横手やきそば四天王と高田馬場の名店が”焼きそばの作り方&秘伝のソースレシピ”を公開

公開: 更新: テレ東プラス

ニッポンに行きたくてたまらない外国人を世界で大捜索! ニッポン愛がスゴすぎる外国人をご招待する「世界!ニッポン行きたい人応援団」(毎週月曜日夜8時~)。毎回ニッポンを愛する外国人たちの熱い想いを紹介し、感動を巻き起こしています。

日本蕎麦ととんかつソースで焼きそばを!?

今回訪ねたのはハンガリーのアイカクリスタルで有名なアイカという田舎町。首都・ブダペストから車で2時間半の場所にあります。私たちを明るい笑顔で迎えてくれたのは、スーパーマーケットのマネージャーをしているジョルジュさん(48歳)。ガールフレンドのドーリーさん(31歳)と暮らしています。

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ジョルジュさんが愛してやまないのは、ニッポン人の国民食とも言える"焼きそば"。ソースをかけた焼きそばは、浅草のお好み焼き屋さんが発祥と言われています。ジョルジュさんは10年前にロンドン旅行に行った際、日本料理店で初めて食べた焼きそばが忘れられず、自分でレシピを調べて作るようになりました。

しかし、ブダペストのアジア食材店を訪れたジョルジュさんが「いつもこれを使っています!」と手に取ったのは、なんと日本蕎麦の袋ととんかつソース!

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ジョルジュさんが見たハンガリーの和食レシピ本には、材料に「蕎麦」と「とんかつソース」と書いてあったというのです。アジア食材店の店員さんにも「焼きそばには蕎麦の麺を使うのか」と確認したそうですが、「蕎麦の麺でいい」と言われたので、それ以来ずっと蕎麦で焼きそばを作っていたとのこと。そこで、番組スタッフが売り場の乾麺の中でも中華そばに近いものを探し、ソースも中濃ソースに変え、早速いつもの作り方で焼きそばを作ってもらいました。お友達を招いて焼きそばパーティを開きます。

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お料理好きのジョルジュさんはさすがの腕前で、とてもおいしそうな焼きそばができました。お友達からも「いつもの焼きそばより、麺がモチモチしていてずいぶん美味しくなっています」と大好評! そこで今回は、「本物の職人さんに焼きそばの作り方を学びたい」と話すジョルジュさんをニッポンへご招待!

10年連続四天王選出の味を教わる

ジョルジュさんと向かったのは、まだ雪が残る秋田県横手市。言わずと知れた日本三大焼きそばの一つ「横手やきそば」の本拠地です。毎年横手市では、覆面審査員の投票により、市内40店舗以上の中から"横手やきそば四天王"を選出しています。

「藤春食堂」は、ただ一軒だけ10年連続四天王に輝いている名店。千葉や大阪からもお客さんが訪れ、平日も開店と同時に満席になります。メニューは焼きそばのみで、値段は20年間変わらず、なんと350円から! 店主の藤井アツ子さん(66歳)にジョルジュさんの熱意を伝えたところ、快く受け入れて下さいました。

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一緒にお店を切り盛りするのは長男の治さん(42歳)。アツ子さんの身体を心配し、2年前に会社員を辞め、アツ子さんを手伝っています。

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いよいよニッポンの焼きそばを初体験するジョルジュさん。最初はおとなしく席で待っていましたが、我慢できずにアツ子さんが焼きそばを作る様子をのぞき見。

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横手やきそばの特徴は太めの麺。具材はキャベツと豚のひき肉。その上に目玉焼きと福神漬けをトッピングします。ジョルジュさんに出して頂いたのは、豚のもも肉がのった特製焼そば(麺2玉)600円。

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お待ちかねの本場の焼きそばを口いっぱいにほおばります。満足そうに「ん~!」とため息をつくジョルジュさん。

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豚のひき肉が焼きそばと合うことや麺とソースの絶妙なバランスに驚きを隠せません。「今まで食べたことのない深い味です」と感想をもらすと、アツ子さんが「麺とソースが他の店とは全然違いますのでね」と答えていました。「麺2玉大丈夫? 食べられる?」とちょっと心配するアツ子さんでしたが、ジョルジュさんは5分で完食!

創業から70年以上経つ藤春食堂。先代であるご主人の伯母・ハルエさんからお店を引き継いだアツ子さんは、20年もの間、お正月の2日間を除き年中無休でお店を守ってきたそうです。

営業終了後、厨房に入れてもらったジョルジュさんがアツ子さんに「どんなソースを使っているのか」と尋ねると、ある物を見せてくれました。それは、藤春食堂特製のブレンド出汁。鰹や昆布などの魚介系の出汁を市販のウスターソースと多めに混ぜて使うのが藤春食堂のソースのポイント。ジョルジュさんも、この秘伝のソースを味見させてもらいます。

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実はこのソース、アツ子さんが20年間試行錯誤して作り上げたとのことで、息子の治さんにも配合の割合は教えていないそう。今後息子の代になったら少しずつ教えていくとのことでした。

