“認知請求”に”高齢者を巡る新トラブル”...繁華街の弁護士事務所に舞い込む意外な案件

公開: 更新: テレ東プラス

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現在、BSテレ東で放送している、真夜中ドラマ「歌舞伎町弁護人 凛花」(毎週土曜深夜0時)。舞台は新宿・歌舞伎町。ひょんなことから六本木の法律事務所を追われ、父親が経営する歌舞伎町の法律事務所で働くことになった女性弁護士・凛花(朝倉あき)が、これまで経験したことのない依頼に戸惑いながらも、持ち前の正義感と粘り強さで依頼人を爽快に助けていく。

事務所を訪ねてくるのは、場所柄もあってかキャバクラ嬢や風俗嬢、ホストなど、いわゆる水商売の面々。相談内容もストーカー被害や愛人トラブルなど、東洋一の歓楽街と言われる歌舞伎町ならではの案件が多く登場する。

しかし実際のところはどうなのか? 繁華街を抱える街に事務所を構える弁護士の元にはどんな依頼が舞い込み、どう解決しているのだろうか? 本作で監修を務める日向一仁先生(東京渋谷法律事務所)にお話を伺った。

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高齢者を巡るトラブルが急増

――ドラマの舞台は、東洋一の歓楽街・歌舞伎町。先生も、繁華街・渋谷に事務所を構えていらっしゃいますが、普段はどのような案件が多いのでしょうか?

「ドラマに登場する繁華街の真ん中にある事務所のイメージとは違いますが、私の事務所の場合は、離婚や相続、交通事故、借金問題、中小企業の経営者の方からは契約や労務管理に関する相談、また、不動産会社からの不動産管理に関する相談なども多いです。繁華街で働く方からの相談は、借金トラブルなど、どちらかというとお金が絡む問題が多い印象です。ドラマの場合には、それだけではなかなか話にしづらいかもしれませんね。見せ場をもうけやすい案件が題材になっていて、それはそれで面白いと思います。弁護士という仕事の魅力の一つは、困っている人がいたら相談に乗って、助けになってあげられること。主人公の凛花も、最初は企業案件を専門に扱っていたわけですが、歌舞伎町に移ってからは個人に寄り添っていく。その思いには共感するところが多いですし、持ち前の正義感や行動力に感心します」

――なるほど。たしかにドラマでは、派手で見ごたえのある事件性が必要ですよね。では、「これはドラマになり得る!」というような案件、近年増えている事件やトラブルなどありますか?

「ドラマになるかは分かりませんが、東京の都市部では再開発が進んでいて、それにともない、相続が絡んだ不動産に関する案件は年々増加していますね。借地問題や立退きなどです。地権者やご家族の高齢化が進んでいて、相続を受ける側もすでに60代、70代となっており、すぐに次の相続問題が発生してしまう...など、土地や財産にまつわる案件は多いです。相続人の方が相続処理を放置しているうちに、関係する相続人が40名を超えてしまったという案件もありました。また、高齢化に関係する案件ということでは、振り込め詐欺をはじめとする高齢者や認知症の方を狙った事件や、生活に困って窃盗をしたり、孤独が故、刑務所に入りたくて犯罪を繰り返しては何度も刑務所に入るという、高齢者による悲しい事件も増えています」

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――真夜中ドラマ「歌舞伎町弁護人 凛花」第2話では、凛花のもとに「愛人関係を解消したい」との依頼が舞い込みます。歌舞伎町といえば夜、夜といえば色恋にまつわる事件簿ということで...そうした歓楽街ならではの相談はあるのでしょうか?

「歓楽街ならではと言えるかは分かりませんが、歓楽街で働く女性から認知請求に関するご依頼を受けたことはあります。父親であるだろう男性の所在を見つけて調停を行い、DNA鑑定によって親子関係を調べ、認知を請求します。極めて稀にですが、相談者である母親が子どもの父親を絞り切れないということがあって、そういった場合は本当に困ります。また、バブルの頃に多かったようですが海外の繁華街で羽目をはずした男性の子どもを妊娠・出産した外国人の女性が、男性のパスポートのコピーや写真を頼りに来日し、『日本人の男性との間にもうけた子どもを認知してもらいたい』という案件もあります」

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――すぐにドラマの題材になりそうな案件ですね。それが真実ではなく詐欺事件である場合も...?

