「怖い」を売る会社!? オカルト&超常現象の第一人者・山口敏太郎さんのオフィスに潜入!

公開: 更新: テレ東プラス

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作家・漫画原作者・ライター・オカルト研究家などの肩書を持つ山口敏太郎さん。妖怪・都市伝説・UMA(未確認生物)・幽霊などあらゆる不思議分野に精通しており、今までに出演したTV・ラジオ番組は500本以上、著書・監修本は170冊を超える。

そんな彼が代表を務める株式会社 山口敏太郎タートルカンパニーの内部は、一体どうなっているのか。そして人々の好奇心を刺激する様々なコンテンツはどのように生み出されているのか。山口さんのキャラクターを反映してか、「不思議の巣窟」という噂も! 様々な疑問を解決するべく、職場へ潜入してみたい。

住宅街に佇むミステリアス&アットホームな職場

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訪れたのは都心から電車で1時間ほどのところにある千葉県船橋市。近くには畑など、のどかな風景が広がっている。住宅街を進んで行くと、突然その会社が目の前に現れた。株式会社山口敏太郎タートルカンパニー。見た目は普通の住居のように見えるが、果たしてその内部はどうなっているのか。思い切って、玄関の呼び出しボタンを押してみる。

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迎えてくれたのは山口敏太郎さんではなく、所属ライターの前世滝沢馬琴さん。とてつもなく怪しい見た目に思わず腰が引けてしまう。「滝沢馬琴の生まれ変わり」だと以前から主張しているらしく、それを聞いた山口さんが名付けたそうだ。見た目とは裏腹に、物腰は柔らかくとても紳士的。「どうぞ、こちらへ。急な階段なので気をつけてくださいね」とオフィスのある2階へ案内してくれた。

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階段を上がって行く途中には、山口さんのものと思われる怪奇な品々が。「怪運」とは、どんな運勢が開けるのか気になるところだ。

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見せていただいたオフィスは雑然としていて、編集プロダクションのような雰囲気。休日ということもあり、無人で妙に静まり返っているが、想像していたようなオカルトっぽさはあまり感じられない。山口さんは先ほどまで書類の整理をしていたそうだが、一体どこに行ってしまったのか。

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山口さんを発見したのは、1階にある大きな書庫。こちらには1万冊以上の蔵書が眠っているそうだ。今まで収集してきた数多のコレクションや怪奇なグッズも見られるのではないかと期待が膨らむ。

不思議なコレクションが見たい人は銚子の妖怪博物館へGO!

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山口さんのコレクションは会社ではなく、千葉県の銚子にある「大内かっぱハウス&山口敏太郎の妖怪博物館」で保管しているそうだ。館内にはTV番組で公開されて話題を呼んだ「呪いのモナリザ」、「チュパカブラのミイラ」、「笑うお面」など不思議なアイテムが所狭しと展示されている。

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目玉となるのは、河童をはじめとした妖怪のミイラ数種。それに加えて、初公開となる妖怪絵巻「北陸妖怪絵巻」と「阿波化け物図画」も見ることができる。入場料無料で楽しめるということなので、是非とも訪れてみたいところだ。

山口さんの会社内にも、不思議なものがいくつもあったので撮影してきた。

yamaguci_bintaro_20190411_08.jpg▲所属しているUFO撮影家の武良信行(ムラ・ラムー)さんのUFO撮影許可証

yamaguci_bintaro_20190411_09.jpg▲所属している怪奇事件ライター・穂積 昭雪さんの著書

不思議な品々を垣間見たところで、ここからは山口さんに普段の仕事の様子や、会社をどのように立ち上げたのかなど、詳しく伺っていきたい。

「山口敏太郎タートルカンパニー」のルーツは坂本龍馬!?

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――山口さんは、普段どんな風に仕事をしているのですか?

「デスクに座って、キーを打ち込むことはほとんどないですね。居間に座って、iPad片手に作業しています。私にとっては、アプリの音声入力で声を吹き込むのが一番効率的ですね」

――もしかして、あそこにあるのは水木しげるさんのサインですか?

「ええ、10歳の時に故郷の徳島でサイン会があったので、母親と一緒に参加しました。憧れていた水木しげる先生に会えたので、あの時のことは42年経った今もはっきり覚えています。それから2〜3度お会いしていますが、子どもの頃の思い出が一番強いですね」

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――子どもの頃から水木しげる先生や妖怪が好きだったんですね。その後、大人になってオカルトを専門にした現在の会社を立ち上げたきっかけは?

