メルカリが仕掛ける「隠れ資産」の発掘戦略:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

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現場で奮闘する人たちの姿を通して、さまざまな経済ニュースの裏側を伝えるドキュメンタリー番組ガイアの夜明け(毎週火曜夜10時)。7月16日(火)の放送では、シリーズ「あなたの"愛用品"その行方」第2弾として、「不要品」を発掘し再利用する企業や人を取材。各家庭に眠る家具や日用品を再販売するための情熱をクローズアップする。

「メルカリ」「ヤマト」の新サービス

日本人が自宅などに保管する不要品の総額は、1世帯あたり約70万円と言われている。この「隠れ資産」を活用して市場拡大を考えたのが、個人が自ら売買できる国内最大のフリーマーケットアプリ「メルカリ」だ。

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2013年に始まったメルカリは、毎月1300万人が利用し、累計出品数は約11億品。当初は若者中心のサービスだったが、最近徐々に中高年の利用が増えているという。なんとメルカリで「生前整理」をする高齢者も。一方で、未だに使い方がわからないという「メルカリ潜在的ユーザー」は約3400万人に上るという。

そこで、メルカリ事業開発部の石川佑さん(30)が仕掛け人となり、あるイベントを開催することに。集まったのは全て中高年の人たち。実はメルカリを使ったことのない中高年に、アプリの使い方を説明する無料の講座を開くことにしたのだ。参加者は自宅から売りたいものを1点ずつ持ってきていた。指導員が、買い手が欲しくなるような写真の撮り方や、類似商品を参考にした値段の決め方など、出品のノウハウを説明してくれる。

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一度しか着ていない白いブラウスを持参した荒井さんも、メルカリを初めて体験。出品し終えると「今どんどん家の中のモノを捨てていたが、これからは捨てないでメルカリを利用したい」と楽しげに話していた。

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盛り上がりを見せたイベントだったが、東京・港区の六本木ヒルズにあるメルカリ本社では、石川さんが浮かない表情。実は、教室に参加した人のうち半数以上が、その後メルカリで出品していなかったのだ。理由は、出品したもののその後商品が売れず、興味を失ったことにあった。

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石川さんは、「初回売れると、その後メルカリをどんどん使うというのがデータで出ているので、初回売れるかどうかを意識していく」と分析。早速対策に動き出した。そして、2週間後に開かれたメルカリ教室では、初回とは全く違う結果に。

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メルカリ教室を成功させた石川さんは、ある企業とタッグを組んで大きなビジネスを動かそうとしていた。その相手とは、宅配最大手であるヤマト。実はメルカリ教室の会場は、ヤマトの店舗。メルカリユーザーの増加が宅配利用者の増加につながると両社は手を組んだ。しかし、それだけに止まらず、石川さんはさらなる仕掛けを考えていた。ヤマトが近年力を入れる"あるサービス"に目をつけ、家に眠る"隠れ資産"を掘り起こし、メルカリへの出品を増やしてもらう戦略に動き出したのだ。

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メルカリの小泉文明社長は「まだまだ"売る"というハードルは高い。"売る"ということを"買う"ことと同じように誰でもできるようにすることが、5年スパンで実現したいこと」と今後のビジョンを語り、中高年のユーザーにとって"売る"という行為で社会との繋がりを持つことができ、それが生きがいにもつながるのではないか、とメルカリの社会的役割の拡大に期待を見せた。

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海外の競売サイトで売れるものも!

別の角度から「かくれ資産」の発掘に挑む人もいる。群馬・前橋市にオフィスを構える生前整理診断士・堀川一真さん(53)。生前整理をしようとする高齢者の家を訪れ、片付けや相続などを手伝っている。そして、家にある古い物の価値を見出し、客の代行販売をしているのだ。

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堀川さんの仕事のルーツはアメリカにある。米国・オクラホマに留学中だった30歳の頃、「エステートセール」と呼ばれる、家の中で家財道具を販売する生前整理の方法に出会った。専門家が商品の写真撮影や値付けを行い、自宅やインターネットで不要品を販売する"エステートセール"を営む会社は、米国に約1万5000社もある。堀川さんはこの手法を日本にも広めたいと考えているのだ。

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堀川さんは名古屋市に住む大森スミ子さん(84、仮名)の家を訪れた。大森さんは、夫や子どもを亡くした大森さんは現在一人暮らしで、老人ホームに引っ越す予定だ。

この日、堀川さんは、ランプシェードや切子のグラスなど、思い出の品約40点を託された。これらの品は国内外のオークションサイトに出品し、販売額の50%が客の取り分で、残り50%から出品手数料や送料、人件費を賄う、という仕組み。しかし、ありふれた"不要品"が本当に売れるのか?実は、堀川さんにはこれらの品を売るためのテクニックがあるという。

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「不要品=ゴミ」の図式に変化をもたらす中古品業界の新たな戦略を今晩10時からの「ガイアの夜明け」で放送。どうぞお見逃しなく!

シリーズ「あなたの"愛用品"その行方」第1弾が見たい方は、ビジネスオンデマンドへ!

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