JAL対ANA ハワイをめぐる仁義なき戦い:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

gaia_20190528_01.jpg
※6月4日(火)の放送は「全仏オープンテニス」中継のため放送日時の変更の可能性がございます。

現場で奮闘する人たちの姿を通して、さまざまな経済ニュースの裏側を伝えるドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」(毎週火曜夜10時)。6月4日(火)は、「JAL ハワイ決戦!~シリーズ『激烈!航空戦争』前編~」を放送。日本航空(JAL)は、1954年に就航して以来、常夏の楽園・ハワイにおいて、観光需要の開拓を担ってきた。しかし今年5月、全日空(ANA)がホノルル線に2階建て大型機"空飛ぶホテルA380"を投入。番組は、ライバルの猛攻に対抗するJALを密着取材し、ハワイを巡るJALとANAの激しい攻防に迫る。

ANAにマネできないJALの商品づくり

5月17日、成田空港の格納庫では、JAL機に特殊なフィルムを貼り、デザインを施す作業が進められていた。この飛行機はアイドルグループ・嵐の5人が描かれた特別仕様で、目的地はハワイ。実は、5月24日にはライバル・全日空のエアバスA380がハワイへの初就航を控えていた。520席を持つ世界最大の航空機・A380は「空飛ぶウミガメ」と呼ばれている。JALはこのANAの猛攻を迎え撃つため、ウミガメ出陣の直前に、嵐ジェットで先制攻撃に出たのだ。

gaia_20190528_02.jpg
JALグループの旅行会社、ジャルパックは、世界77の国と地域の旅行商品を販売し、JAL航空券の売り上げを支えているが、中でもハワイは、海外旅行の売り上げの4割を占めている。日本人観光客に根強い人気を誇る「シェラトン・ワイキキ」では、ダイヤモンドヘッドが臨める高層階の部屋は、1600以上ある部屋の中でもとびきりの眺めで、そう簡単には泊まることができない。しかし、ジャルパックは"至極の眺め"と銘打ち、必ず泊まれることを確約している。気になるツアー代金は、航空券と合わせて、3泊5日24万6000円から。半世紀以上に渡り、ハワイのホテルと築きあげてきた信頼関係は、JALの大きな武器となっている。

gaia_20190528_03.jpg
JALが初めてハワイ便を就航させたのは、創業まもない1954年。ホテルと合わせたパッケージツアーの販売に力を入れ、「ハワイと言えばJAL」というイメージを確固たるものにしてきた。しかし、2010年に経営破たんすると、事業規模を大幅に縮小し、路線の新設もできなくなってしまった。一方ANAはその間に、急ピッチで事業を拡大。2014年、JALは国際線の規模でANAに逆転された。それでも、ハワイだけはいまだ圧倒的なシェアを死守し、JALにとっては最後の砦だ。

ところが、昨年5月、ANAが超大型機エアバスA380の導入を発表。ハワイ便のシェアを25%にまで増やし、JALの牙城を崩しにかかる。ANAの平子裕志社長は「『ハワイと言えばJAL』という概念をぜひ変えたい」と息巻く。

gaia_20190528_04.jpg
これに対し、JALの赤坂祐二社長は「ハワイを作ってきたのはJAL。全日空よりはるかに長い経験と知見がある」と語り、ライバルには真似できない商品づくりでハワイの地位を死守する姿勢を示した。

gaia_20190528_05.jpg
そして、鍵を握る商品づくりを任せられているのが、ジャルパックの五明田豊さん(45歳)だ。五明田さんは、グアムなどを担当した後、5年前からハワイ企画担当のリーダーに抜擢された。目下取り組むのはANA対策。そこで、ある強力なパートナーとこれまでにない商品を作ろうとしていた。

そのパートナーとは、ハワイを拠点とするハワイアン航空。かつてANAと提携していたが、2017年にJALがその座を奪った。五明田さんたちは、「JAL×ハワイアン航空」だからこそできるツアーを企画・販売し始めていた。しかし、そこにライバルANAから「待った!」の声が...仁義なき戦いが始まった。

gaia_20190528_06.jpg

「JALの牙城」がピンチ..."業界の常識"を破り勝負

ハワイ諸島最大の広さを誇るハワイ島。JALは週7便、日本から直航便を飛ばしているが、ANAは1便もない。まさに「JALの牙城」だが、今この島がピンチに。キラウエア火山の噴火の影響で客足が戻らないのだ。以前は火山の「ハレマウマウ火口」からグツグツと噴き出すマグマを見ることができたが、噴火で火口が崩壊し、今は煙しか見ることができない。ハワイ島の現状を目の当たりにした五明田さんは、「このままいってしまうと、路線収支としては厳しい」と話す。

gaia_20190528_07.jpg
新しい観光の目玉として目をつけたのが、富士山より高い標高4200mのマウナ・ケア山。各国の天体観測所が並ぶ星空鑑賞には最高の場所。五明田さんは、星空鑑賞でファミリー客をハワイ島に呼ぶプランを考えた。それと同時に、「まずハワイ島を知ってもらうために宣伝をしていかないといけない時に、どうしても我々1社だけではできない」と語る五明田さん。社内の猛反対を押し切り、業界の常識を破るとんでもない構想に乗り出した。

gaia_20190528_08.jpg
JALとANAのハワイ決戦を密着取材で捉えた「ガイアの夜明け」をどうぞお見逃しなく!

過去の放送回を見るなら、ビジネスオンデマンドへ!

PICK UP