『スカイスパYOKOHAMA』では以前からおなじみなんですが」

「最近はいろんなイベント(『光と音と熱波で奏でるアウフグースプロジェクト』など)を開催したりしています」

吉田「外から見ると、真っ暗な中でピカピカ光ってる。金さんのところのアウフグースは面白いんですよ」

タナカ「ほかにも日本独特の面白いサウナ文化というものがあって。ドイツのサウナも、そうしたエンターテイメントとしての方向性になってきているのかなと思います」

――万平さんは、あるインタビューでドイツで行われている「世界アウフグース大会」に出たいと抱負を語っていらっしゃいましたね。

万平「そうなんですよ。ただ僕、先日アウフグースのやり過ぎで肩を壊しちゃいまして(笑)」

タナカ「本業は芸人なのにね」

万平「まっ先にカツキさんに相談しまして。『今後タオルが振れなくなるかも知れません......(泣!)』って。そうしたらカツキさん、『芸人やろ。何を熱波師の将来を心配してるねん』と(笑)」

タナカ「(笑)、そもそも相談する先が違いますからね。芸人の先輩に相談せえ、と」

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――肩を壊したプロ野球選手のような絶望感が(笑)。

万平「僕にとっては同じ気持ちですよ! もう終わりだ......って。で、病院で先生に見てもらったら、うちわを扱う職人さんが痛める"筋"をやっちゃったみたいで」

吉田「焼き鳥屋さんとかうなぎ屋さんとか?」

万平「そうです。そういう専門職の人しか痛めない部分らしく」

タナカ「繰り返し同じ動きをするから炎症を起こしたんだろうね。その後、冷やしたりしないでしょ?」

吉田「扇いだ後は、プロ野球のピッチャーみたいにアイシングしなきゃ」

万平「これからは、そういう熱波師のケアの仕方も研究していかなきゃ、ですね」

タナカ「(笑)、なんの話やねん!」

今、過渡期にあるサウナのこれからは?

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――(笑)、空前のサウナブームが訪れていますが、初めてサウナに行くという読者に、よいサウナ、そうでないサウナの基準があれば教えてください。

「その人がサウナに何を求めているかによって変わりますよね」

タナカ「僕の場合、今の時代、静かに一人でいられる場所ってなかなかないから静かなサウナの方が望ましくて。そういう心も体も裸になれる場所に価値を感じている人もいたり......とはいえ、何でもありだと思うんですよ。今ようやくサウナが一般の人にも伝わり始めて、各施設さんもいろんなサービスを試しているところなので、それでいいんじゃないかと」

――先のロウリュやアウフグースなどなど。

タナカ「文化が育っている時はそれでいいと思います。その後で自然に淘汰されてくるんでね。先ほど金さんが批判もあるとおっしゃっていましたが、文化が育ったり、何かが変わろうとしている時は何事でも批判がつきもの。既存のお客さんからクレームがくるってことは、それくらい先を行ってるわけで」

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――ほかにも、サウナ室内のテレビや大型スパの漫画コーナーなど施設によっていろんな設備やサービスが増えてきました。

タナカ「それぞれのサウナの体験が今はまだマチマチですが、だんだん落ち着いてくると思うんです。その中から新しいルールやマナーも整備されていく」

吉田「サウナ室の温度にしても、紆余曲折あってようやく80℃に落ち着いてきて」

タナカ「サウナ室の温度がなぜ80℃なのかも、サウナを楽しんでいる人には理由がわかるんですよ。水風呂と一緒に楽しむには、それがベストなんで。ただ汗をかきにきてる人は100℃ほどの高温が好きやと思うんです。でも今、その時代が終わりかかっていて。そういういろんなことが、これからゆっくりと変わっていくのかなと思っています」

「確かに今、過渡期にはあるかも知れませんね」

吉田「ブームでいろんなお客さんが来て。そのぶんイヤだなと思うお客さんもいるとは思うんですけど、そういう人を反面教師にして、自分も成長していく」

タナカ「施設側がそっちに合わせる、という方法もありますよね。例えば防水のスマホを持ち込むとか、イヤホンで音楽を聴くとか。ご年配のお客さんからすると、ちょっとうっとおしいと思うかも知れないんですが、今そういう人が圧倒的に増えてきたのであれば、ニーズに合ったサウナ室を作るとか。金さんが仕事をしたいというお客さんの要望に応えてコワーキングスペースを作ったみたいに、いろんな実験をしていく時期だと思いますね。いろんなサウナの楽しみ方を吸い上げて、試してる段階で」

