テレ東プラスがスタートした注目のクリエイターと話題の製品やサービスのコラボレーションによる作品制作プロジェクト第一として、富士フイルムのミラーレスカメラ「X-T3」をテーマに少女写真家・飯田エリカさんとともに作った映像作品『ひかりあつめ』はもうご覧いただけましたか?
この映像作品『ひかりあつめ』は、映像だけでなく挿入される写真も含めすべて富士フイルムのミラーレスカメラ「X-T3」で撮影されています。
「高解像度、高画質で肌の細かいところまで撮られて嬉しい女の子ってあんまりいないから、私は基本的に開放で撮ることが多いんです」と話す飯田さん。
「でも、X-T3は高解像度にシャープに写っていながら変な生々しさがなくて、ちょうどいいですね。階調が豊かなのか、透明感が伝わってくる飛ばしきっていない肌の描写が美しくて、こんなに女の子を撮るのに適したカメラはないと思いました」
(上記修正注:X-T3でもあまり絞って撮影はしていませんでした。)
そして更に飯田さんが驚いたのは、X-T3がほとんど加工しなくても十分な写真表現をしてくれることだといいます。
「フィルムから写真を始めた私としては、デジタルでは基本的にRAW現像することを前提に撮ってきました。特に女の子の肌に関しては、現像時に明瞭度やシャープネスをいじってリアリティが出過ぎないようにすることがほとんどです。でもX-T3を使ってみて、JPEG撮って出しで肌のトーンが美しく表現されたのには本当に驚きました。今回の『ひかりあつめ』で使っているJPEG写真は世界観の表現のために多少色味など調整していますが基本的にそのままで使える写真ばかりでした」
この「JPEG撮って出しでそのまま使える」という飯田さんの感想と、富士フイルムが誇るデジタル写真でフィルムらしい描写を再現する機能「フィルムシミュレーション」にヒントを得て、ミラーレスカメラのちょっとした使い方を考えてみました。
それがこの記事タイトルにもある「ミラーレスを"あえて不便に使ってみる"」というものです。
自分好みのフィルムをカメラに詰めるようにカメラを設定する。その5ステップ
「ミラーレスを"あえて不便に使ってみる"」。
それは、言い換えれば「なんでもできる現代のカメラを、あえて機能を限定して使う」という使い方です。その使い方は以下の通り。X-T3や富士フイルムのカメラで無くても基本的には応用できるはずです。
設定1.カメラに取り付けるのは単焦点レンズ
→限定された画角を意識し、主体的に被写体に向き合うことを促します
設定2.記録設定はJPEG
→後加工を前提としないことで、撮影に緊張感を生みます
設定3.カメラ内のJPEG設定を自分好みに追い込む
→好みのフィルムを使うように、自分好みのトーンを統一します
この効能については飯田さんも次のように指摘しています。
「撮る女の子にインスタにあげる写真などもアプリで調整している人が多いせいか『自分のトーンが統一できない=自分の作風が確立できない』という悩みがあると聞きました。でも、一枚ずつ調整していくと、どうしてもそうなってしまうと思います」
「しかし、カメラ側で画質設定やホワイトバランスなどを使って、初めからトーンを揃えておくと、撮影を重ねるうちに自分の写真表現が定まってくると思います。私も肌の透明感を重視した青っぽい色みが自分らしさに繋がっているようです。もちろん、現像のトーンはその日その日で少しずつ変わるものですけど、基準があればそこまでブレないはずです」
設定4.EVFをナチュラルな表示モードに
※X-T3の場合は、フィルムシミュレーションなどの撮影効果を反映させず、光学ファインダーのように目で見たままに近い自然な画面表示を実現する「ナチュラルライブビュー」モードを使う
→ファインダー越しに見える世界と実際に撮れた写真のギャップが感動を生みます
設定5.撮影後のオートレビューをオフにする
→シャッターを切ってすぐに写真を確認できるのはデジタルカメラのメリットですが、あえてオフにしてPCに取り込むまで見ないようにすることで、写真への期待と想像力を膨らませます
さらにフィルムライクな使い勝手を追求するなら...
以上、あえて機能を限定することで、緊張感と想像力を生む(かもしれない)カメラの設定をご紹介しました。
メインカメラをこの設定にするもよし、いつも持ち歩いているコンパクトなサブカメラをこの設定にして振り切って遊んでみるもよし。百聞は一見に如かず。ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか?
これらの設定を更に突き詰めるなら、X-T3やライカM10のように、シャッタースピード、ISO感度、絞りといったパラメーターが電源オフ時でも確認できるカメラ本体とレンズを使って、フルマニュアル撮影に挑んでみてはいかがでしょうか?
「普通の一眼カメラはボディのダイヤルでシャッタースピードや絞りを変えますが、X-T3は撮る前からそれをセッティングできるのが便利でした。天気や明るさを見て、最初からISO感度を定め、シャッタースピードや絞りを設定しておく。そうした操作が、フィルムから入った私にはやりやすかったです。それと今回は使いませんでしたが、X-T3は多重露光もダイヤルで設定できるのが面白いと思いました。他のカメラで多重露光をやろうとすると、メニューを開いて色々と画面操作しないとできないですからね」と飯田さんも話してくれました。
スマートフォンのように、ワンタップでハズレのない写真が撮れて当たり前の現代だからこそ、確かな光学性能を持ったカメラをあえて機能限定して使ってみる。
そんな楽しみ方をぜひ体験してみてください。