日中ワイン争奪戦!中国は日本の敵か味方か?:未来世紀ジパング

公開: 更新: テレ東プラス

4月10日(水)放送の「日経スペシャル 未来世紀ジパング」(毎週水曜夜10時)は、高い国内の"消費欲"を追い風に、世界へ進出する中国は、果して日本の敵か味方か?経営破綻した日本のホテルを再生させる救世主となる中国企業もあれば、ワインをめぐり日本と争奪戦を繰り広げる企業もあったり...日本の埋もれた価値を見出しはじめた中国企業と、復活を期す日本企業、それぞれの思惑に迫る。

天皇家ゆかりの名門温泉宿が倒産...再生したのは香港"ホテルの女王"

長崎県・平戸。古くから外国との貿易で栄えた港町で昨年、世界遺産にも登録された。しかし現在、城下町を訪れる観光客の姿はまばらで、地元商店街は苦境にあえいでいた。「平戸はもうだめですよ」商店街からはこんなため息まじりの声まで聞かれた。

平戸を代表するホテル「国際観光ホテル・旗松亭」。昭和天皇をはじめ、今月末に退位を控える天皇皇后両陛下、新天皇に即位される皇太子殿下も宿泊され、「平戸の顔」として人気を博した由緒あるホテルだ。しかし、名門ホテルもバブル期をピークに客足が減少。最盛期に19億円あった売り上げは5億円にまで減り、3年前、ついに経営破綻に至った。

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そこで、旗松亭の再建に名乗りを上げたのが、中国・香港の実業家で"ホテルの女王"と呼ばれるリー・サンディ社長。これまで100以上のホテルを手掛けてきたリーさんはすぐに2億円を投じ、老朽化したホテルの改修に着手。一番人気の部屋には専用の露天風呂を設置したり、リーさんが日本で見つけたお気に入りの壁紙にすべて張り替えたり...そこには、「中国人に媚びる必要はない。観光客は日本の雰囲気を味わいたいんです」というリーさんの狙いがあった。さらにリーさんは、中国とのパイプを生かし、九州を訪れるツアー客に平戸も組み込んでもらえるよう売り込みをかけた。すると中国・大連からの客が大型バスに乗って続々と訪れるなど大盛況となり、売り上げは倍増。リーさんの狙いがズバリ当たった。

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旗松亭の買収には、日本企業や他の中国資本も手を挙げていたが、その中でリーさんだけが全従業員の雇用を守ることを約束。そこには「"日本のおもてなし"をそのまま続けてほしい」というリーさんの願いがあった。

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リーさんの「平戸と共に再生したい」という思いを受け、従業員や地元の人々もホテルの再興に期待。再生への道のりはまだ始まったばかりだが、早くもリーさんは"第二の旗松亭"を発掘すべく、次の一手を見据えている。

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ワインの聖地で異変...日本と中国の覇権争い

今年2月から、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)によって、欧州産ワインの関税が撤廃された。スーパーなどが一斉に値下げに踏み切り、良質で格安なワインが店頭に並ぶ。そんな欧州産ワインへの関心が高まる中、ワインの一大生産地、フランス・ボルドーでは、日本も巻き込むワインの一大争奪戦が起きていた。

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街の中心部から車で1時間。ぶどう畑の先に見えてきたのは中国の国旗だ。中国は、10年ほど前からボルドーのワイナリーを買収し、その数現在200を超えるまでに成長。ここで作られたワインは、空前のワインブームに沸く中国にすべて輸出され、その数は年間6500万本にも及ぶ。

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ボルドーワイン最大のお得意様となった中国だが、深刻な弊害も出ている。伝統のボルドーワインを中国向けに変えてしまうワイナリーが現れたのだ。

伝統のワイナリーの絵がラベルに描かれたボトルを中国向けのデザインに変更。中身はそのままであるにも関わらず、4倍以上の値段で販売。こうした事態に地元ボルドーの人たちは「中国人は儲けることしか考えていない」と不満を訴え、ワインの聖地に波紋が広がっている。

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日本では今ほどワインが飲まれていなかった1980年代、この地に進出した日本企業が「サントリー」だ。進出当時は日本に対し、地元の人々からの反発に合ったという。そこで掲げたのが「現地の伝統や風習を尊重すること」。現地の雇用を守り、伝統的な製造方法もそのままに、70億円をつぎ込んでワイナリーや排水設備などを一新。荒地だった畑を蘇らせることに注力した。豊かな土壌が回復するにつれ高品質のぶどうが実り、ボルドーでも上位に格付けされるワインを復活させた。

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ボルドーで最も格式が高いワイナリーとして讃えられるサントリーは、本場ワインの争奪戦に向け、ヨーロッパ最大のワインメーカーと提携した。ここで作られているのは、1本1000円の格安ワイン。日本のスーパーで人気のワインだ。安さの秘密は、サントリーが出資し、5億円かけて作った巨大なワインの熟成庫にある。ここでは4万ものワイン樽を保管し、独自の熟成法、徹底した品質管理で、日本に輸出する体制を整えているのだ。ワインを独占して高値で売る中国と、良質で手軽な値段の実現を目指す日本企業。対極にある日中ワイン争奪戦の火蓋が切られた...。

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番組では他にも、100万円を超える最高級ヘッドホンやスマホのカメラ用モーターなど、高い技術を評価されて中国企業に買収された日本の中小企業に密着。中国は敵か?味方か?それぞれの立場で映し出す「日経スペシャル 未来世紀ジパング」は、今夜10時放送。お見逃しなく!

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