危ないのは高齢者だけじゃない! 熱中症の症状とサイン

公開: 更新: テレ東プラス

"災害級の猛暑"といわれた昨年の夏、5月~9月までの全国における熱中症による救急搬送人数は95,137 人で、約160人が死亡(※総務省消防庁による調査)。今年も、すでに熱中症で死亡者が出ています。熱中症から身を守るためには、どうしたらいいのでしょうか?

さまざまな専門家がレギュラー出演中の生活情報番組「なないろ日和!」(毎週月~木 午前9時26分~放送中)から、今回は帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長・三宅康史先生に「熱中症の症状とサイン」についてうかがいました。

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あなたは大丈夫? 熱中症チェック

まずは、以下の項目をチェック! 暑い環境の中での体調不良、どれが熱中症の症状だと思いますか?

・めまいや顔のほてり
・手足に軽いしびれ
・足がつる
・筋肉痛や筋肉のけいれん
・大量の汗が出る
・頭痛や吐き気がある
・全身に倦怠感がある

実は、これはすべて熱中症の症状。ニュースにもなる"倒れて病院に運ばれる"という重度のものだけではないのです。

「暑い環境が原因で起こる体調不良は、すべて"熱中症"です。症状を自分で判断せず、熱中症を疑うクセをつけましょう」(三宅先生、以下同)

日本救急医学会では、熱中症の症状を重症度により3つにわけ、めまいや大量の発汗などは現場での応急処置が可能な「Ⅰ度(軽症)」、頭痛や吐き気などは病院への搬送が必要な「Ⅱ度(中等症)」、意識がなくなる、けいれんなどは入院・集中治療の必要のある「Ⅲ度(重症)」とし、対応を指示しています。熱中症は急速に症状が進行し重症化するので、早めに異常に気づき、正しい処置が必要です。

熱中症の原因は?

nanairo_20190721_02.jpg画像素材:PIXTA

熱中症の症状についてはわかりましたが、そもそも熱中症の原因は何でしょうか?

【熱中症の原因】
・直射日光
・温度
・湿度
・運動など自分自身で熱を作り出す状況下

主に上記4つの原因のいずれか、もしくは2つ以上の原因が重なり引き起こされます。

「体感温度が高くなくても、実際には高温多湿になっている場合もあります。自分の感覚に頼らずに温度・湿度計を置いて客観的な数字を見ることも大切です」

高齢者だけじゃない!こんな人は熱中症に気を付けて

熱中症による救急搬送者の約半数は65歳以上の高齢者、そして搬送後に死亡した方の約8割が高齢者です。しかし、熱中症を発症するのは高齢者だけではなく、誰にでもリスクがあります。特に、以下のような方は、熱中症になる可能性が高いので、注意が必要です。

【こんな人は特に注意!】
・高齢者
・炎天下の中、集団行動をする学生
・スポーツをする方
・長時間に渡って料理をする方

高齢者が熱中症になりやすい原因は、1.体内の水分量が少ない、2.暑さへの感受性の低下、3.汗をかきにくい、ことで重症化してしまうため。発生場所は半数以上が屋内で、温度や湿度の変化に気が付きにいためエアコンなどをつけずに寝てしまうというケースが多いのです。

学校行事や体育の授業、部活などで、長時間炎天下で活動する学生なども熱中症のリスクが高まります。また、スポーツをする方や、長時間に渡って火の近くで料理をする方などは、自己管理が必要です。夏はもちろんのこと、熱中症への意識が低い5~6月も注意しましょう。

熱中症は「炎天下で発症する」「子どもや高齢者が危ない!」という思い込みは間違い。熱中症は老若男女関係なく起こりうるものであり、また正しい対策により予防できるものでもあります。自分の感覚を過信せず、しっかり対策し、熱中症ゼロを目指しましょう!

次回は、「熱中症の予防と応急処置」を紹介します。

※この記事は三宅康史先生による見解に基づいて作成したものです。

取材協力:三宅康史先生。帝京大学医学部救急医学講座教授。帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長。救急指導医、脳神経外科・集中治療・外傷専門医。日本救急医学会「熱中症に関する委員会」委員長、日本臨床救急医学会「自殺企図者のケアに関する検討委員会」委員長なども務める。編著は「熱中症―日本を襲う熱波の恐怖」(へるす出版)、「神経外傷 診療ガイドブック」(メジカルビュー社)など多数。7月26日(金)には、「現場で使う!! 熱中症ポケットマニュアル」(中外医学社)が発売。
帝京大学医学部付属病院HP:http://www.teikyo-hospital.jp/doctor/view.html?key=756

三宅康史先生も出演する「なないろ日和!」は、今後もあらゆる専門家が出演し、生活に役立つ情報をお届けしていきます。毎週月~木曜9時26分からのOAも要チェックです!

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