悲劇!プラスチックごみにクジラが殺される:未来世紀ジパング

公開: 更新: テレ東プラス

5月8日(水)放送の「日経スペシャル 未来世紀ジパング」(毎週水曜夜10時)は、これまで番組が伝えてきた「プラスチックごみ問題」の新たな局面を取り上げる。さらに夢の"空飛ぶクルマ"の現在地など、世界が注目する最新情報を伝える。

クジラを殺したプラスチックごみ

プラスチックごみの生態系への影響が叫ばれる中、またひとつ悲劇が起きた。3月中旬、フィリピン南部の島に、瀕死のクジラが打ち上げられた。クジラの胃の中から出てきたのは、なんと重さ40kgにもなるプラスチックごみ。このクジラは胃の中にプラスチックがたまり、栄養が取れなくなって死んだと見られている。

同様のケースは世界各地で報告されており、改めて海洋プラスチックごみ問題の深刻さが浮き彫りとなった。このクジラに一体何が起きていたのか。番組が現地で取材した。

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クジラの発見から1週間後、フィリピン・ミンダナオ島のダバオにある保管場所を訪ねると、研究のために残してあるというあのクジラは、すでに骨と皮になっていた。傍らには、あの40kgのプラスチック。「こいつがクジラを殺したんだ」と唇を噛むのは、クジラを解剖したダレル・ブラッチリーさん。それにしても、なぜクジラは大量のプラスチックを飲み込んでしまったのか?

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実は、クジラは、海の中に浮かんだプラスチックが巨大なイカに見え、食べてしまうという。クジラの胃から出てきたプラスチックの確認作業を進めると、レジ袋やコメ袋など、大小合わせて68枚ものプラスチックごみが見つかった。中には地球環境に優しいはずの"生分解性"と書いてあるものも...。分解されず、そのままの形で残っていたのだ。

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続いてダレルさんが案内してくれたのは、海沿いにバラックが密集する貧困地域。3000人もの水上生活者が暮らすこの場所で、フィリピンのごみ問題の深刻さを目の当たりにすることになる。

水上生活者の家の下を見ると、そこは一面ごみだらけで、食べ物、ごみ、汚物、すべてがそのまま床下へと捨てられている。ごみに覆われた砂浜では、子どもたちがプラスチックを燃やし、なんと魚を焼いて食べていた。砂浜を覆いつくすプラスチックごみ...満潮になれば、一気に海へと流れ込んでいく。

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行き場のないごみ、国家間の紛争も

フィリピン第3の都市ダバオでは、好景気を背景に平日の夜も屋台などがにぎわう一方で、ごみ処理施設では深刻な事態が起きていた。ダバオ唯一のごみ処理施設には、1日600tという想定以上のごみが24時間休みなく運ばれてくるため、すでに埋め立てられる量の限界間近に。ついにダバオ市は、フィリピン初となるごみ焼却施設の建設を決定した。プラスチックそのものの使用規制も検討しているというが、はたして間に合うのだろうか。

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ごみの問題は、国家間の紛争にまで発展している。韓国からフィリピンに到着したコンテナの中身が偽装され、家庭ごみなどだったことが発覚。韓国大使館の前では抗議デモまで発生し、なんと韓国政府が費用を負担して回収するという事態となったのだ。

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一方、すでに韓国からフィリピン国内に持ち込まれてしまったという"闇ごみ"も。現場を訪ねると、そこには5000t分もの様々なごみが...。ここでも韓国の業者は税関に「再生可能なプラスチック」と不正申告していたという。すでに9ヵ月以上も放置され、フィリピン当局は韓国政府に対しごみを引き取るよう求めているが、費用などをめぐって交渉が難航。フィリピン税関担当者は怒りを露わにした。

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空飛ぶクルマが実用化へ

空想の世界の乗り物だと思われていた"空飛ぶクルマ"が、現実のものになるかもしれない。アメリカ・ジョージア州のアトランタで開催されていた世界最大のヘリコプターショーを取材すると、巨大な"空飛ぶクルマ"が注目を浴びていた。

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開発したのは、アメリカのベル・ヘリコプター・テキストロン。ベルは、「オスプレイ」をボーイングと共同開発した大手ヘリメーカーだ。その技術を生かした空飛ぶクルマ「ネクサス」は、乗用車のような5人乗りで、プロペラが6つ付き、時速240kmで飛ぶことが可能だという。最終的にはパイロットなしの自動操縦を目指す。この「ネクサス」実用化に向け、日本の住友商事も動き出している。狙うは、世界に先駆けた日本への導入だ。

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この他、"空飛ぶバイク"の実験を公開した日本のベンチャー企業も取材。「京セラ」や「ブリヂストン」など大手企業も協力する最新技術を紹介する。経済発展がもたらした弊害と、進化するテクノロジーの両面を伝える「日経スペシャル 未来世紀ジパング」は、今夜10時放送。お見逃しなく!

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