“日本式病院”に海外セレブがこぞって通う理由:未来世紀ジパング

公開: 更新: テレ東プラス

6月12日(水)放送の「日経スペシャル 未来世紀ジパング」(毎週水曜夜10時)は、番組恒例の人気企画「世界に広がるニッポンの医療」。今回は、経済成長著しいカンボジアに日本の病院が丸ごと進出。その理由と戦略に迫る。 

日本から病院を"丸ごと輸出"

世界遺産・アンコールワットが有名な東南アジアの国・カンボジア。アジアでも屈指の経済成長率を誇る発展著しい国だが、医療においては後進国の域を脱せぬままで、国立病院でさえ人材や設備が整っていない。そんなカンボジアに「日本の病院を丸ごと輸出」というコンセプトのもと3年前に作られたのが「サンライズジャパンホスピタル」という病院だ。日本人の常勤医師は、院長を筆頭に4人、残りの7人はカンボジア人医師だ。
スタッフ全体でみても、日本人19人に対し、カンボジア人が160人と、地元の人が数多く働いている。

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高度な医療機器が揃う「日本式の病院」で「働きたい」と希望する人が多く、現地人スタッフは、約20倍の倍率をくぐり抜けた逸材ばかり。その一人、カンボジア人医師・ホンセンさんは上海の大学を卒業後、中国の病院に勤めていたが、「この病院なら、カンボジアの人達を救うことができる」とサンライズ病院に移籍してきた。自国の人に信用されないカンボジア人医師の評価を覆すため、日本から多くのことを学びたいと意欲を見せる。

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脳腫瘍の患者の手術を執刀することになったホンセンさん。頭の後ろにある腫瘍が延髄を圧迫しており、このまま放置すると呼吸停止する恐れも。手術をサポートするのは、日本人の脳外科医・岡田義文さん。今回、岡田さん以外は、すべてカンボジア人のスタッフで臨む。ミリ単位の技術が必要な脳の手術を、岡田さんの指導のもと慎重に進めていき、無事終了。病院を丸ごと輸出することは、日本の医療技術の伝承や人材育成にも繋がっているのだ。

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セレブに人気!進化する医療サービス

経済成長に伴い富裕層が増えてきたカンボジアで、あるサービスが登場した。いかにもセレブといった女性が向かったのは、カフェの奥にある一室。「今日はどうされましたか?」「最近寝つきが悪くて、食欲もないの」。こんなやりとりが行われるがここは病院ではない。話を聞いていた女性がおもむろに取り出したのは、病院のパンフレット。実は彼女、医療エージェントで、カンボジアのセレブに、アジアを中心とした海外の有名な病院を紹介しているのだ。看護師時代、医師が患者に海外での治療を勧めるのを見て思いついたというこのサービスが、セレブに人気となっている。

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日本式を売りにするサンライズ病院も富裕層をひとつのターゲットにしている。セレブを顧客にすることは、経営の安定に繋がる。院長の林祥史医師は、検査の結果を聞きに来た外交官の妻である女性に、図を書きながら丁寧に説明していく。検査もなく外来のみだったが、会計は1万9千円とかなり高額。それでも、海外まで行かず質の高い医療を受けることができると、カンボジアのセレブには好評だ。

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サンライズ病院では、これまで海外の病院に行っていたセレブを囲い込むため、様々な取り組みを始めている。そのひとつが、週3回、医師、看護師、事務スタッフが行うサービス向上へ向けてのディスカッション。スタッフからは「待ち時間はとても大事」「血液検査の結果をもっと早く知らせるべき」など活発な意見が飛び交う。こうした取り組みはスタッフ全員が言われたことをやるだけでなく、自ら考えて提案することにも繋がっている。「ライバルはタイやシンガポールにあるトップクラスの病院」と話す林院長。海外の病院と競い合うことで、日本の病院も進化していた。

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さらに番組は、いま英語を学ぶ地として注目を集めるフィリピン・セブ島を取材。子どもからシニアまで英語を学びたい日本人が殺到する様子をリポートする。医療から語学まで、世界で進化するサービスの真髄に迫る「日経スペシャル 未来世紀ジパング」は、今夜10時放送。お見逃しなく!

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