「本屋を目当てに旅行する」ブックショップ・トラベルのすゝめ 広島県・尾道篇:前編

公開: 更新: テレ東プラス

喫茶店や観光名所を目当てに旅することはあっても、本屋を目当てに旅する人はそこまで多くないのでは? 下北沢で本屋のアンテナショップを営む和氣さんが、本屋を目当てに旅する1泊2日のプランを提唱。広島県尾道市を巡るブックショップトラベルを提案してもらいました。

こんにちは! 下北沢にある本屋のアンテナショップ 「BOOKSHOP TRAVELLER」の店主・和氣です。本屋を目当てに旅をするブックショップ・トラベルのすゝめ。いままで群馬県高崎市と長野県上田市のブックショップトラベルを紹介しました。もう訪ねてくださいましたでしょうか? 三回目にあたる今回は今までより少し遠くに足をのばして広島県尾道市に行くことにしました。

海と山に囲まれた風光明媚な土地・尾道にはたくさんの側面があります。文学の街であり、自転車乗りにとっての聖地・しまなみ海道がある場所でもあります。食でいえば尾道ラーメンはもちろん、新鮮な魚も外せません。

ここに挙げきれないくらいの魅力が詰まった街・尾道でのブックショップトラベル、スタートです。

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尾道へのルートはいくつかありますが、今回は新幹線で行きましょう。東京駅から福山駅まで3時間40分、そこからJR山陽本線で20分、全部で4時間ほどの時間で尾道駅に付きます。朝早めに出て昼過ぎに着くくらいのイメージですね(飛行機だと2時間、夜行バスだと11時間程度です)。

尾道駅についたら南口を出て左折。商店街を真っ直ぐ進み、今回の宿であるゲストハウス「あなごのねどこ」を目指します。

目的地までは少し距離があるので寄り道して珈琲でも飲みましょう。

おすすめの「Classico」さんはコーヒーロースター。テイクアウトの珈琲(350円)をいただくこともできます。

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尾道商店街の中にあります。こだわり抜いた自家焙煎豆を販売しています。テイクアウトするとちょっとしたお菓子もいただけます。

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Classico
住所:広島県尾道市土堂1-3-28
営業時間:10:00-18:00
定休⽇:通常無休(一部季節休業あり)
お問い合わせ:info@classico-coffee.jp
HP:http://www.classico-coffee.jp
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尾道に来たなら泊まりたい、町家のゲストハウス「あなごのねどこ」

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レトロなパンダの遊具の向こう側に見えるのが奥へと続く通路です。

6分ばかし歩くとたどり着くのが、ゲストハウス「あなごのねどこ」。

あなごのねどこ、とはうなぎの寝床のように奥に長い尾道の町家を改装して作られたゲストハウス。一風変わった名前は尾道の特産品であるあなごにちなんでいるそうです。

商店街の通りからはカフェしか見えないので不安になりますが、よく見ると横に通路があります。まさかと思って奥に行くと受付。なかなか体験できない雰囲気に「ここに泊まることができるのか」と嬉しくなってしまいます。

チェックインは16時から。先に荷物だけ預けて昼食にしましょう。

今回は表通りに面した「あくびカフェー」にお邪魔することにしました。

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つまようじから旗を取って赤い印があれば当たり。会計の際に持っていけばちいさなおくりものをもらえます。

頼んだのはあくびのしまなみカリーライスセット(900円)。スタイルは欧風でコクがしっかり効いたお味に舌鼓を打ちます。

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あなごのねどこ
住所:広島県尾道市土堂2丁目4-9
チェックイン:16:00〜21:00 チェックアウト11:00
定休日:なし
お問い合わせ:0848-38-1005 (受付時間)16:00~21:00
HP:http://anago.onomichisaisei.com/
SNS:@nedokocho
https://www.facebook.com/Anagononedoko/
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あくびカフェー
住所:広島県尾道市土堂2丁目4−9
営業時間:月火金土11:00~22:00 水11:00~19:00 日祝11:00~18:00 ラストオーダー閉店30分前
定休日:木曜日
お問い合わせ:050-5240-3127
HP:http://anago.onomichisaisei.com/?page_id=446
SNS:https://www.facebook.com/akubicafe/
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本と音楽が静かに佇む場所「紙片」

