事業再生が必要な会社に見る”3つの特徴”

公開: 更新: テレ東プラス

玉木宏主演! ドラマBiz「スパイラル~町工場の奇跡~」(原作:真山仁『ハゲタカ4.5/スパイラル』 講談社文庫)が、4月15日月曜夜10時より、いよいよスタート! テレビ東京の連続ドラマ初主演となる玉木が、主人公・芝野を爽快に熱く演じる。

今回ドラマで玉木が演じるのは、小さな町工場・マジテックの再生に挑むターンアラウンド・マネージャー(事業再生家)だが、果たして、この耳慣れない職業「ターンアラウンド・マネージャー」とはどんな仕事なのだろうか? 実際にターンアラウンド・マネージャーとして活動し、60件以上の企業を再生に導いてきた、「株式会社工場長」代表取締役・野添平治氏に話を聞いた。

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資格は特に必要ありません

――野添さんは、27年間「日本たばこ産業株式会社(旧日本専売公社)」に勤めた後、中小の製造業に特化したコンサルタントとして独立されています。ターンアラウンド・マネージャーはどういう仕事で、なぜこの職業を選んだのですか?

「ターンアラウンド・マネージャー(以下:TAM)とは、経営危機に陥っている企業の再生を専門に請け負うコンサルタントのことで、資格は特に必要ありません。私はかつて、会社という組織の中で20代後半からプロジェクトリーダーを務め、全部自分で考えて実行する仕事をしてきました。やがて管理職になると、大人しくハンコさえつけばいい毎日になり、それがつまらなくなって独立したんです。コンサル業をしたかったのと、現場の人と話して改善することが好きだったので、自然とこのジャンルを選ぶことになりました。TAMが担当するのは、再生が必要で、お金がない会社ばかりなので報酬は低いんですけどね(笑)。ただ、製造現場に入りこんで働いているTAMは少ないのではないでしょうか。問題点を指摘できる人はいるけど、具体的に改善策を教えられる人は少ないので、それが私の強みでもあります」

――コンサルタントというと、複数のクライアントを併行して担当しているイメージがありますが、ドラマBiz「スパイラル~」の芝野(玉木宏)はマジテックの専務になって職場に入り込んで改革をしていきます。そのような働き方もあるのでしょうか?

「芝野のように専務としてではありませんが、近年人気が出ている千葉県『いすみ鉄道株式会社』は、社長を公募して改革した素晴らしい例です。私はひとつの会社に入り込むのではなく、複数の企業に併行して通う働き方をしています。会社に入り込むと人事権や予算執行の権限などを併せ持つことになりますが、私はずっと同じ会社に縛られていると飽きてしまうタイプ(笑)。通いの方がいろいろな案件に関わることができますし、会社に対する視点も常に変化が持てる。これまでの12年半で、食品製造や金属加工、医療機器製造、自動車部品製造、産業廃棄物再処理など多種多様な60件以上の企業再生に携わらせていただきましたが、結果的に閉めざるを得なかった企業は2~3件で、他はすべて建て直してきたと自負しています」

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こんな会社がアブナイ! 再生が必要な企業の3つの特徴

――ドラマBiz「スパイラル~」を見た視聴者の中には、「ウチの会社も危ないのでは?」と気になる方もいると思います。これまで60社以上を再生に導いてきた野添さんから見て、ズバリ事業再生が必要な会社の特徴を教えて下さい。

【野添氏が提唱する3つの特徴】

1.社長が時代のせいにする。
「よくあるのは、以前売れていた商品が売れなくなっても、社長が『時代のせいだ。景気が悪くなったから仕方がないんだ』と言って、一向に自分の非を認めようとしない会社。確かに時代の変化はありますが、経営者ならその変化に合わせる努力をしなければいけない。特に創業社長にこのタイプが多いですね。自分が起こしたビジネスモデルで成功した栄光があるので、なかなかやり方を変えられない。発明家ではあっても、経営者になりきれない創業者は実に多いと言えます。マジテックの先代・藤村(平泉成)も、おそらくはそういう人物でしょうね」

2.部下に任せない。
「中小企業では、社長のご子息など、たいてい次の社長候補がいます。現社長は口では『お前に任すから好きにやっていいよ』と言いながら、ちょっとでも自分と違うやり方をすると頭ごなしに怒ったりする。要は人を育てていないし、育てる能力もないのです。任せてもらえなければスキルも責任感も育たないので、現社長がいなくなった途端に死んだも同然になる会社はよくあります」

3.見かけの売り上げにこだわる。
「経営者は、とかく見た目の額面が下がるのを嫌います。例えば100円のファンを作って、それをモーターに仕立てて1万円で販売しているとします。100円のファンを1つ売ると50円儲かります。1万円のファンを仕立てるには他の様々な部品が必要なので、その費用を差し引くと300円しか儲かりません。冷静に考えると、ファンだけで販売した方が効率がよくて粗利も大きいのに、往々にして"1台1万円のモーターの売り上げを減らしたくない!"と意地を張る経営者が多いのです。例え売れる商品でも、赤字の商品なら止めた方がいい。私が担当してきた会社は、『減収増益』で生き延びてきたところが多いです。一見売り上げが減ったように見えますが、実は経営はずっと健全になっているのです」

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これを読んで、危機感を覚えた読者の方もいるのではないだろうか? 野添氏はさらに、「社員も自分の会社が良くない状況だと気づいている。だけど、今より条件の良い転職先が簡単には見つからないとか、とりあえず家族を養っていけているんだから辞めなくていいじゃないか、という消極的な理由で働き続ける人が多い」と続けた。心当たりがある人は、勇気を持って転職を考えるか、職場改革を提言するべきなのかもしれない。

4月15日(月)朝6時30分に公開する【インタビュー後編】では、野添氏が実行してきた企業の問題改善策や、ドラマBiz「スパイラル~町工場の奇跡~」をどのように見ているかを聞く。

【野添平治氏プロフィール】
株式会社工場長代表取締役 1978年、東京工業大学工学部卒業。日本たばこ産業の研究機関で生産設備の開発、全国工場の生産管理システムの開発などの複数のプロジェクトリーダーを歴任。日本たばこ産業の盛岡工場製造部長、金沢工場長などを経て、2005年にコンサルタント開業。中小企業の生産現場の改善を支援することを目的として株式会社工場長を設立。

そして、いよいよ4月15日(月)夜10時スタート! ドラマBiz「スパイラル~町工場の奇跡~」気になる第1話の内容は...。

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【あらすじ】
企業再生家の芝野健夫(玉木宏)は、恩人である天才発明家の藤村登喜男(平泉成)の死をきっかけに大手電機メーカーから転じ、小さな金型工場・マジテックの再生を手掛けることに。芝野は、亡き藤村の娘・浅子(貫地谷しほり)、劣等感を抱えながら成長する弟の望(戸塚純貴)、藤村の右腕だった桶本(國村隼)らと共に奮闘する。しかし、過去の因縁から芝野に復讐を目論む村尾(眞島秀和)と外資系ファンドの社長 ナオミ・トミナガ(真矢ミキ)が、マジテックの乗っ取りに動き出す...。

4月15日(月)夜10時スタート! ドラマBiz「スパイラル~町工場の奇跡~」をどうぞお楽しみに!

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