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「その中で残っていくもの、なくなっていくものがあって」

吉田「バリエーションは多い方がいいと思いますね。いろんなサウナを回って楽しんでほしいです」

タナカ「アウフグースが好きじゃない人もいるんですよ。そんなに扇がなくていいと。俺は静かに入りたいんだという人もいますが、そういう人はそれ以外の時間に入ればいいんです」

吉田「金さんのような50年近いキャリアのある人と、ブームで興味を持っていらっしゃったサウナ初心者のお客さんが一緒の箱に入るわけで。ましてや過渡期にある今、価値観が同じだなんてあり得ないですからね」

万平「漫画に出てくる"(主人公が勝手に師と仰ぐ)蒸しZ"じゃないですけど、そういうベテランの所作を盗んで」

吉田「地方によってもルールやマナーが違いますから、それごと楽しむ。それも込みでサウナの面白さ。初めての方も、気兼ねなくいらっしゃってほしいと思います」

タナカ「その結果、サウナ利用者が増えることはいいと思います。ただ、サウナにはまだまだ誤解もありますし、男性専用の施設も多いですから女性の敷居も高い。これからですよね、文化になるのは。そして行く行くはサウナ施設がそこら中にできて、いつでも、誰でも入れるようになればいいと思います」

「ここ数年で女性も利用できるサウナ施設は着実に増えていますし。女性用のメイクルームなどを新設している施設もありますから」

タナカ「身体中から汗をかいて、毛穴を綺麗にして、血行をよくする効果もありますからね。ヨガのようにもっとサウナが広まっていけばいいと思います」

【脚注】
※6...サウナ&カプセルホテル北欧
東京都台東区上野7-2?16
03-3845-8000
https://www.saunahokuou.com/

※7...外気浴
サウナ室(熱気浴)→水風呂(冷水浴)→休憩(可能であれば屋外の風当たる外気浴)を繰り返すことで「ととのう」というサウナーが多い。

※8...アウフグース
熱したサウナストーンに水をかけ蒸気を発生させることをロウリュと呼び、その蒸気をタオルなどで扇ぎ、サウナ室内に拡散させるドイツ発祥のサービスがアウフグース。
施設によってタオルで扇いだり、うちわで扇ぐなどスタイルもさまざま。

【プロフィール】
タナカカツキ
1966年生まれ。大阪府出身。1985年大学在学中にマンガ家としてデビュー。
主な著書に『オッス!トン子ちゃん』、天久聖一との共著『バカドリル』などがある。
そのほか映像作品も多数手がけ、アーティストとして幅広いジャンルで活躍。
2012年、サウナを題材にしたマンガ&エッセイ『サ道』でサウナブームの火付け役となる。
日本サウナ・スパ協会が公式に任命した「サウナ大使」としても活動中。最新作『はじめてのサウナ』(リトルモア)、そしてこのドラマの原作となった『マンガ サ道』2巻(講談社)ともに好評発売中。

"コンフォートサウナ"って?

座談会で貴重な話を聞かせていただいたタナカカツキ先生原作のドラマ25「サ道」(毎週金曜深夜0時52分放送)、8月2日(金)の放送は?

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第3話「杉並の住宅街でととのう」
ナカタアツロウ(原田泰造)は、ある日を境に全国のサウナに足を運んでいる。ナカタは、杉並区にある偶然さん(三宅弘城)行きつけのサウナ施設を訪れていた。露天風呂の数やサウナ室の3段シートなどに感動するナカタ。そんな中、サウナ室の看板で見つけた"コンフォートサウナ"とは!? そして、いつものようにサウナ・水風呂・整いを3セットほど終えた時、ナカタはある事に気づく! さらに、自然とこぼれ落ちる涙......その真相は?

番組公式HP:https://www.tv-tokyo.co.jp/sa_una37/news/index.html?trgt=2019.05.16,0
番組公式SNS:Twitter / Instagram @sado_prsauna

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