社名からして怖い「株式会社 闇」が、最新テクノロジーでホラーをアップデートする

公開: 更新: テレ東プラス

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夏の風物詩といえばお化け屋敷やホラーだが、これらを専門で手掛ける会社があることをご存知だろうか?その名も「株式会社 闇」。会社名からすでに不穏な空気を漂わせているが、ホームページを見ると、その不気味さに思わず背筋がゾクッとしてしまう。

この会社では、WebやVRなどのテクノロジーを使い、さまざまなホラー体験を生み出している。この夏に登場するお笑い芸人・くっきーがプロデュースしたお化け屋敷も、同社が手がけているようだ。

そこは都内のマンションの一室......

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今回は、そんな謎に包まれた「株式会社 闇」を訪ねてみた。

そこは、都内にあるマンションの一室。打ち合わせ用の部屋に通してもらうと、真っ暗な室内には不気味な人形が......。なかには首がないものもあり、思わず帰りたくなる。その気持ちをグッと堪えて恐る恐る近づいてみると、人形の中にびっしりと漢字が書き込んであるではないか!これってもしかして呪いの人形!?果たして、今日は無事に帰れるのかどうか不安でたまらない。

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やがて、姿を現したのは代表取締役の頓花聖太郎(とんかせいたろう)さん。人形の首をわざわざ持ってきて撮影に応じてくれるなど、なかなかサービス精神が旺盛だ。気さくな人柄にホッと胸を撫で下ろしたが、人形はどれもオークションで購入したいわくつきのものらしい......。

引き続き不穏な様子をはらみながらも、頓花さんに、株式会社 闇の実態について聞いてみた。

怖くて見られないホームページとコストの高い名刺で営業

――「株式会社 闇」という社名ですが、かなりエッジがきいていますね。

「最初はダークネスなどの単語を入れようとしていたのですが、インパクトが弱いなと。前に働いていた会社の代表がこの社名を考えてくれて、最初に聞いたときにはその場のみんなが『これや〜!』となりました。ただ、電話を取るときや銀行に行ったときに恥ずかしい思いをしています」

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――会社のホームページが怖すぎて最後まで見られませんでした。それもねらいなのでしょうか?

「普通は分かりやすいページを作ると思うのですが、私たちは話題性を重視しています。というのも2015年に起業したときには、ノウハウも人脈もなく、誰も知らない状態だったんです。どうやって営業するかを考えたときに、とにかく目立たなければといけないなと。とはいえ、イベント開催の準備などもあったため時間が思うように取れず、1ヶ月の不眠不休でなんとか起業に合わせて完成させることができました」

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――名刺にもかなりこだわっていますね。

「触ると赤くなるのですが、そういった部分でも、ちゃんとホラーに取り組んでいる姿勢を伝えたいと思っています。手の温度にもよるのですが、夏だと真っ赤になりますね。私は正直、名刺は意味が無いなと思っているんです。だって見ないじゃないですか。会社のことが知りたいならググりますよね。名刺にとって重要なのは、コミュニケーションとしての機能だと考えています」

ユーチューバーたちの熱狂的な支持も計算のうち!?

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――株式会社 闇ではどのようなコンテンツを作っているのですか?

「テクノロジーを使って、新たな恐怖や感動を作り出せればと思っています。このテクノロジーとは、必ずしもITを指すわけではありません。ストーリーテリングやアナログな技術も含まれます。怖いものが苦手だと感じている人にも楽しんでもらえるように、エンターテインメントとしてのホラーを提供したいなと」

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――最近では、どんなホラーコンテンツが人気ですか?

「VRへの注目度が高くて、それを使ったイベントが年々増えているような印象です。弊社のコンテンツですと、『金縛りVR』は毎回かなりの反響がありますね。これは、呪われて金縛りの状態になった人が見る悪夢をテーマにしたVR作品です。アップデートを繰り返しているのですが、ぜひ感じて欲しいのは"超接近"。立体音響での録音を組み合わせることで、息づかいも含め『目の前にソレがいる!』と体全体で感じられます」

――なるほど......。金縛りで逃げられないこともあってかなり怖そうですね。VR以外ではどんなイベントを開催されていますか?

「遊園地のイベントに協力させていただくことも多いのですが、観覧車の中でホラーイベントを行ったこともあります。プロジェクターと立体音響、さらには振動する椅子を使うことで、血バサミ女が本当に近付いてくるように感じられるわけです。高所の逃げられない空間で、外から女がガンガン叩いてきたりする演出などもあるので、今までにない恐怖体験が味わえたのではないでしょうか」

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――携帯やPCで楽しめるコンテンツもありますか?

