日本の高級紙皿が世界で売れるワケ:ガイアの夜明け

公開: 更新: テレ東プラス

現場で奮闘する人たちの姿を通して、さまざまな経済ニュースの裏側を伝えるドキュメンタリー番組ガイアの夜明け(毎週火曜夜10時)。4月16日(火)は、シリーズ「さらば平成 君は夜明けを見たか」第4弾をお届け。今なお海外市場に挑戦する日本の中小企業やベンチャー企業を取り上げる。商品を売るだけでなく、環境問題や社会問題の解決にも一役買う日本企業に密着する。

「辻利」や「峠の釜めし」も!名店がこぞって使う高級紙皿の秘密

東京・新橋にある「旬八 キッチン&テーブル」。ブッフェスタイルのこの店で使われている器を見てみると...なんと紙皿!実はこれ、「ワサラ」という高級紙皿。1枚100円以上するが、なんと使い捨てしている。これによって洗い物にかかる手間は半分以下になり、水や洗剤を使わずに済むため、厨房スタッフの人件費が抑えられるという。

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ワサラを作っているのは「伊藤景パック産業」。100年以上の歴史を誇る老舗メーカーで、使い捨て容器など500種類以上を作っているが、すべてが1枚1~2円という薄利多売。中国製品などの台頭もあり、厳しい価格競争にさらされてきた。

そこで、社運をかけて作ったのがこのワサラ。著名なデザイナーに依頼し、紙とは思えない高級感を打ち出したのだ。サトウキビの絞りかすと竹で作られており、100%土に還る環境に優しい製品。2年半の開発期間を経て、紙皿の概念を覆す製品が完成し、国内外で数々の賞を受賞している。

このワサラは、名店からもひっぱりだこ。抹茶の老舗「辻利」ではパフェの器として、峠の釜めしで有名な「荻野屋」では、昔からの陶器の他にワサラが使われている。

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国内では順調に需要を伸ばしているワサラだが、海外に関しては伸び悩んでいた。そこで伊藤景パック産業が進出したのは、フランス・パリ。フランスでは、2020年に使い捨てプラスチックの使用禁止が決定しているため、ビジネスチャンスがあると考えたのだ。ヨーロッパで広く展開するための第一歩が始まった。

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世界に展開するために、別のアプローチも。今年3月、営業担当者が向かったのは、成田空港に近いゲートグルメジャパンの工場。作っているのは航空会社の機内食。ゲートグルメは世界60ヵ国以上に展開し、年間5億人の乗客に機内食を提供している。ファーストクラスやビジネスクラスの場合、機内食の器には陶器やガラスが使われているが、場所を取り、重いという欠点がある。ワサラならその問題を解消できる、という提案だ。ワサラを世界へ...夢は膨らむ。

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タンザニアで増殖中!日本の"明かり"

東アフリカ・タンザニアでは今、あるLEDランタンのレンタル店が増えている。1000店舗以上もあり、貸し出し料は1泊約25円。自宅用の他、露天の店先などで重宝されているという。このランタンの名前は「ワッシャ」。スワヒリ語で「明かりを灯す」という意味だ。日本のベンチャー企業が広めたもので、その責任者を米田竜樹さんが務めている。

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タンザニアの広さは日本の2.5倍だが、いまだ電気が通っていない無電化地帯が76%もある。ほとんどの家が、質の悪い灯油ランプが頼り。煙が原因で気管支や肺の病気にかかる危険性もある。

2015年5月、米田さんはこうした問題を解決できないかとタンザニアにやってきた。まずは目を付けたのは、どんな村にもひとつはある小さな商店「キオスク」。太陽光発電で作った電気を小分けにし、客が使いたい分だけ電気を売るというビジネスを始めた。

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あれから4年が経過し、日本人3人で始めた会社は、現地スタッフを含め110人の大所帯に。10軒ほどだった取扱店が1135軒に増加し、店舗からの問い合わせに対応するコールセンターやメンテナンスの部署も新設された。

ワッシャを創業以来率いている秋田智司さんは、「私たちの使命はPOWER TO THE PEOPLE。パワーというのは電気の意味だけでなく人々を動かしていく力」と語る。

秋田さんと二人三脚でやってきた現場のトップ・米田さんは、新たに、従来の2.5倍の明るさで料金が10倍、1泊250円の商品を売ろうとしていた。売り込むため向かったのは、世界で2番目の広さを誇る淡水湖・ヴィクトリア湖。ここで行われている漁業に、新しいランタンの活躍の場があると踏んだのだ。「日本代表じゃないですけど、ワッシャをアフリカで成功したベンチャーの第1号にしたい」と米田さん。

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平成が終わり新たな時代を迎えるニッポン。開拓精神は、「令和」の世になっても受け継がれていく。世界の市場で闘う日本人の姿を、今晩10時からの「ガイアの夜明け」で放送。どうぞお見逃しなく!

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