就職したい会社No.1...新人商社ウーマンの16年後の姿:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

現場で奮闘する人たちの姿を通して、さまざまな経済ニュースの裏側を伝えるドキュメンタリー番組ガイアの夜明け(毎週火曜夜10時)。4月23日(火)の放送は、シリーズ「さらば平成 君は夜明けを見たか第5弾 "16年後"の新入社員」を放送。今では"就職したい会社ランキング"で1位になった伊藤忠商事。番組は、就職氷河期の2003年に入社した3人に密着。苦境の時代を経験した当時の新入社員たちは、今どんな思いで伊藤忠の躍進を支えているのか...。最前線で戦う3人の姿を通し、ニッポンのビジネスパーソンの「夜明け」を追う。

いち早く「非資源No.1」を打ち出して成功

早朝の東京・豊洲市場。伊藤忠商事・水産部の鈴木雄策さんは、月に3回やって来ては、大量に買い付けたアジのチェックを行う。これを日本の業者に卸したり、加工して海外へ輸出したりすることで、伊藤忠はその仲介料を稼いでいる。食料部門の売上げは、伊藤忠全体の4割。その中でも、鈴木さんは、ほぼすべての水産品を扱い、大手スーパーなど数十社と取引している。

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グループ従業員数10万人を誇る巨大商社のトップに立つのは、繊維部門出身の岡藤正広会長CEOだ。過去最高益を見込む今、本社ビルを7年かけて建て替える計画を立てている。建て替えが正式に決まった後も、岡藤氏は「今いいからといって、7年後にどうなっているんや」と役員たちに釘を刺す。慎重な発言の真意を聞くと、「『山高ければ、谷深し』。登るには時間がかかるが、降りるときはあっという間。現状維持じゃなく、今日よりも明日、明日よりも明後日と一歩でも成長していく。それができないときに商社は潰れてしまう」と、常に成長し続ける必要性を説いた。

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これまで総合商社は、石油の売買や油田開発など、「資源ビジネス」で巨額の利益を上げてきた。しかし、国際情勢に左右されるため、時に大きな損失を被ることも少なくなかった。そこで、伊藤忠は他社に先駆け、資源で稼ぐビジネスモデルから転換。コンビニやファッションブランドなど「非資源分野」に集中投資。約300社を伊藤忠グループに加え、今やグループ全体で5兆5千億円を売り上げるまでに成長を遂げた。その中核を担っているのが、約2万4000店を展開するご存知「ファミリーマート」だ。

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水産部の鈴木さんは、ファミリーマートとの大きな商談を控えていた。鈴木さんが目をつけていたのは、利益率が高く、コンビニ各社がしのぎを削るレジ横のコーナー。そこに並ぶ商品は、累計12億個を売り上げる大ヒット商品・ファミチキを始め、肉系ばかり。そこで鈴木さんは、「白身魚フライをファミリーマートの代名詞の商品として提案したい」と考えたのだ。かつてベトナムに4年間駐在していたネットワークを生かし、鈴木さんはベトナム・ホーチミンでの新商品開発に乗り出すことに。新たな「コンビニ総菜」を生み出すため、16年目の挑戦が始まっていた。

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伊藤忠初の女性石油トレーダーが抱える葛藤と苦悩

海外の油田や天然ガスなどを売り買いしている資源・エネルギー部門の田中亜希子さん。田中さんも入社16年目だ。この日訪問したのは、極東ロシアで資源開発を行っている「サハリン石油ガス開発」。伊藤忠はこの会社に24年前から出資している。田中さんはこの会社と行う大規模な油田と天然ガスの採掘事業を任されている。

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2003年の入社当時、部で初めての女性総合職だった田中さん。夢は"世界を相手に大きな仕事をすること"で、1年目から海外出張を経験するなど、伊藤忠の女性社員としては前例がない道を歩き始めた。入社5年目でシンガポールの駐在員になり、伊藤忠初の女性石油トレーダーとなった。

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一期上の先輩と結婚して家庭を持った田中さんは、2回の産休・育休を経て2年前に職場復帰。今は、早朝に夕食の準備まで済ませてから出勤している。子どもを毎朝保育園に送り届けてから会社に出勤すると、オフィスではすでに他の社員が仕事を始めている。伊藤忠商事では「朝型勤務」を推奨しているため、多くの社員が朝早くに出勤しているのだ。

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この日は、課長とのキャリア面談。田中さんは「出張も明日すぐ行けと言われてもいけない。自分として行きたい気持ちはあっても物理的にいけない。」と歯がゆい思いを上司に吐露する。そんな田中さんに対し、上司は「職能部門(人事や総務など)は?」と提案する。子育てしながらでも働きやすい職場の提案。田中さんは、育児と仕事との両立に揺れながら、今後進むべき道を決断していく。

医療分野サイトへの投資は実を結ぶのか

伊藤忠では5年後10年後を見据えビジネスを進化させていく「商いの次世代化」に取り組んでいるが、その最たる部署が「情報産業ビジネス部」。この部署にいる宮本剛さんは、16年前に入社しITビジネス部門からスタートしたが、当初は結果を出せない日々が続いた。その後は様々な部署を転々とし、出向も経験した。同期が活躍する姿に複雑な思いを抱いたことも...。

2年前、ITビジネス部門に戻った宮本さんは、かつて担当していた医療分野に目を付け、今年1月、反対する上司を説得し、歯科医院の求人サイトを運営する「ホワイトクロス」に投資。しかし、上司は「この会社を本当に経営して大きくしていく覚悟はあるのか?」と宮本さんに釘を刺す。16年目の宮本さんに求められるのは結果。失敗は許されない。

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平成の商人から令和の商人へ...。どん底から這い上がった伊藤忠で、彼らは闘い続けた。2003年に放送した「ガイアの夜明け~商社マン 一年生物語」では新入社員だった3人が、16年間でどのような成長を遂げ、この先何を目指すのか。そして、令和入社の社員たちに何を伝えていくのか。その最前線を密着取材で捉えた「ガイアの夜明け」は、今晩10時から放送。どうぞお見逃しなく!

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