VRは予想以上に”現実”! VRゲームのあるカフェ&バー「VREX」でバーチャル世界に行ってみた

公開: 更新: テレ東プラス

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ゴーグルをかけるだけで360度の仮想空間に入り込める「VR」。VR元年と呼ばれる2016年以降、急速に普及している技術だが、実際に体験したことのない人も意外と多いのではないだろうか。

今回は最先端のVRゲームを飲食しながら楽しめるカフェ&バー「VR game & café ber VREX」で、3つのゲームを実際に体験しながら、VRの臨場感や没入感をレポートしたいと思う。

リアル顔負けの迫力。ジェットコースターを体験する「アーバンキックウェイ」

新宿歌舞伎町の一角に位置するVREX。パープルを基調としたSFテイストの店内には、VRゲームを体験できる部屋が3つ設けられている。カップルや家族連れはもちろんのこと、会社の忘年会や歓送迎会にも多く利用されているとか。

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「さっそく体験してみましょう。絶叫マシンは大丈夫ですか?」

そう聞いてくれたのは、VREX新宿店の社員・厚美さん。絶叫マシンは正直なところ苦手だが、あくまでもVR。身の危険を感じることはないと高を括り、イエスと答える。

「それでは、仮想空間でジェットコースターを楽しめる『アーバンキックウェイ』から挑戦しましょう。こちらは滅亡目前の地球を舞台に、退廃的な都市のなかを駆け抜けるゲーム。とにかく迫力満点ですよ。人によっては、VRルームの外まで聞こえるほど絶叫する人もいます」

そんな脅し文句に密かに肝を冷やしつつ、VRルームへ。

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スタッフの案内に従い、まずは中にPCが入っているリュックを背負う。これがVRルームのセンサーに自分の位置を伝えるシグナルの役割を担うようだ。続いてセグウェイのような形状のマシンに乗り、ハンドルをしっかりと掴む。衛生管理用のアイマスクを付け、その上からヘッドマウントディスプレイを装着したら、ゲームスタートだ。

その瞬間、視界いっぱいに埋め尽くされる光景に圧倒される。ポリゴンはややシンプルだが、そこにあるのは確かに街だ。上下左右を見回しても、街並みは途切れずに続いている。遠近感も現実そのもので、まさにゲームのなかに入った感覚に驚かされた。

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合図とともにジェットコースターが動き出す。これはすごい。マシンが振動し、周囲からは実際に風が吹きつけるのだが、それが映像と完璧にリンクしている。本物のジェットコースターに乗っているかのような浮遊感が、狂いなく再現されていた。

ゆっくりと上っていくジェットコースター特有の"溜め"。目線を下に向ければ、街並みが徐々に小さくなっていく。「これは架空の世界だから危険はない」。そう自分に言い聞かせることで、高所の不安を無理やり拭う。

そして急降下、急ターン。思わず声が出てしまう。コースは街中を縫うように張り巡らされており、ビルの隙間を次々と駆け抜けていく。現実のジェットコースターはレールを建設できる範囲でしか動けないが、VRは何でもアリだ。

その後もゲームとは思えない臨場感を楽しみ、ようやくゴール。装備を外してからの脱力感も、現実の絶叫マシンと同じだ。遊園地よりもお手軽にジェットコースターを楽しみたい人は、ぜひ挑戦してみるといいだろう。

モグラ叩きならぬモグラつかみ?「Mogura in VR」

「次にご体験いただくのはモグラ叩きならぬ、モグラを出荷するゲーム『Mogura in VR』。配管からランダムで飛び出してくるモグラを捕まえて、ハイスコアを目指します」

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今度はヘッドセットとリュックに加えて、両手にコントローラを装着する。このコントローラは親指でボタン、人差し指でトリガーを握る構造になっていた。今回は人差し指のトリガーで、モグラを掴む操作をするようだ。協力プレイも可能で、今回は1名のスタッフが仲間に加わってくれた。チュートリアルを受けたらゲームスタート。

