「ビールを飲みながら作業したい気分の時もある」自分が欲しかった気軽にチルアンドワークできる空間作り

公開: 更新: テレ東プラス

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代々木上原の街の新スポットとして注目を集める「BathHaus」。前編では、その成り立ちの経緯や同店の魅力について紹介した。後編では、新体験の「ハイパー銭湯」として新しく街の交流を生み出している同店をオーナーのroseさんの思いについて伺った。

「街の魅力」を知ることで生み出された、新体験の空間

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――銭湯スペースにバー、そしてワークスペースと異なる3つの要素を同じ空間に作ったのはなぜですか?

「単に銭湯とビールの掛け算だけでは面白くないと思って。働いて、お風呂に入って、ビールを飲んでどこかに出かける、という一連の流れを作りたくて。働くということや生き方がもう少し軽やかでもいいのになと常々思っていたので、ワークスペースも併設することにしたんです」

――アプリ開発のディレクター職から急にリアルな店舗を運営するのは違いも多いでしょうし、大変だと思うのですが。

「考えることは一緒で、アプリもお店もどうやってお客さんを呼んで、どうやってもう1回来てもらうのか、とかを考えるっていう意味では似ていますね」

――では苦労したという点も特になかったということですか?

「特にないですね。ガス管が古くて無理かもってなったり物件選びの際に、周りの友達はめっちゃ悩んでたって言うんですけど、忘れちゃうんですよね(笑)。だから、こういう時に苦労エピソードとかが話せなくて(笑)」

――それはすごいいいマインドをお持ちですね!(笑)場所も最初から代々木上原に決めていたのですか?

「引っ越してきた際はプロジェクトをやることをまったく想定していませんでした。
独立したタイミングで代々木八幡に引っ越してきたので、会社員時代に比べて自分が住む町で過ごす時間が増え、町の魅力をより知ることができていた時期だったことが影響していると思います」

初台坂下の交差点から甲州街道方面へ程なく進むと見えてくる同店の外装は、絶妙な感覚で街とフィットしており、それでいてオリジナルな存在感も示しているように感じる。オーナーroseさんは代々木上原という街の肌感をしっかりと読み取っていたのだろう。

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こうして「銭湯」という人々の暮らしに根ざした庶民文化を、"チルアンドワーク"というコンセプトのもと、都心の街に馴染むようなデザインや内装で様々な年代に刺さるように見事に現代のコンテンツとミックスさせることに成功したのだ。

留学経験が変えた、生き方・働き方に対する価値観

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――お話を伺っていると、既存のものではなく新たな場所や空間をroseさん自身が求めていたように感じました。

「そうですね。カフェで作業するのは周りに気を使うし、例えばニューヨークのように公園にWi-Fiが整備されているような環境も少ないですし、ビールを片手に仕事をしたい時もあるし」

――自分がいちばんこういう空間を欲しかったということですね。もともとフリーランスで働かれていた経験はあると思いますが、働き方や生き方について考えるきっかけとなったような出来事はありますか?

「20歳頃までは、日本で生活する中で 『常識がずれている』『感覚が変わってる』等でいじられたり、何かをするにつけ従来のルール内でやらされることが多い環境にストレスを感じていて。でもその環境を変えることはできないとどこかで決めつけてしまっていました。それが留学で1年ポーランドに滞在したことにより意識が変わったんです。現地のパブで居合わせた年齢も倍以上違うようなおじさん達が、私の考え方を『おもしろいね!』と軒並み前向きに肯定してくれる。そんな雰囲気がとても心地いいなと感じて。滞在していたのはもう10年も前ですが、当時からポーランドを始めヨーロッパでは、暮らしを中心にした自由な働き方や生き方が当然のように営まれていました。日本でも同じような生き方は自分次第でできるんじゃないかな、と思います」

――では、"チルアンドワーク"のコンセプトのもと、『BathHaus』として伝えたい点などはありますか?

「お客さんもいろんな時間やタイミングで来る人が多いので、いろんな働き方の人が多いんだろうと思います。決められた時間に働くのではなく、自分のペースでオンとオフを切り替えながら仕事ってできるものなんじゃないかな、ということを提案できれば嬉しいですね。オフの時間に、お風呂やコーヒー、ビールなどを利用してもらえればいいなと思います」

――提案する、または発信するという点で『BathHaus』で考えている企画などはありますか?

「仕事に来るだけではなくて本などを読みにふらっとのんびりしに来るとか、そういう使い方とかも提案していきたいですね。そういう意味で、地下のワークスペースを使って来月から図書館みたいな企画をしようとしています」

――会社として、または個人として次に考えているような動きはありますか?

「いろんな場所に『BathHaus』のような空間を作れたら良いなとは思ってますね。それは東京以外でも。銭湯だけというこだわりはないですね。その街に合うような"チルアンドワーク"なスペースを考えれたら良いなと。あと、イラストレーターの友達とかと『ジェス』(roseさん愛犬のジェスちゃん)をモチーフにしたブランドを展開しても面白そうだねとかは話しています」

様々な世代や文化を超えて成熟している代々木上原という街で、庶民の社交場としての銭湯文化を現代風にアップデートし、生み出された「BathHaus」という新型のチルスポットが、街の交流の起点として、または新たな価値を発信する基地として機能しつつある。

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【店舗情報】
BathHaus
公式サイト:https://bathhaus.club/
住所: 東京都渋谷区西原1-50-8 1F • B1F

※この情報は、2019年6月15日時点のものです。最新情報をご確認の上、お出かけください。

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