この花火で人生変わるかも!? 花火マニアに聞いた”魂が震える”花火大会

公開: 更新: テレ東プラス

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一瞬の煌めきが夜空を美しく彩る花火。今年も夏や秋に開催される花火大会が気になっている方も多いのではないだろうか。

そこで今回は、国内120ヶ所以上の花火大会を観覧し、花火マニアとして活躍している安斎幸裕さんにインタビュー。自ら撮影した花火の動画を紹介してもらいながら、オススメの花火大会や注目すべきポイントを聞いてみた。

花火の見方が一変する「長岡まつり大花火大会」

hanabi_20190705_01.jpg▲提供:@mikatophoto

――現在、日本で花火大会はどれくらい開催されているのですか?

「神社の境内で打ち上げるような小さな花火行事もカウントした場合、年間2,000箇所以上ですかね。出来るだけたくさん観たいと思いますが、時間の関係でどうしても観に行くところは限られてしまいます。そこで、私が花火大会に行くときの基準として、その素晴らしさや感動を『人に伝えられるかどうか』で選んでいます」

――オススメの花火大会を教えてください。

「まず、なんといっても見ていただきたいのは、新潟県長岡市で開催される『長岡まつり大花火大会(以下、長岡花火)』。いままで数多くの花火を見てきたなかで、私が一番心打たれた花火大会です。この長岡花火は8月1日~2日の2日間に渡って、約20,000発もの花火が打ち上げられる超大規模な花火大会です。全国的にも珍しい直径90cmもの超大玉花火・正三尺玉が打ち上げられます。高さ600mまで打ち上がり、直径はなんと650m。東京スカイツリーを覆い尽くす大きさです。開花の音もすさまじく、身体全体で衝撃波までも感じることができます。しかも、この正三尺玉は2日間で8発も打ち上げられます。今年は最も混雑する金曜、土曜日開催なので、行かれる際にはご注意下さい」

「長岡の大花火2018 復興祈願花火フェニックス phoenix2018(8月3日)」

hanabi_20190705_02.jpg▲提供:@mikatophoto

――正三尺玉のほかにも、注目すべき花火はありますか?

「正三尺玉と並んで人気のプログラムは『復興祈願花火・フェニックス』という壮大なプログラムです。平原綾香さんのJupiter(ジュピター)にのせて、全長2kmのゾーンに次々と花火が打ち上がる、夜空から舞い降りる"花火のカーテン"のような圧倒的なスケール感が魅力です。この花火は2004年に長岡市を襲った豪雪・豪雨・地震からの復興を祈願し、2005年から打ち上げがスタートしました。現在では多くのツアー会社が、この『復興祈願花火・フェニックス』をツアーの目玉にしているほど大人気の花火プログラムです。フェニックス=不死鳥は、長岡の方々の不屈の魂の象徴なんですよ」

――すごい花火ですね。この花火大会は全国的にも人気が高いのでしょうか?

「長岡花火は日本三大花火大会の一つに数えられています。ほか2つは、秋田県大仙市の『全国花火競技大会・大曲の花火』と、茨城県土浦市の『土浦全国花火競技大会』なのですが、いずれも競技大会です。長岡花火では、ほかの2つのような競技大会の品評は一切ないですが、長岡の発展のために尽力した先人を敬い、長岡の復興・発展を強く願い、平和への祈りを捧げる、とても想い入れの強い花火大会です。この長岡花火には、打ち上げ花火代・会場設営費・警備費等含めて、なんと10億円近い予算が投じられています」

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――え、そんなに!? その予算はどこから出ているのですか?

「地元企業・団体・市民・全国各地の長岡花火ファンからの募金・協賛金等で成り立っています。もちろん長岡市も完全バックアップしています。この長岡花火は戦時中に長岡空襲で亡くなった人たちへの慰霊・鎮魂の祈りを込めた花火であり、『平和への願い』に共鳴して多くの企業・団体・市民・個人が応援しているんです。最初に行った時にはこの背景をよく知らなかったので、お酒を買って普通に宴会しようとしていました。そこで、ふと周りを見渡すと、単なるエンターテインメントではない、他の花火大会とは一線を画す空気感を感じたんです。長岡花火は先人へ感謝の気持ちを持ちながら『おじいちゃん、おばあちゃん、ありがとう』と心の中で手を合わせる花火大会なのだと。今まで知らなかった花火の歴史・背景を知って、ここからマニア心が一気に加速していきました」

花火界のスターが集う「利根川大花火大会」

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――関東圏でオススメの花火大会も教えていただけますか?

「それでいうと、茨城県猿島郡境町で開催している『利根川大花火大会』がオススメです。この花火大会のどこがすごいかというと、超一流の花火師さんが4社も参加していることですね。野球やサッカーにスター選手がいるように、花火の世界にも注目するべき花火師さんがいるんです」

――花火大会は"どの花火師さんが参加するのか"が重要ということですね。

「打ち上げ発数で花火大会を選ぶ方もいらっしゃると思いますが、小さな花火もカウントするので、その打ち上げ発数が凄いのかどうかは、一概には言えません。それよりも高い技術を持った花火師さんが打ち上げを担当するのかどうかを、花火大会を選ぶ基準にされた方ががよいのではないでしょうか」

「境町利根川大花火大会2018・グランドフィナーレ」

――利根川大花火大会には、どんな花火師さんが参加されるのですか?