「29歳のときに学研の『ムー・ミステリー・コンテスト』で優秀作品賞をもらって、ライターとして一本立ちしていましたが、40歳で会社を立ち上げるまで、ずっと兼業でサラリーマンもやっていたんです」

――えっ、会社員としても働いていたんですか?

「ええ、本業では大手運送会社に勤めていました。担当は、本社の営業やIT管理の仕事です。小椋佳さんのように、会社員をやりながら表現者としても生きていきたいと思っていたんです。IT物流を提案したりして、日経新聞や経済番組に出たこともありますよ」

yamaguci_bintaro_20190411_12.jpg▲左が運送会社で働いていた頃の制服。(右はボーイスカウトの日本代表で着ていた制服)

――そこからなぜ、現在の会社を立ち上げることになったのですか?

「親から必要以上の教育を受けたこともあり、サラリーマンであることにこだわっていたのですが、本業の年収を副業の年収が上回ったときに、何かが吹っ切れました。オカルトの世界に引っ張られたということもあります」

――会社のメンバーはどのように集まったのですか?

「昔からやっている私の『妖怪王』というブログの影響で、霊能力者や超能力者はもちろん、漫画家やイラストレーターなど色々な人とつながりができたんです。それらのメンバーで役割を分担しながら、オカルト関係の本を作ったりしていました。その流れで32歳ぐらいの時に立ち上げたのが、弊社の前身となる『海猿隊』というユニットです。名前は私が敬愛する坂本龍馬の『海援隊』に、ちょっと洒落を加えています」

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――なるほど、だから坂本龍馬の写真が色々なところに貼ってあるんですね。ちなみに、会社名の「タートルカンパニー」はどこから?

「そのまま『海猿隊』にしようという案もあったんですけど、由来になった『海援隊』をよくよく考えてみると、坂本龍馬が暗殺されちゃうんですよね。それはちょっと縁起が悪いということになって。それなら、龍馬が作った日本で最初の会社『亀山社中』にあやかろうということになり、英語に変えて『タートルカンパニー』に」

――40歳で会社を立ち上げてから、色々と苦労したこともあったと思うのですが。

「まず『亀を飼っているんですか?』などペットショップに間違われることはよくあります(笑)。まあそれは大したことではありませんが、最初の頃はとにかく、嫌がらせや相手にされないことが多かったですね。当時の勢力図でいうと、UFOは矢追純一、妖怪は水木しげる、怪談は稲川淳一、心霊はつのだじろう、霊界は丹波哲郎や宜保愛子など、キラ星のごとくスターがいましたから」

あと10年が勝負。 目指すは「怖い」をテーマにした巨大総合商社

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――そんな大変な業界で、今まで第一線でやってこられた秘訣を教えていただけますか?

「まず第一に、モノを見る目ですね。ちゃんと先輩たちがやっているのを見ていて、やっていないところに釘を打ち込むことが大切です。次に重要なのは、コスト意識。スタッフがどういう風に動いて、どれくらいコストがかかって、スポンサーがどれくらいお金を出して番組ができているのか。どの業界でも、成功している人たちはそういうところがかなりクレバーだと思いますよ」

――現在、代表として最も力を入れて取り組んでいることはどんなことですか?

「自分以外で、名前を聞いてピンとくるようなタレントを作ることですね。純粋培養で人を育てるには時間がかかりますから。それに、これからは大変な時代なので、あらゆることを徹底的に研究して、とにかく生き残ることですね。10年以内に大手芸能事務所が何社も潰れていくと思います。まさに戦国時代に突入していくので、経営者としてどれだけ頭脳を働かせられるか、ここからが勝負です」

――最後に現在の目標を教えていただけますか?

「吉本興業は『笑い』を商売にして大成功を納めていますが、同じように私が掲げているのは『怖い』をテーマにした総合商社です。会社を設立したころにそれを聞いた親父は、『正気の沙汰ではない』と呆れてましたけどね(笑)。でも、ようやくそうなりつつあります。オカルトの番組を作るとなったら、真っ先に名前が挙がるようになりましたから」

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【取材協力】
株式会社山口敏太郎タートルカンパニー
住所:千葉県船橋市新高根6-27-2
電話番号:0471-94-3305
https://bintarou.jimdo.com/

大内かっぱハウス・山口敏太郎の妖怪博物館
住所:銚子市中央町6-25
電話番号:03-3526-7271
https://ouchikappahouse.amebaownd.com/

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