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先ほどとは一転、視界に広がったのは四方八方に配管が突き出した部屋だ。中央に大きなカゴがあり、そこに配管から出てきたモグラを入れて出荷する。配管の数は、自分の持ち場だけでも2〜3メートル四方に6個。これは意外とエキサイトしそうだ。

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その予感は的中した。最初はゆっくりと顔を出していたモグラだが、だんだんとピッチを上げて次から次へと飛び出してくる。両手を全方位に伸ばしながら、視界の端でモグラを見つけては掴み、カゴの位置を確認もせずに放り込む。

配点の高いレアなモグラもいるので、仲間の死角に出てきたら声掛けすることも大切だ。だが、あまりのスピード感に仲間を見る余裕もなくなってくる。

熱中してモグラを捕まえていると、あっという間に終了。VRゲームのことをEスポーツと呼ぶこともあるが、これはまさにスポーツだ。卓球ぐらいの運動量は十分にあったと思う。

自分たちのスコアとランクが表示されるので、最高ランクを目指してやり込むのも良いだろう。コンビネーションや連帯感の生まれるゲームなので、家族や恋人との距離も自然と縮まるのではないだろうか。

修学旅行のあの日に戻って。意外な奥深さに驚く「枕投げ」

「最後に挑戦するのは、修学旅行でお馴染みの『枕投げ』。学生時代に泊まったような和室を舞台に、床に散らばった枕を相手にぶつけるゲームです」

ちょっと待った、枕投げにゲーム性などあるのか。

「枕を相手の頭上に表示される的にヒットさせたら得点となります。枕を投げるだけでなく、相手の投げてきた枕をキャッチして投げ返したり、宙に浮かせたまま固定して盾にしたりすることもできます。意外に戦略性を問われるゲームですよ」

な、なるほど。なんだか奥が深そうだ。

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ということでゲームスタート。旅館の一室を思わせる畳の大部屋で、相手役として参加してもらったスタッフと向き合う。制限時間は3分だ。

まずは、コントローラのトリガーを引いて枕を掴み、振りかぶる。そして、リリースする瞬間にトリガーから指を離せば、枕は弧を描いて飛んでいくという仕組みだ。投げる感覚は現実に近く、動く相手に当てるのは難しいが、命中したときの爽快さは子供時代のドッジボールを思い出す。

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ビギナーズラックなのか序盤は優勢。しかし、スタッフが周囲の枕を次々と"浮かせ"、自らを覆う壁を作ると状況が一変する。投げても投げても周囲の枕に弾かれてしまうのだ。

ならばと使用したのが、コントローラのボタンを長押しすることで発動する"吸い寄せ"。文字通り、遠距離にあるアイテムを手元へと吸い寄せる技だ。これで相手の守備を剥がしながら、その枕を投げつける。枕投げとは思えないほど熱い試合!

接戦を演じたが、惜しくも1点差で敗れてしまった。スタッフの方とどちらからともなく握手し、互いの健闘をたたえ合う。「枕投げ」はゲーム性とスポーツ性を絶妙に融合させた、VRらしいタイトルだった。ドッチボールのように激しく動き回るので、少しは運動不足が解消できたかも。

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3つのゲームを通して感じたのは、VRの持つ可能性だ。体験する前は"どこまで現実に似せられるか"の世界だと思っていたが、現実にはできないことを現実のように再現できるのがVRの魅力。ゲームだけでなく医療やビジネスへの導入など、将来に期待してしまう。

そして、VRは目まぐるしい速度で進化を続けている。VREXでも現在15種類のゲームが楽しめるが、2ヶ月の間隔で新たなタイトルも追加されている。6月にはアーバンキックウェイの第2弾など、3つのゲームが加わる予定だ。

「最近では徐々にアミューズメント施設が増えていますが、アメリカなどの諸外国と比べると日本は少ない。私たちが目指しているのは、VRの魅力をもっと世の中に伝えることです。VRなら、遠くの遊園地に行って何時間も行列を待つのではなく、用事のついでに立ち寄って気軽にアトラクションを楽しめます。遊びの形を変える可能性を秘めているので、これからもどんどん盛り上げていきたいですね」

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