人生100年...「親の住まい」はどうする？：ガイアの夜明け

現場で奮闘する人たちの姿を通して、さまざまな経済ニュースの裏側を伝えるドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」（毎週火曜夜10時）。7月30日（火）の放送では、自分の両親が実家を離れ、"第二の住まい"で暮らすことになったとき、どうすれば良いか？優良な施設の選び方や、入居者を食いものにする悪質なケースも紹介する。

「良い老人ホーム」の法則を紹介

「来てみたら楽しくて、あっという間に3年経った」。千葉市のシニア向け分譲マンション「スマートコミュニティ稲毛」に住む菊池さん（仮名・63）は、そうほほ笑む。夫と離婚し、親を看取った後、3年前に同マンションの新築1LDKに移り住んだ。

"楽しい秘密"は住まいのすぐそば、歩いて5分にあるマンション住民専用のクラブハウスにある。中には、カラオケやビリヤード、さらにフラダンスのクラスなど、40以上のアクティビティが。

料理店も充実しており、住民は朝晩の食事を含めた施設を好きなだけ利用できる。

2014年に430人だった住人は、現在850人にまで増えた。施設を運営する「スマートコミュニティ」の社長・染野正道さんは「こういうライフスタイルが受け入れられていることは、ここにいらっしゃる方を見ると実感できる。こういう文化を2か所目、3か所目と広げていきたい」と意欲をみせる。

人生最後の住まいをどう選ぶか...。この大きな選択をする際に頼りになる、日本に数少ない専門家がいる。有料老人ホーム入居支援センター・上岡榮信さん（70）は1300ヵ所以上の施設を見学・査定し、厳選した老人ホームを紹介する事業を9年前に立ち上げた。「5分も見ればいいホームかどうか分かる」という。

元々英語の通訳の仕事をしていた上岡さんは、1980年以降、海外の老人ホームの視察に同行し「人生の最後をどう生きるか」に興味を持った。充実した余生を過ごすための仕組みが確立している欧米に比べ、「体が弱って狭い部屋に入る」日本の老後のあり方に疑問を感じたという。

富山明子さん（81）も上岡さんを頼った一人だ。9年前に夫を亡くし、横浜の自宅マンションで2匹の老犬と一緒に生活している。

富山さんは、体の自由が利く5年以内に入居先を見つけようと、上岡さんと共に介護型老人ホーム「ナーシングホーム横浜・長者町」を見学した。

入居者63人に対し、スタッフが常時46人で対応。上岡さんは同施設を「Aランク」と高く評価し、施設内を回りながらその理由を富山さんに説明する。「廊下や食堂に絵画や花が飾られているか」「掃除が行き届き施設内が無臭かどうか」など次々チェック。上岡さんが確立した「良い老人ホーム」の法則とは？"第2の住まい"探しの新しい方法を伝える。

高齢者に"菓子の押し売り"をする悪徳施設も

より良い生活を提供するために努力する業者がいる一方で、入居者を利用しようとする悪質業者も横行する。

小林さん（88、仮名）は、妻のしげ子さん（87、仮名）と4年前にある老人ホームに入居した。しかし待っていたのは、「安心できる暮らし」とはほど遠いものだった。しげ子さんには食事の介助が必要だが、まだ食事中にもかかわらず、担当のヘルパーが食べ物を下げてしまうことがあった。そこで小林さんが食事の残りをしげ子さんに食べさせたところ、これ以降ヘルパーは仕事を放棄。食事の介助が小林さんの役割になってしまったというのだ。

しかし「家内が人質に取られた感じ」で抗議ができない。そこで小林さんの訴えを聞いた長女・洋子さん（56、仮名）が施設の介護記録を調べると、食事や歯磨きなど、小林さんがした介助がスタッフの実績として記されていた。

「やってもいないことがなぜやったと書かれているのか」。洋子さんは施設側に説明を求め、さらには老人ホームを指導・監督するさいたま市役所を巻き込む騒動へ発展していく──。

一方で、老人ホームの元職員から内部告発も。全国に老人ホームを展開する業界大手の施設で2年間働いていた長谷川さん（仮名）は、「高齢者へのお菓子の押し売り」を暴露した。1日2回、市販価格より割高で入居者に菓子を売り歩いているというのだ。入居者の了承がないまま、強制的に部屋へ置くケースもあり「部屋の中にお菓子がどんどん積まれていく」と長谷川さんは語る。

実際に菓子の販売をしていたヘルパーからも話を聞くと、"利用者は金づる"と菓子販売を職員に強要する施設長の存在や、施設ごとの菓子の売り上げがランキング化された内部資料までも明らかに。