「皆、バカみたいに忙しい顔してるから」恵比寿で30年愛される居酒屋が考える街に求められる店作り

公開: 更新: テレ東プラス

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恵比寿に30年も営業している老舗居酒屋「吉柳」。前編では、その歴史や看板メニューであるカレーについて紹介しました。カレー居酒屋として、すっかり恵比寿の名物店として定着している同店だが、吉柳さんは意外にも冷静な目で自己分析する。

「カレーは大衆料理にはなったから、みんな食べるけど、もうネタとしては弱いんじゃないかな。だから、いつも色々と新しいことは考えている」

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「みんなバカみたいに忙しい顔をしてるよ。だからダラダラさせてあげたいんだよね」

恵比寿駅前から続く商店街に面した「吉柳」は大きな窓のついた2Fにある。この窓から長年恵比寿の街を見下ろす吉柳さんは言う。

「いつもみんなバカみたいに忙しい顔をしてるよ。だから、今はダラダラさせてあげたいんだよね。ここでサボって寝てても良いから、というぐらい。そう思って、昼は喫茶店として営業しようと思っている」

まさか居酒屋の取材に来て、『喫茶店をやろうとしている』と言われると思っていなかったので、面食らった。

「俺が子供の頃、このお店は和菓子屋さんだったの。今だとコーヒーを飲みに行きましょうという誘いはあっても、『みつ豆食べに行きましょう』といった誘いはない。そういう昭和の会話が今あったら面白いんじゃないかなと思って。俺は昭和の人間だし、やるのは喫茶店でも和風喫茶だね」

kiryu_20190508_03.jpg▲クリームソーダ 600円(税込)

喫茶店に行くと必ずある定番メニューのクリームソーダは、やっぱりどこか懐かしい味。

たしかにこれからの季節、この甘いのに爽快感も伴う昔ながらの飲み物は、忙しい恵比寿のサラリーマンやOLたちにとって堪らない癒しになるかもしれない。他にもフレッシュジュースなど、喫茶店としてのメニューを出す予定だそう。カレーは引き続き出しながらも、昼は和風喫茶、夜は居酒屋の新たな「吉柳」として恵比寿の人々を迎え入れる。

「一つのムーブメントや流れが過ぎちゃっても、そのときそのときでお客さんが付いてくれるならまた新しい流れがくる。決して金儲けをしようとしてるわけじゃなくて。この恵比寿というマーケットで次は何をしようか考えた時、みんなダラダラしたいんじゃないかと思って。現場に毎日立って、スタッフが横にいてヒントを与えてくれるから。他にもスタッフが古い車に若手の写真集や本などを積んで、ケータリングカーのような移動式図書館をやったりもしている。そこでカレーを出しても面白いんじゃないかとかも考えてるよ」

移り変わりの激しい恵比寿という街で長年愛される人気の秘訣は、常に時代の流れを感じつつも、背伸びする訳じゃなく、地域に寄り添う形で進化しようとしているところにあるのかもしれない。

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【店舗情報】
住所: 東京都渋谷区恵比寿南1-2-12 2F
電話:03-3711-9876
営業時間:18:00〜05:00
定休日:年中無休

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