熱中症の7つの予防・対策と、いざという時の応急処置「FIRE」

公開: 更新: テレ東プラス

いよいよ夏本番! 暑い日が続きますが、体調は万全ですか? この時期、心配なのは熱中症による死亡者のニュース。でも、熱中症は病気ではありません。正しい対策により、防ぐことができるのです。

さまざまな専門家がレギュラー出演中の生活情報番組「なないろ日和!」(毎週月~木 午前9時26分~放送中)から、今回は帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長・三宅康史先生に「熱中症の予防・対策と応急処置」についてうかがいました。

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今すぐできる! 熱中症の予防と対策

誰にでも起こりうる症状でありながら、最悪の場合は死に至ることもある熱中症。しかし、きちんと対策すれば、予防できます。

【予防と対策1】室内ではエアコンをつける
それほど暑いと感じていなくても、身体は負荷を感じていることがあります。自分の感覚を過信せず、温度・湿度計など客観的な数字を大切にしましょう。特に睡眠中は暑さを感じにくいので、就寝時はエアコンをつけましょう。

【予防と対策2】服の素材は通気性・速乾性のあるものを
かいた汗が蒸発するときの身体から熱を奪ってくれる(気化熱)ので、汗がすぐに乾く服が熱中症対策には理想的です。

素材はポリエステルなど通気性と速乾性に優れたものを、形状はぴったりしたものより少しゆとりがあり、パタパタとはためくようなものがベター。Tシャツなどの綿素材は、吸水性が高く汗が乾きにくいので、汗をかいたらこまめに着替えましょう。

【予防と対策3】汗は軽く押さえるようにして拭く
汗はしっかり拭きとるのではなく、軽く押さえるようにして拭くのがポイント。肌に水分を残しておくことで、気化熱により体温が下がります。肌に残しておく水分は汗でなくてもよいので、濡れタオルや汗拭きシートなどで汗を拭けば、より衛生的です。

【予防と対策4】身体を冷やすポイントは首や脇の下など
首や脇の下、そけい部など、太い血管が身体の表面を通っている場所を冷やすことで効率よく体温を下げることができます。冷却シートやスカーフ、氷のうなど手軽に使える冷却グッズを活用しましょう。

ちなみに、冷却シートをおでこに貼る利用方法は、身体の表面を冷やすだけなので熱中症対策としてはあまり効果がないとのこと。

nanairo_20190728_02.jpg画像素材:PIXTA

【予防と対策5】水をこまめに飲む
こまめな水分補給が大事。水分が吸収されるまでは時間がかかるので、喉が渇いたと感じる前に水分をとりましょう。

ただし、高齢者の急激な水分補給は、内臓に負担がかかります。一度に大量にではなく、外出前、就寝前、起床後などにこまめに水分をとりましょう。

【予防と対策6】バランスのよい食事と睡眠
基礎体力をつけることが大事。バランスのよい食事を心掛け、野菜やビタミンB1を多く含む豚肉などもしっかり摂取しましょう。また、しっかり睡眠をとることも重要です。

nanairo_20190728_03.jpg画像素材:PIXTA

【予防と対策7】直射日光を避ける
日陰を選んで歩くなど、日なたでの活動を避けることが一番。帽子をかぶったり、日傘をさすなどして直射日光を避けましょう。

熱中症の応急処置は「FIRE」

熱中症のサインがあったときは、すぐに応急処置を行い、自分で水が飲めなかったり、回復しない場合は、医療機関へ連れてきましょう。

熱中症の応急処置は、「水を飲む(Fluid)」「身体を冷やす(Iceing)」「安全で涼しい場所に移動(Rest)」「緊急搬送(Emergency)」、それぞれの頭文字をとって「FIRE」。
軽症の場合はF→I→R→E、重症の場合はE→R→I→Fで対応します。

【熱中症の応急処置】

まずは意識の確認
「声かけ」で意識があるかないかを確認。

意識の確認ができない場合は緊急搬送(Emergency)
  ↓   ↑
安全で涼しい場所に移動(Rest)
  ↓   ↑
服を緩める・身体を冷やす(Iceing)
  ↓   ↑
自分で水を飲む(Fluid)

意識がシッカリしていない場合は、すぐに救急車を呼びましょう。
自分で水が飲める場合は、水を飲ませ安静に。自分で飲むことができない場合は無理に水分を摂らせず、病院に行きましょう。
また、自分で水が飲める場合にも、頭痛や吐き気、全身の倦怠感がある場合には病院にいきましょう。

熱中症は、正しく対策すれば防ぐことができます。また、いざという時のための応急処置の方法を知っておくことも大事。しっかり備えて、スポーツやレジャーなど楽しい夏を過ごしてくださいね。

※この記事は三宅康史先生による見解に基づいて作成したものです。

取材協力:三宅康史先生。帝京大学医学部救急医学講座教授。帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長。救急指導医、脳神経外科・集中治療・外傷専門医。日本救急医学会「熱中症に関する委員会」委員長、日本臨床救急医学会「自殺企図者のケアに関する検討委員会」委員長なども務める。編著は「熱中症―日本を襲う熱波の恐怖」(へるす出版)、「神経外傷 診療ガイドブック」(メジカルビュー社)など多数。7月26日(金)には、「現場で使う!! 熱中症ポケットマニュアル」(中外医学社)が発売。
帝京大学医学部付属病院HP:http://www.teikyo-hospital.jp/doctor/view.html?key=756

三宅康史先生も出演する「なないろ日和!」は、今後もあらゆる専門家が出演し、生活に役立つ情報をお届けしていきます。毎週月~木曜9時26分からのOAも要チェックです!

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