「花火界で最上級に格付けされたSSランクの花火師・野村花火工業さんが参加しています。花火師として日本一の称号である『内閣総理大臣賞』を過去に18度受賞するなど、桁外れの実力を誇っています」

――ほかにもすごい花火師さんが参加するのですか?

「野村花火工業さん以外では、全国花火競技大会で日本一を競い合う長野県の紅屋青木煙火店さんや、茨城県の古豪・山崎煙火製造所さん。さらに、今年は山梨県から新進気鋭のマルゴーさんも参加します。つまり、エースで4番のすごい会社が、4社揃う夢のような大会なんです!これは花火愛好家にとっては、よだれが出ちゃうほど凄いことですよ」

「赤川花火大会」で最先端のミュージック花火を満喫!

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――花火にも流行などはあったりするのでしょうか?

「音楽とシンクロさせてテンポよく打ち上げる『ミュージックスターマイン』が、最近どんどん増えています。目と耳で花火を楽しめますし、最新技術なら100分の1秒のシンクロ率で打ち上げを音楽に合わせられるので、これからさらに発展するのではないでしょうか。花火を知らない方でも、自分の知っている曲と花火の美しさが結びつくので、感動が鮮明に残ります」

――ミュージックスターマインが楽しめるオススメの花火大会は?

「山形県で開催されている『赤川花火大会』がオススメです。ミュージックスターマインの分野に強い花火師さんが数多く参加しているので、音楽とシンクロした花火を楽しみたいなら、ここは外せません。打ち上げエリアの幅が広く、最大で700m幅まで広がる、豪華絢爛なミュージックスターマインが楽しめます」

「赤川花火2018 グランドフィナーレ・紅屋青木煙火店」

――関東圏でオススメのミュージックスターマインは?

「都内からのアクセスを考えると、千葉県で開催されている『幕張ビーチ花火フェスタ』が良いのではないでしょうか。海にめがけて斜めに花火を打ち上げ、海面ギリギリで開く花火は迫力があります。音楽との相乗効果で、幻想的な花火の魅力を満喫できますよ」

斬新なプログラムの「NARITA花火大会」

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――思わず驚くような、ユニークな花火大会はありますか?

「斬新な花火大会というと、千葉県成田市で開催している『NARITA花火大会in印旛沼』ですかね。オリジナリティあふれる『花火タワー』というプログラムがあります。『花火は打ち上げるもの』という概念を覆し、高さ約40mのクレーンで吊った鉄骨に花火の筒を設置しており、花火が横や下に発射されたり、さらには回ったりと、縦横無尽に夜空を彩ります。観客参加型のプログラム『花火 de BINGO』も人気ですね。入場時に渡されたカードを見ながら、打ち上がった花火の図柄でビンゴが成立するかどうか、ドキドキしながら楽しめます。図柄が揃えば豪華賞品を獲得できるので、子どもから大人の方まで、幅広い年齢層が楽しめるプログラムとなっています」

――それは家族で楽しめそうですね!

「さらに、グランドフィナーレも注目です。普通は花火を打ち上げる筒は、観客に対して一直線に並べるものですが、『NARITA花火大会in印旛沼』は野球場が観覧会場となっていることもあり、会場を包み込む形で弧を描くようにぐるっと配置しているんです。そのため、観ている人たちは花火の光に包まれているような感覚を味わえますよ」

「成田花火2018 グランドフィナーレ・NARITA黄金伝説」

――こちらの花火大会も開催は夏ですか?

「『NARITA花火大会in印旛沼』は秋に開催しています。あまり知られていませんが、秋の花火大会はオススメなんです。夏はゲリラ豪雨や台風で気候が安定しません。花火大会は観客への安全配慮の点から、大雨や雷、洪水などの警報が発令されれば延期・中止にせざるを得ないので、気候が安定している秋の方が安心して開催できるというわけです。見る側も気候的にも過ごしやすいですし、湿度が低いので光の余計な反射が少なく、くっきりとした花火を見ることができます」

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――最後に、東京都内でオススメの花火を教えていただけますか?

「迷うところですが、例えば『いたばし花火大会』と『立川まつり国営昭和記念公園花火大会』では、『芸術玉』(※)というワンランク上の花火を打ち上げています。これは、大曲や土浦の全国花火競技大会で品評されているような花火で、色合いなども凝っているので、普段と一味違った芸術性を感じられるのではないでしょうか」

※芸術玉:「日本煙火芸術協会」が出品する作品のこと。この協会は、全国各地の主要なコンクールの優勝者など、26名で構成される国内花火の最高技術者集団。各自が得意とする花火を持ち寄って共同で出品するので、芸術性が高いといえる。

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【プロフィール】
安斎幸裕
花火観覧&動画撮影マニア。1981年福島県二本松市生まれ、千葉県船橋市在住。
東日本大震災で実家が被災し気落ちしていた時、故郷の花火を間近で見て心打たれる。
それ以来、国内100か所以上の花火大会を観覧、知見を広めつつ主催者・花火業者とも親交を深めている。花火マニアとしてテレビ・ラジオに出演し、新聞・WEB媒体への執筆も手がける。(花火マニア・登録商標第6134605号)
〈オフィシャルブログ〉 https://hanabimania.jp
〈Facebook〉 https://www.facebook.com/hanabimania.anzai

【写真提供】
@mikatophoto
https://www.instagram.com/mikatophoto/

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