“高級食パン”戦争!新店が続々オープンする理由:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

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現場で奮闘する人たちの姿を通して、さまざまな経済ニュースの裏側を伝えるドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」(毎週火曜夜10時)。5月7日(火)は「膨らむ!"食パン"戦国時代」を放送する。食パンブームと言われる昨今。高級食パン専門店には連日大行列ができ、1本1000円近い商品でも飛ぶように売れている。膨らみ続ける食パン市場...その知られざる戦いの現場を取材する。

繁盛する高級食パン店の仕掛人

朝8時半、東京・清瀬駅前の店には、開店前から行列ができていた。そして、開店と同時に次々とお目当ての品を買っていく。ここは、今大ブームを巻き起こしている高級食パン専門店で、その名も「考えた人すごいわ」。お客から「今までの食パンと全然感覚が違う」と評判で、1本800円以上もする食パンが飛ぶように売れていく。

ほんのりとした甘さが特徴のこのパン、秘密は厳選された素材にある。小麦粉はカナダ産の最高級品、バターは上質な国産品を使用しているが、一番のこだわりは岩手県産の自然海水塩を使っていること。雑味のないパンの味に仕上がるという。このこだわりと奇抜な店名で客の心をつかみ、昨年6月のオープン以来、毎日500本完売している。この人気の裏には、ある仕掛け人の存在が。

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群馬県・太田市にある新しい食パン専門店「なま剛力スタジアム」も、先程の店と同じ人物がプロデュースした。レトロな少女漫画風のイラストが客を迎えるこの店は、パンの作り方も一風変わっている。

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竹で叩くことで生地のガスが抜け、柔らかさと力強さが出るという。口どけの良さにこだわった「剛力デラックス」(1本864円)は、開店から1時間すると初回の分が完売に。2月のオープン以来、今も変わらず大盛況が続いている。

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これらの人気店を手掛けたのは、ジャパン・ベーカリー・マーケティングの岸本拓也社長。
店のオーナーのために売れるパン屋をプロデュースしている。「何だろうと思わせた方が、そこから楽しさが展開していく」と話す岸本さん。例えば、「でぶぱん」と名づけた店はコッペパンの専門店。その他、クリームパン専門店など、進行中のものを加えると約100店をプロデュースし、そのすべてが大人気になっている。

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ジャパン・ベーカリー・マーケティングでは、今年は新たに40店ほどを手掛ける予定だが、その半数が食パン専門店だという。「パン屋の商品の中で一番売れるのは食パン。間違いなく食パンに関しては繁盛店を作ることができる。そこは絶対的な自信がある」と岸本さん。

和総菜に合う食パンをどう作る!?

実は岸本さん、ある意外な店から食パン専門店のプロデュースを依頼されていた。それは、手作り和総菜の店「佃浅(つくあさ)」。明治17年創業の老舗で、都内百貨店を中心に14店舗を展開。佃煮から和総菜に手を広げ、職人が丁寧に手作りすることで、伝統の味を受け継いできた。しかし昨年、3店舗が閉店に追い込まれ、売り上げもピーク時の8億円から1億円も減少。その背景の一つが、国内で進む米離れだという。

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2年前に会社を引き継いだ7代目の杉原健司社長は危機感を深めていた。そこで杉原さんは岸本さんに、新規事業として食パン専門店のプロデュースを依頼したのだ。それを受け岸本さんが考えたコンセプトは「総菜と合わせるパン」。和総菜と一緒に食べても美味しい食パンなら、総菜の売り上げアップも狙えると考えたのだ。店舗は総菜工場の一角を改装し、4月下旬のオープンを目指すことになった。

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岸本さんのコンセプトを具体的な形にするのが、パン職人歴8年でメニュー開発の責任者、今井美希さんだ。商品開発を進める中、今井さんは、総菜ならではの"和の味"をパンに取り入れるアイデアを思いつく。そこで今井さんが選んだのは、佃浅の総菜に使われている「江戸味噌」。米こうじを使った江戸味噌はさっぱりした甘さで、クセがないのが特徴。しかし、食パン専門店が和の調味料をパン生地に練りこんで作るというのは、極めて珍しい試み。和と洋をうまく融合し、これまでにない食パンを生み出すことができるのか。今井さんの試行錯誤が始まった。

誰でも絶品食パンが作れる!?その秘密

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こちらは昨年9月、東京・銀座にオープンした「銀座に志かわ」。メニューは1本864円の食パンのみ。アルカリイオン水を使うことで、他にはない柔らかさと甘味を引き出している。パンには通常、発酵に適した酸性の水を使うが、素材のうまみを引き出すというアルカリイオン水を使用。その特性を生かすため2年をかけて食パンを開発した。そんな「銀座に志かわ」は半年で6店舗出店し、3年で100店を目標としている。

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愛知・名古屋市でオープン間近の「銀座に志かわ」新店舗。メインスタッフは3人で、全員これまでパンの製造経験がなかったが、わずか1ヵ月の研修ですべての工程を手際よくこなせるようになっていた。しかし、パンの仕込みや焼き加減などは、本来熟練の技が必要とされるはず。実は「銀座に志かわ」には、未経験者でも絶品パンを作ることができる驚きの仕組みがあった。

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「銀座に志かわ」髙橋仁志社長は、「いつ誰がどこで作っても同じパンを提供できるか...ここがポイントになる」と話す。この独自の仕組みをさらに推進していく方針を打ち出した上で、「3年で日本一の食パンブランドを作りたい」と壮大な野望を語る。

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パン業界の風雲児たちが挑む新戦略。食パン戦国時代の勢力図はどうなっていくのか。その最前線を密着取材で捉えた「ガイアの夜明け」は、今晩10時から放送。どうぞお見逃しなく!

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