「はい、WEBで楽しめるミニゲームも手がけています。中には、ユーチューバーさんたちに実況してもらったこともあって、話題になったものもありますよ。......実は企画段階からそのことは計算していて、あんまりタネ明かしをするとコスい感じに思われるんですが。実際に実況してくれるまでは、『来てくれ~、来てくれ~』と祈っていました」

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無茶ぶりと試行錯誤でゾンビをアイドルに!?

――コンテンツを制作するうえでは、どのようなご苦労があるのでしょうか?

「簡単だったコンテンツを探す方が逆に難しいですね。どれも完全に手探りの状態でスタートしています。こんなの今まで作ったことない。でも面白そうだから作ろうと。VR用のカメラを固定する台なども見よう見まねで作っていますし、基本は全部無茶ぶりと試行錯誤ですね(笑)。動画制作への協力で特に苦労したのは、ゾンビのVチューバー(※)です」

※Vチューバー......ユーチューバーとして動画に出演している、主に3DのCGで作成されたバーチャルキャラクターのこと

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――ちょっと意味が分からないのですが、ゾンビがVチューバー??

「このVチューバーは、自分のことを美少女だと思い込んでいるんです。なので、自分がゾンビだと言われても全く気にせず、Vチューバーとして活動をしています。他のVチューバーのようなかわいらしさをイメージしていて、いかにも美少女のような雰囲気で動画に出演していますよ。ゲームの実況もできますし、自分がゾンビのくせに他のゾンビを怖がったりもします」

ガチすぎる心霊映像でクライアントNGに

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――ホラーコンテンツを作る上で、本物の心霊現象を体験したりすることもあるのでしょうか?

「心霊に関しては信じていない部分が多いのですが、現象としては色々あります。実は以前、この会社でも起こったことがあって......。同じマンション内に住んでいる方から真夜中に電話がかかってきたんです。『会社から悲鳴がずっと聞こえてきます。夜中に何しているんですか?』と言われまして。でも、その時間には社内に誰もいなかったんですね。こういうことが続くと、そのうち追い出されるかもしれないですね」

――それは色んな意味でヤバいですね......。製作現場でもそういったことは起こるのでしょうか?

「ホラーゲームの『CLOSED NIGHTMARE』を撮影しているときに、霊が映り込んだことがあります。心霊現象が起こると『よっしゃ!これでプロモーションできる!』という感じなので、大喜びでクライアントに報告したら、『これガチすぎますね』と言われて公表できませんでした。『えーーー!?』みたいな(笑)」

――その動画はまだ残っているのでしょうか?

「はい、映っているモニターを撮影しているので私の影が入っているのですが。この動画の後半にいきなり現れるので、中央の左側に注意してご覧ください」

――これガチじゃないですか!! そりゃNGになりますよ!

「他にもありまして、先ほどお話した『サクヤサマ』の時には、僕の両目がずっと腫れていました。毎朝、自然と出てくる膿みで目が開かないので、『バリッ!』と剥がしてようやく目が開けられるような感じで。そのコンテンツも目に関わるストーリーなので、関係しているのかもしれません。社員でも一人、このコンテンツを作っているときに、『画面が見えなくなりました』と言い始めて。画面の向きを変えても、どうしても一部分が見えないらしいんです。そのあと病院に行ったのですが、異常は見つかりませんでした」

――そのような目に遭って、やめようかなという気持ちにはならないんですか?

「いえ、こっちとしてはどんどんきてほしいですね。実はあんまりお祓いもしないようにしていて。芸人さんでもいらっしゃいますが、祟られるのも自分の芸のうちだからそれを祓ってはならないと。僕もどちらかというとそっちのタイプで、せっかくためられるならためておこうよと。それに何かあったらまず僕に何かが起こるはずだから、自分が生きているかぎり大丈夫だと思います。もちろん、心配しがちな社員やクライアントのために、お祓いをすることもありますよ」

街やホテルが丸ごとお化け屋敷に!?

――これから作りたいと思っているコンテンツは何かありますか?

「僕たちはお化け屋敷のコンテンツを一つの強みにしていますが、それにとらわれ過ぎても良くないなと思っています。もっと広い外の世界を使って、新しいホラーの楽しみ方を提案していきたいなと。例えば、地下商店街でイベントをやったり、ホテルでイベントをやったり。どんどんスケールを大きくして、どこかの街全体や島全体でやることも可能かもしれません」

――最後に今年の夏にオススメのイベントを教えていただけますか?

「東京タワーでは、VRの体験と従来のお化け屋敷の両方を体験できる『老婆の呪面』というイベントを開催しています。お笑い芸人のくっきーさんがプロデュースしたVRお化け屋敷もあるので、ホラーの世界をより多くの人に楽しんでもらいたいですね」

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【取材協力】
株式会社 闇
住所:東京都目黒区大橋2-12-9 パレスKY401
電話番号:03-6804-8342
http://death.co.jp/ja/

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