腹ごしらえをして、少し落ち着いたところで「本と音楽 紙片」に向かいましょう。

紙片は行くだけで映画の1シーンのような気分に浸ることができる場所です。何より店の空間も素晴らしいですが。そこまでの道のりも素晴らしい。

実は「あなごのねどこ」に向かうときに通った通路をさらに奥に行くとあるんです。

知らない人は辿り着くことが難しい。知る人ぞ知る名店です。

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あなごのねどこの入り口を通り抜けてさらに先。中庭の奥にある秘密の小屋が紙片です。

小屋の入り口のような場所から中に入るとどこかで嗅いだような、それでいてはじめて嗅ぐような不思議な匂いに包まれます。小屋の中にいる店主の寺岡さんに挨拶してすぐ横にあるのが本のスペースです。

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紙片を象徴するかのような読書する手元を象った彫刻作品。

大切に並べられた本と音楽がキラキラと輝いて見えるのは空間の力でしょうか。映画『風の谷のナウシカ』の秘密の小部屋をモデルにしたという店内で、本を選んでいると映画のワンシーンに入り込んだかのような気分になります。

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本と音楽 紙片
住所:広島県尾道市土堂2-4-9 あなごのねどこの庭の奥
営業時間:11:00〜19:00
定休日:木曜
お問い合わせ:shihen.onomichi@gmail.com
HP:http://shihen.theshop.jp/
SNS:@shihen_onomichi
https://www.instagram.com/shihen_onomichi/
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志賀直哉に林芙美子。尾道文学を感じる千光寺公園散歩

さて、紙片を後にしたら文学の街・尾道を堪能しに山を登りましょう。目的地は「おのみち文学の館」です。尾道は『放浪記』で有名な作家・林芙美子や『暗夜行路』の志賀直哉などが暮らした街。おのみち文学の館では彼ら彼女らの残された書籍や原稿、遺品、旧居の展示を楽しめます。

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おのみち文学の館は、文学記念室(国登録文化財)、志賀直哉旧居、文学公園、中村憲吉旧居の4施設から構成されています。。写真は志賀直哉旧居。

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おのみち文学の館
住所:広島県尾道市東土堂13-28(文学記念室)
営業時間:午前10時~午後4時(入館は午後3時30分まで)
定休日:火曜日(祝日の場合はその翌日)、12月28日~1月3日
お問い合わせ: 0848-22-4102
HP:https://www.city.onomichi.hiroshima.jp/soshiki/7/4034.html
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千光寺山山頂から中腹にかけての散歩道。尾道ゆかりの25名の作家・詩人の詩歌・小説の断片などが道中の岩に刻まれています。展望台までいい運動になりますよ。

観終わったら少し大変ですが「文学のこみち」を通って展望台へと向かいましょう。千光寺でお参りをして、作家の詠んだ短歌の碑をひとつひとつ読みながらハイキングを楽しみます。

15分ほど登ると千光寺公園の展望台です。ここから観る夕日が最高なんです。

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古寺の街でもある尾道。千光寺を始めとした数多くの寺社仏閣が街のあちこちにあります。

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展望台に行くまでの間も振り返れば尾道の街の絶景が。

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夕方まで時間があったら、展望直ぐ側の売店で瀬戸内みかんソフトクリーム(果汁入り。300円)を食べながら休んで待ちましょう。

いよいよ暗くなってきたら、展望台の上まで昇ります。尾道の街と瀬戸内海を臨む絶景です。写真を撮るのも良いですが、ここはあえて備え付けのベンチで空を見ながらボーッとするのがオススメです。

忙しい毎日の中、せっかくここまで来たんです。ゆっくりのんびりしていきましょう。

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何とも言えないゆったりとした時間を味わう。

夕日が沈む頃だとロープウェイはもう動いていないので徒歩で山を下ります。下りは意外と楽なものですが暗いので足元にはくれぐれもご注意ください。

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千光寺公園
住所:広島県尾道市西土堂町19
営業時間:年中無休
定休日:なし
お問い合わせ: 0848‐38‐9184
HP:https://www.ononavi.jp/sightseeing/showplace/detail.html?detail_id=322
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千光寺公園頂上売店
住所:広島県尾道市東土堂町20−2
営業時間:8:30~17:30(1月1日~3日は、9:30~16:30)
定休日:荒天時(土・日曜日のぞく)、年末(12月29日~31日)
お問い合わせ: 0848−22−7612
HP:https://www.ononavi.jp/store/index.php
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ブックショップトラベル、この後は夜に向けて、一旦宿に戻ります。実は尾道には夜にしか開いてない本屋など魅力的なお店が盛りだくさん。後編もお楽しみに。

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