アツ子さんのすぐそばで焼きそばの作り方を教えてもらうジョルジュさん。まずは、ひき肉を焼いた上にたっぷりのキャベツをのせ、その上に麺ものせて水で蒸し焼きにします。そこに先程のソースをたっぷりとかけ、さらに秘密の隠し味を加えて焼いていきます。

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「10年連続四天王に輝く味の秘密が少しだけわかりました!」と話すジョルジュさん。アツ子さんが「焼きそばだけじゃなくてここの雰囲気ね。家庭的なとこが良くて皆さん応援しに来てくれるんですよね」と言うと、ジョルジュさんも「僕も入った時に"ホッとするような家に来た"と思いました」とコメント。国境を越えても家庭的な温かさは同じようです。

「1回やってみませんか?」とアツ子さんに促されて初めて鉄板で焼きそばを作ることになったジョルジュさん。普段から料理をしているだけあり、手際よく焼きそばを作っていきます。見た目だけで言えばアツ子さんの焼きそばと遜色ないほどの出来!

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アツ子さんと治さんに味見をしてもらうと、「美味しい 美味しい!」とお墨付きを頂きました。初めて鉄板を使ったのに、本当に上手に出来たよう。

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褒められたジョルジュさんも嬉しそうな表情に。

その後は、アツ子さんがジョルジュさんをご自宅にまで招いてくれました。ご主人やお孫さんたちが続々帰宅し、居間は一気ににぎやかに! アツ子さんはジョルジュさんのために秋田の郷土料理をたくさん用意してくれていました。うっかりスタッフが奥の部屋まで入ってしまうと、「あや!そっちまでいぐな! あや! そこはおめぇ!」と秋田の方言全開になり、とってもチャーミング!(笑)

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心づくしのお料理が並び、みんなで盛り上がります。切り干し大根やいぶりがっこを初めて食べたジョルジュさんは、同じ大根でもいろいろな調理法がある日本の食文化の豊かさに感心。

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〆の稲庭うどんを食べ、藤井さん一家と団欒するジョルジュさんは「長い間お店が続けられたのはアツ子さんの真心があったからだと感じました」としみじみ語り、アツ子さんの目にも涙が浮かびます。

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翌日。ジョルジュさんは、「いろいろ教えていただいたお礼に...」とお店のお手伝い。オーダーを取ったり洗い物をしたりと、なかなか板についた店員ぶりを見せます。

そして別れの時。ジョルジュさんは「親切でプロフェッショナルな人に出会えて本当に良かったです。ありがとうございます!」とアツ子さんに伝え、ハンガリーのお茶とハチミツ、ガールフレンド・ドーリーさんお手製の"レース編みの天使"を感謝の印としてプレゼントします。

するとアツ子さんも、ジョルジュさんがずっと欲しかったという焼きそば用のヘラや藤春食堂の焼きそばセット、稲庭うどん、いぶりがっこをプレゼント。最後はハグを交わし横手を後にします。

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82歳で現役!キュートなキャベツ農家のおばあちゃん

続いてジョルジュさんが向かったのは愛知県田原市。愛知県はキャベツの生産量が全国2位。中でも太平洋に面した田原市は、温暖な気候でキャベツ栽培に適した場所です。

焼きそばには欠かせない! ということで、ジョルジュさんはキャベツ農家にお邪魔させていただくことになりました。出迎えてくれたのは、江戸時代から12代続く農家の佐藤節男さん(59歳)。4世代でキャベツを作る大家族農家です。

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早速広大なキャベツ畑に連れて行ってもらいます。佐藤さんが作っているのは、「ゆいな」という春キャベツの一種。春キャベツは冬キャベツに比べて巻きがふんわりしており、葉が柔らかく、甘みが強いのが特徴です。

この時期は、テニスコート10面以上の広さを持つ畑で、120トンものキャベツを朝から晩まで家族総出で収穫しています。

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一番の働き手は82歳のきみ代さん。誰よりもキャベツをとるので「社長」と呼ばれているそう。

「僕も負けちゃいそう」と言うジョルジュさんに、まぶしい笑顔でこう答えます。

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収穫したてのキャベツを食べたジョルジュさんは、あまりのおいしさに何回もおかわり。それを見る佐藤さん一家も嬉しそうでした。

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お礼にジョルジュさんは、キャベツを使ったハンガリーのパスタ料理をふるまいます。使うのはハンガリーから持参した四角いパスタ。パスタを塩と砂糖で味つけし、炒めたキャベツと合わせれば、ハンガリーの家庭で作られる「カーポスターシュ・テースタ」の完成です。

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ご近所の農家の皆さんも集まり、にぎやかな夕食がスタート!