「子どもの認知について相談にいらっしゃる方は、『養育費をしっかりもらいたい』とか、外国の方であれば、『子どもが日本で働きたいと言っている。日本国籍を取得するために認知してもらいたい』などのしっかりした目的で認知を希望することが多いので、詐欺目的ということはないと思います。ただ世の中には、嘘をつくケースもあるかもしれません。そのような場合に、父親とされている男性側が"家族に知られては困る!"ということでついお金を支払ってしまうということもあるかもしれませんね。

こうした場合の対処法としては、本当に親子関係があるかどうかDNA鑑定をして調べるという方法もあると思います。いずれにしろ、もし不当な請求を受けていると感じた場合は、弁護士に相談することをおすすめします。ご本人が『不当』と感じても、法律的には妥当な内容ということも、もしかしたらあるかもしれません」

―― 一口に弁護士さんに相談と言っても、庶民にとってはどこか敷居が高いイメージが...(笑)。良い弁護士さんの選び方などあれば教えてください。やはり専門の弁護士に依頼した方がよいですか?

「今は無料相談を実施している事務所も多いですし、ホームページにもたくさん情報が掲載されているので、いくつかの事務所を調べて費用や見通しを比較したり、実際に法律相談に行き、自分に合う弁護士を見つけるというのが良い方法ではないかと。話がしやすいかどうかというのも重要だと思います。あと、相談したい案件を多く扱っているかどうかということは確認した方が良いと思いますが、あまり、『専門』かどうかにこだわる必要はないのかなと思います。私もよく『専門は何ですか?』と聞かれますが、私の事務所の場合、『この分野しかやらない』という意味の専門というものはなく、幅広い事件に対応できますし、逆にそのようにしないと依頼者からのニーズに応えられません。

例えば中小企業の顧問の場合、経営に関する相談だけでなく、社員の離婚や金銭、交通事故などのトラブルについても相談されことも多く、こういった個人の案件にも対応できないといけないのです。ただ、『多く扱っている分野』というのはどこの事務所もあると思いますので、取扱経験は確認しても良いと思います」

――弁護士さんの経験が大事なんですね。

「もちろん、その分野を専門に扱っている弁護士であれば取扱経験も多いでしょうから、本当に『専門』の弁護士であれば良いと思います。ただ特定分野しかやらないという『専門』にこだわり過ぎると、選択の幅が減ってしまうかもしれません。弁護士は、経験を積んでいくうちに"専門"ではないものの、"得意な分野"というものは出来上がっていきますから。まずはご自身でいろいろと調べて比較をし、相性のいい弁護士を見つけてください。困ったことがあれば、弁護士にご相談ください」

バブル崩壊からおおよそ30年。当時は想像もしなかった事件が頻発する昨今。自分が、あるいは家族の誰かが予期せぬトラブルに巻き込まれたら..."いざ!"というその時に備え、普段から弁護士の存在を頭の隅に置いておくことが必要なのかもしれない。

【弁護士・日向一仁(ひゅうが・かずひと)プロフィール】
東京渋谷法律事務所(http://www.tokyo-law.jp/)・東京弁護士会所属。平成21年10月、銀座の共同事務所で独立。平成24年5月、渋谷で「東京渋谷法律事務所」を立ち上げる。取扱分野は、民事事件全般(離婚事件、損害賠償請求、不動産紛争、相続等)・労働問題・交通事故。企業法務については渋谷周辺の企業を中心に、労務管理やIT関連の契約や紛争対応などに主に取り組んでいる。

そして5月4日(土曜)深夜0時放送! 「真夜中ドラマ 歌舞伎町弁護人 凛花」(BSテレ東)気になる第3話の内容は...。

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美鈴凛花(朝倉あき)は、【六本木ゴージャス法律事務所】で働いていた時の後輩・山田蘭(山地まり)とバッタリ再会する。蘭は新たな顧問契約が決まり自信に満ちていた。六本木に戻りたい凛花は嫉妬を覚える。

そんなある日、大手エンターテインメント企業【JMエンタープライズ】に勤める沢井順子(山崎真実)が、「会社でセクハラを受けている!」と相談にやって来る。順子は田舎から出て来たばかりの頃、騙されて一度だけAVに出演させられた事があった。それを課長の猪原に知られ、バラすと脅されて身体を触られる様になったというのだ。

「女性の弱みにつけ込む卑劣な男を許せない!」と調査に乗り出す凛花。セクハラの実態を暴く為の証言を得ようと、順子の同僚のOL達に聞き込みをするが、誰も協力をしてくれない。凛花の行動を知った猪原は、ますますセクハラ行為をエスカレートさせてくる。
順子を救うべく、【JMエンタープライズ】に乗り込んだ凛花。そこに現れた会社の顧問弁護士は、なんと後輩の蘭だった...。

現在第2話を、「ネットもテレ東」で配信中です!(5月4日土曜深夜1時25分配信終了)

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