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ジョルジュさんの手料理は、子どもからきみ代さんまで大好評。奥さんが作ってくれたロールキャベツもキャベツ農家ならではのもの。キャベツを1個丸ごとくり抜き、その中にひき肉やニンジン、玉ねぎのみじん切りなどを加え、ミニトマトと一緒に煮込みます。これを食べたジョルジュさんは「ハンガリーのロールキャベツと同じ味がします」。

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楽しい夜も更け、別れの時。「世界一可愛いおばあちゃん、ありがとうございました!」とプレゼントを手渡すと、「ほんの少しですけど」と言いながら、きみ代さんが梅干しとハチミツをお土産に手渡して下さいました。すると節男さんが「おい、キャベツはいらんのか」と最後まで楽しい冗談でその場を盛り上げます。

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大行列の名店が秘伝のソースと麺打ちを伝授

最後は焼きそば発祥の地と言われる東京へ。ジョルジュさんが行きたい焼きそば屋さんが高田馬場にあるとのこと。そのお店とは「真打みかさ本店」。カウンター10席、メニューは焼きそばのみ。麺もソースもすべて手作りということで、焼きそば好きなら誰もが知る名店です。休憩時間に受け入れて下さった店主の福島三郎さん(50歳)は、神保町で行列のできる焼きそば屋さんをやっていましたが、「路地裏でやりたい」とお弟子さんに店を譲り、2年前にこのお店を始めました。

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自家製麺を自家製ソースとからめて炒め、半熟玉、かつお節と青のりをトッピング。最後にもう一度ソースをかけたら完成です。

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「信じられないくらい美味しいです。こんなゴージャスな焼きそばは初めて! ニッポンに来られて本当に良かったです」とジョルジュさん。

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ジョルジュさん「ハンガリーには乾麺しかなく、これほどおいしい麺は手に入らない」とのこと。するとなんと、三郎さんが特別にソースと麺の仕込みを見せて下さることに!

【真打みかさ本店のソース作り】
1.鍋でザラメを炊く
2.お湯を加えた後、ミキサーにかけたパイナップルとリンゴをたっぷりと入れる
3.ターメリック、カレーパウダー、黒コショウを入れ、10時間煮込む
4.かめに入れて1ヵ月寝かせる
5.10種類のスパイス(オイスターソース、しょう油、シナモン、ナツメグ、黒コショウ、タイム、カレー粉、ターメリック、トウガラシ、クローブ、セージ)を順番にいれる
6.さらに1ヵ月寝かせて、フルーツソースが完成!

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一口味見をさせてもらったジョルジュさんは、「まろやかなジャムのような味!」と表現。

7.フルーツソースに手作りの秘伝・ウスターソースを、ウスター5:フルーツ1の割合で混ぜる

これで「お店の宝」焼きそばソースが完成!

ジョルジュさんは「複雑で上質な味わいです。信じられません!」と感動した様子。

続いては麺打ち。麺で大切なのは歯ごたえとソースの染みこみやすさで、休ませることが重要だそう。この時期は麺を鍛えてから休ませること10時間以上。伸ばしてはまた1時間休ませ、丸1日かけて麺が完成します。

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別れの時。なんと三郎さんが、「真打みかさ本店」の特製ソースと麺を切る機械をプレゼントしてくださいました。

ジョルジュさん、これでハンガリーに帰っても美味しい焼きそばを作ることができますね!

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番組史上初のある出来事!

さて旅も終わりに近づいた時、なんと番組史上初の出来事が...。実はジョルジュさんのガールフレンド・ドーリーさんもロケに同行していたのです。そしてジョルジュさんは、私たちスタッフに提案をしました。「ニッポンでドーリーにサプライズプロポーズをしたいので、協力してほしい」とのこと。もちろん! スタッフ一同、喜んで協力させていただきます!

東京でデートシーンを撮影するという設定にし、2人には「八芳園」で和服に着替えてもらいます。しばし庭園デートを楽しんでもらい...。

美しくライトアップされた日本庭園でひざまずき、プロポーズをするジョルジュさん。ドーリーさんの返事は、「もちろん! それだけが私の望みよ」。

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指輪をはめようとしたところ、サイズが小さかったようで少しだけ手こずりましたが、プロポーズは大成功! 帰国を前にジョルジュさんは、「横手では真心を学びました。東京では基本の大切さを学びました。愛知では忍耐強く働くことを学びました。学んだ3つを活かして2人で美味しい焼きそばを作ります!」と語ってくれました。

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人生の節目も迎え、一生忘れられないニッポンの旅となりましたね! ジョルジュさん、またのご来日お待ちしています! そしてご協力下さった皆さま、本当にありがとうございました!

そして今晩8時放送「世界!ニッポン行きたい人応援団 スペシャル」では...。

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100回目の放送を記念し、今までご招待した人のその後を追跡。帰国後の人生が大きく変わった人も! たい焼きをこよなく愛し、ロシアでたい焼きカフェを経営する女性。日本へ来てあんこの作り方や焼き方を学んだが、その後カフェはどうなった? フランスから来日し、浮世絵の伝統技術を学んだ男性や、ニシキゴイが大好きなポーランドの少女のその後も紹介。タミヤの模型を愛してやまないポーランドの男性が再び来日! 模型愛好家の石坂浩二と対面する。

今晩8時「世界!ニッポン行きたい人応援団 スペシャル」を、どうぞお楽しみに!

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